公式資料をもとに整理

電気工事の一人親方の工具・車両の減価償却と経費の境目

電気工事の一人親方が買う工具や車は、取得価額が10万円未満ならその年の経費にでき、10万円以上は原則として耐用年数にわたって少しずつ経費にします。青色申告者には、10万円以上の資産を年300万円まで一度に経費にできる特例があり、対象の上限は令和8年4月1日以後の取得から40万円未満です。測定工具・検査工具は5年、総排気量0.66リットル以下の小型車は4年など、耐用年数も国税庁の表で確認できます。

公開日: 2026-10-12 / 最終更新: 2026-10-12 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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取得価額で変わる経費の扱い

国税庁のタックスアンサーによると、事業のために使う器具備品や車両運搬具などは、取得した時に全額が必要経費になるのではなく、使える期間にわたって分割して必要経費にします。この手続が減価償却です(国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」)。ただし、金額が小さいものには例外があります。

取得価額別の経費の扱い(電気工事の工具・車両の例)
取得価額経費の扱い例(取得価額は架空)
10万円未満業務に使った年に全額を必要経費にするドライバー一式、電工ナイフ、8万円の電動工具
10万円以上20万円未満一括償却資産にすると、合計額の3分の1ずつを3年間必要経費にできる15万円の測定器
10万円以上40万円未満(令和8年4月1日以後の取得)青色申告者は特例で全額を必要経費にできる(年300万円まで)35万円の測定器、38万円の電動工具セット
上記に当てはまらないもの耐用年数にわたって減価償却する150万円の貨物自動車(ダンプ式以外)

使える期間が1年未満のものも、取得価額が10万円未満のものと同じく、全額を業務に使った年の必要経費にします。

10万円未満と10万円以上20万円未満の扱い

取得価額が10万円未満の工具は、買った年に全額を必要経費にします。国税庁のタックスアンサーが、取得価額10万円未満のものはその全額を業務に使った年分の必要経費とすると定めています。

10万円以上20万円未満のものは、一定の要件のもとで、その資産の全部または特定の一部を一括し、その取得価額の合計額の3分の1を、業務に使った年以後3年間の各年に必要経費にする方法を選べます。

青色申告者の特例(年300万円まで)

一定の要件を満たす青色申告者は、10万円以上の少額な減価償却資産を、業務に使った年にそのまま必要経費にできます。国税庁の確定申告書等作成コーナーの解説では、業務に使う年に特例の対象資産の取得価額の合計が300万円を超えるときは、300万円に達するまでの合計が限度になります(国税庁「中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例制度とは」)。

青色申告者の少額減価償却資産の特例
項目内容
対象者一定の要件を満たす青色申告者(白色申告では使えない)
対象の取得価額10万円以上30万円未満。令和8年4月1日以後に取得したものは10万円以上40万円未満
適用の期間令和11年3月31日までに取得したもの
年間の限度取得価額の合計のうち300万円まで
対象外一括償却資産にしたもの。令和4年4月1日以後に取得して貸付けに使ったもの(主要な業務としての貸付けを除く)

取得価額の上限は、令和8年3月31日までの取得が30万円未満、令和8年4月1日以後の取得が40万円未満です。作成コーナーの令和6年分の解説は30万円未満のまま書かれているため、令和8年4月以降に買う工具は、タックスアンサーの記載(令和8年4月1日現在法令等)で確認します。

青色申告の承認申請は青色申告承認申請のガイドで、開業時の届出は開業・事業開始の届出のガイドで整理しています。

工具・車両の耐用年数

国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」では、測定工具・検査工具は5年、総排気量0.66リットル以下の小型車は4年、貨物自動車のうちダンプ式以外は5年です。電気工事で使う主なものを次に抜き出します(国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」)。

電気工事で使う主な工具・車両の耐用年数(運送事業用等以外の一般用)
区分細目耐用年数
工具測定工具・検査工具(電気・電子を利用するものを含む)5年
工具治具、取付工具3年
車両・運搬具小型車(総排気量が0.66リットル以下のもの)4年
車両・運搬具貨物自動車(ダンプ式のもの)4年
車両・運搬具貨物自動車(その他のもの)5年
車両・運搬具その他の自動車(普通乗用車など)6年

表にない資産や、中古で買った資産の耐用年数は、財務省令の別表や税務署で確認します。この表は、新品を事業用の一般用として使う場合の主な年数です。

償却方法の届出と取得価額の判定

新たに事業を始めた場合は、減価償却の方法を選んで、その翌年の3月15日までに税務署へ届け出ます。届出がない場合は、法定の償却方法(一般的には旧定額法または定額法)で計算します。償却方法を変えるときは、変えようとする年の3月15日までに承認申請が必要です(国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」)。

取得価額が10万円未満かどうかを判断するときは、消費税の額を含めるかどうかが経理方式で変わります。税込経理なら消費税を含む金額で、税抜経理なら含まない金額で判定します。免税事業者は税込経理になります。

インボイス登録の有無で消費税の扱いが変わる点はインボイス登録のガイドで整理しています。

この整理で言えないこと

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。特例を使えるか、資産ごとの耐用年数、償却方法の届出は、所轄の税務署または税理士に確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。