建設業法第19条・第20条

請負契約書に書く16項目と変更時の書面交付

建設業法第19条は、建設工事の請負契約の当事者に、契約の締結時に16項目を書面へ記載し、署名または記名押印して相互に交付することを求めています。内容を変更するときも書面が必要で、相手方の承諾を得れば電子的な方法で代えられます。見積書は第20条が別に定めており、条文に沿って項目と手続きを整理します。

公開日: 2026-10-03 / 最終更新: 2026-10-03 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

契約書に書く16項目

第19条第1項の16項目のうち、第4号・第5号・第13号は「定めをするとき」に記載する項目で、第16号は国土交通省令で定める事項です。条文はe-Gov法令検索「建設業法」で確認できます。項目を要約すると次のとおりです。

建設業法第19条第1項の記載事項(要約)
番号記載事項条文
1工事内容第1号
2請負代金の額第2号
3工事着手の時期と工事完成の時期第3号
4工事を施工しない日または時間帯の定め(定めるとき)第4号
5請負代金の前金払・出来形部分への支払の定め(定めるとき)は、その時期と方法第5号
6設計変更・工事着手の延期・工事の中止の申出があった場合の工期の変更、代金の額の変更、損害の負担とその額の算定方法第6号
7天災その他不可抗力による工期の変更、損害の負担とその額の算定方法第7号
8価格等の変動・変更に基づく工事内容の変更、請負代金の額の変更とその額の算定方法第8号
9工事の施工により第三者が損害を受けた場合の賠償金の負担第9号
10注文者が資材を提供し、または機械を貸与するときは、その内容と方法第10号
11注文者が工事の完成を確認する検査の時期と方法、引渡しの時期第11号
12工事完成後の請負代金の支払の時期と方法第12号
13工事の目的物が種類・品質に関して契約の内容に適合しない場合の担保責任、保証保険契約の締結その他の措置(定めるとき)第13号
14履行の遅滞その他債務不履行の場合の遅延利息、違約金その他の損害金第14号
15契約に関する紛争の解決方法第15号
16その他国土交通省令で定める事項第16号

契約書の保存は、建設業許可を受けた事業者の帳簿に添付する書類として別に定められています(建設業許可を受けた電気工事業者の標識・帳簿・図書の義務)。

契約内容を変更するときの書面交付

第19条第2項は、契約の内容のうち第1項の事項に当たるものを変更するときは、変更の内容を書面に記載し、署名または記名押印して相互に交付することを求めています。工事内容の追加や工期の延長、代金の増減は、第1項の事項(第1号・第2号・第3号)に当たるため、口頭の合意だけで進めず書面を残す対象になります。どの変更がこの規定に当たるかは、変更の内容ごとの判断になります。

電磁的方法で代える場合

第19条第3項は、相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を使う方法その他の情報通信の技術を利用する方法で、第1項・第2項の書面の交付に代えられるとしています。国土交通省令で定める措置は建設業法施行規則第13条の4が定めており、次のような技術的基準があります。

措置の種類は、電気通信回線で送信して相手方のファイルに記録する方法、閲覧に供する方法、電磁的記録媒体を交付する方法に分かれ、閲覧に供する方法では記録した旨の通知(閲覧を確認したときを除く)も必要です。使うサービスがこの基準に当たるかは、サービスの仕様ごとに確認してください。

材料費等記載見積書(第20条)

建設業者は、請負契約の締結にあたり、工種ごとの材料費・労務費と、適正な施工に不可欠な経費の内訳、工程ごとの作業と準備に必要な日数を記載した見積書(材料費等記載見積書)を作成するよう努めなければなりません。第20条第1項は努力義務の書き方です。省令(施行規則第13条の12)が定める不可欠な経費は次の3つです。

建設業法第20条の主な内容
項内容対象
第2項見積書の材料費等の額は、通常必要と認められる額を著しく下回ってはならない建設業者
第4項注文者から請求があったときは、請負契約が成立するまでに材料費等記載見積書を交付しなければならない建設業者(注文者は内容を考慮する努力義務)
第5項注文者の承諾を得て、電子情報処理組織等による提供で交付に代えられる建設業者
第6項見積書を交付した建設業者に対し、材料費等の額を通常必要と認められる額を著しく下回る変更を求めてはならない注文者

第3項は、注文者が随意契約・入札の前に、第19条第1項各号(第2号を除く)の事項をできる限り具体的に提示し、見積りに必要な期間を設けることを求めています。

許可の有無による適用の違い

第19条の主語は「建設工事の請負契約の当事者」で、「建設業者」とは限定されていません。一方、第20条第1項・第4項は主語が「建設業者」で、建設業者は第2条第3項で許可を受けて建設業を営む者と定義されています。軽微な工事だけを請け負う許可のない事業者の契約に、これらの規定がどう適用されるかは、条文の主語からだけでは判断できないため、断定せず、許可行政庁の窓口で確認してください。

許可が必要になる工事の範囲は軽微な工事の判断、電気工事業登録との関係は電気工事業登録と建設業許可の違いで整理しています。

この整理で言えないこと

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。契約書の記載事項、電磁的方法の利用可否、許可の有無に応じた適用は、許可を受けた国土交通省の地方整備局または都道府県の建設業許可担当窓口へ確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。