特定商取引に関する法律第2条・第4条・第5条・第9条・第26条

訪問営業で受けた家庭向け電気工事の契約書面と8日間の撤回(特定商取引法)

自宅を訪ねて営業し、その場で一般家庭の電気工事を受けると、特定商取引法の「訪問販売」に当たることがあります。該当すると、契約の内容を書いた書面を渡す義務が生じ、客は書面を受け取った日から8日間、契約を撤回できます。ここでは、条文で確認できる範囲に絞って整理します。

公開日: 2026-10-10 / 最終更新: 2026-10-10 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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訪問販売に当たる場面

特定商取引法第2条第1項は、販売業者や役務提供事業者が営業所、代理店その他の主務省令で定める場所(営業所等)以外の場所で、契約の申込みを受けるか契約を結んで行う販売や役務の提供を「訪問販売」としています。電気工事のような工事も、有償で役務を提供する契約(役務提供契約)に含まれます。 根拠はe-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」で確認できます。

営業所等以外で呼び止めて営業所等へ連れて行った人(特定顧客)と、営業所等で契約する場合も、同じ条の第1項第2号で訪問販売に入ります。

場面ごとの訪問販売への該当(条文で確認できる範囲)
場面該当の目安
客の自宅で申込みを受ける、または契約する営業所等以外の場所なので、訪問販売に当たる
自宅で申込みを受け、営業所で契約する第5条第1項第2号の書面の交付が必要になる
路上で呼び止めて事務所へ連れて行き、契約する特定顧客との契約で、訪問販売に当たる
客が自分から事務所へ来て、事務所で契約するこの条文だけでは該当しない(特定顧客にも当たらない場合)

渡す書面と記載事項

書面の渡し方は2段階です。申込みを受けたときは直ちに申込内容の書面(第4条)、契約を結んだときは遅滞なく契約内容の書面(第5条)を渡します。申込みを受けた際にその場で契約を結んだ場合は、第4条の書面は不要で、第5条の書面を直ちに渡します。

第4条第1項に挙げられた記載事項は次のとおりです。

第5条第1項の契約書面では、撤回の事項は「解除に関する事項」に限られる、と条文に書かれています。契約した際に工事を終えて代金の全部を受け取った場合は、第5条第2項により、第1号・第2号の事項と解除に関する事項などを書いた書面を直ちに渡します。 主務省令で定める事項や書面の様式は、条文の外にあるため、消費者庁の資料で確認してください。

書面の交付に代えて、相手の承諾を得て、書面に書くべき事項を電磁的方法で提供することもできます(第4条第2項、第5条第3項)。

8日間の撤回と、撤回後の扱い

客は、契約の申込みの撤回または契約の解除を、書面または電磁的記録で行えます。期限は、第5条の書面を受け取った日から起算して8日です(第9条第1項)。第4条の書面を先に受け取っていた場合は、その書面を受け取った日から数えます。

不実のことを告げられて撤回できないと誤認した場合や、威迫されて困惑して8日を過ぎた場合には、撤回できる旨を所定の書面で渡された日から8日と読み替えられます(第9条第1項ただし書の括弧書)。 この読み替えが使える具体的な場面は、条文だけでは決められないため、個別には消費生活センター等で確認してください。

撤回があったときの業者の扱い(第9条)
項目条文の内容
撤回の効力が生じる時撤回の通知を発した時(第2項)
損害賠償・違約金請求できない(第3項)
工事がすでに行われた場合の対価役務の対価その他の金銭を請求できない(第5項)
受け取った金銭速やかに返還する(第6項)
土地・建物などの現状が変わった場合客は、原状回復に必要な措置を無償で請求できる(第7項)
客に不利な特約無効(第8項)

電気工事では、配線や機器の取り付けを終えた後でも、期間内に撤回されれば、対価を請求できず、現状を戻す費用も業者が負う形になります。訪問販売で受ける工事は、撤回期間が過ぎるまで着工しない運用にするかどうかも、事前に決めておきます。

適用されない場面

第26条は、書面の交付や撤回の規定を適用しない場面を挙げています。電気工事に関係しやすいものは次のとおりです。

政令で定める役務や金額は条文の外にあるため、この記事では数値を載せません。「請求した」に当たるかどうかは、条文だけでは決まらない事実の判断です。迷うときは、書面を渡す運用にして、消費者庁や消費生活センターで確認してください。

この整理で言えないこと

建設業法上の請負契約書の記載事項は建設工事請負契約書に書く16項目、契約書の印紙税は請負契約書の印紙税額のガイドで整理しています。特定商取引法の書面と、建設業法の契約書は、別の法律に基づく別の書面です。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。契約書面の作成や代行も行いません。訪問販売への該当、書面の様式、撤回の可否は、消費者庁の資料、最寄りの消費生活センター、弁護士などの専門家へ確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。