公式資料をもとに整理

建設業許可が不要な「軽微な建設工事」の金額の数え方(電気工事は500万円未満)

建設業法上の電気工事として請け負う場合、建設業許可が不要となる「軽微な建設工事」の基準は、工事1件の請負代金の額が500万円に満たないことです。契約書の金額だけで判断せず、消費税、注文者が提供する材料、契約の分け方まで含めて数えます。

公開日: 2026-09-21 / 最終更新: 2026-09-21 / 制度確認日: 2026-07-26

電気工事の基準は500万円「未満」

e-Gov法令検索「建設業法」第3条第1項ただし書は、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者には、建設業許可を要しないと定めています。

その政令がe-Gov法令検索「建設業法施行令」第1条の2第1項で、工事1件の請負代金の額が500万円(建築一式工事は1,500万円)に満たない工事等を軽微な建設工事としています。国土交通省の「建設業の許可とは」も、建築一式工事以外の建設工事については工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事としています。

建設業法別表第一は、建築一式工事と電気工事を別の建設工事として掲げています。建設業法上の電気工事として請け負う工事は、建築一式工事以外の基準である500万円で見ます。

条文の言い方は「500万円に満たない」なので、請負代金がちょうど500万円の工事は軽微な建設工事に当たりません。また対象は軽微な建設工事「のみ」を請け負う営業なので、500万円以上の工事を請け負う場合は、許可の要否を許可行政庁へ確認します。

金額に含めて数えるもの

「請負代金の額」は、契約書の表面額とは別に、次の4点を確認して数えます。いずれも、表の右列に挙げた施行令、国土交通省の許可の概要、許可事務ガイドラインに書かれている取扱いです。

軽微な建設工事の金額を数えるときの確認点
確認点数え方根拠
数える単位工事1件の請負代金の額で見る施行令第1条の2第1項
消費税消費税及び地方消費税の額を含む金額で見る国土交通省「建設業の許可とは」
注文者が材料を提供する場合その市場価格、または市場価格と運送賃(ガイドラインでは運送費)を、請負代金の額に加えて見る施行令第1条の2第3項、許可事務ガイドライン
契約を分割して請け負う場合同一の建設業を営む者が工事の完成を2以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額で見る。正当な理由に基づいて契約を分割したときは、この限りでない施行令第1条の2第2項、許可事務ガイドライン

運送に関する語は、施行令の条文では「運送賃」、ガイドラインでは「運送費」と書かれています。加える金額の範囲に迷うときは、契約前に許可行政庁へ確認してください。

施行令第1条の2第2項は「正当な理由に基いて」と書くにとどまります。個別の契約の分け方が正当な理由に当たるかは、この記事では判断できません。

数え方の例(架空の数値)

次の金額はすべて説明のための架空の例で、実際の契約への当てはめではありません。消費税は税率10%(消費税及び地方消費税の合計)で計算しています。

請負代金の数え方の例(架空の数値)
場面数え方500万円との関係
見積書が税抜460万円460万円に消費税10%を加えた506万円で見る500万円以上(税抜の額だけを見ると500万円未満に見えるので注意)
請負代金が税込470万円で、注文者が器具を提供(市場価格40万円)470万円に市場価格40万円を加えた510万円以上で見る500万円以上(運送費を加える場合はさらに増える)
同じ工事を契約A(税込300万円)と契約B(税込250万円)に分けて請け負う正当な理由がなければ、合計550万円で見る500万円以上(正当な理由の有無は許可行政庁へ確認)
税込490万円で、材料の提供も契約の分割もない490万円で見る500万円に満たない

2つ目の例で注文者が提供する材料の市場価格を税込・税抜のどちらで加えるかは、確認した資料に書かれていません。この例では、どちらで加えても500万円以上になる金額にしています。

建築一式工事との違い

500万円未満という基準は、建築一式工事以外の建設工事の基準です。建築一式工事は別の基準が置かれています。

軽微な建設工事の基準(施行令第1条の2第1項)
工事の種類軽微な建設工事の基準
建築一式工事以外(電気工事など)工事1件の請負代金の額が500万円に満たない工事
建築一式工事工事1件の請負代金の額が1,500万円に満たない工事、または延べ面積が150平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事

ガイドラインは、「木造」を建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの、「住宅」を住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するものとしています。

ガイドラインは別に、建設工事の内容は他の工事の内容と重複する場合もあること、建築一式工事には工事の規模や複雑性からみて個別の専門工事として施工することが困難なものも含まれることを示しています。予定する契約が電気工事と建築一式工事のどちらに当たるかは個別の契約内容によるため、契約前に許可行政庁へ確認してください。

名前の似た「軽微な工事」との違い

建設業法の「軽微な建設工事」は、電気工事士法の「軽微な工事」とは別の制度です。前者は建設業許可の要否を請負代金の額で分ける基準です。後者は電気工事士法施行令第1条が電気工事から除いている6類型で、請負代金の額の基準ではありません。

6類型だけを行う場合は電気工事に当たらず、電気工事業法の登録・通知の対象外です。ただし、電気工事に含まれる軽微な作業(電気工事士法施行規則第2条)は、資格が不要でも登録・通知の要否を別に確認します。6類型と軽微な作業の区別は電気工事業の登録・通知が不要なケースの境界で整理しています。

電気工事業の定義には金額基準がない

e-Gov法令検索「電気工事業の業務の適正化に関する法律」第2条第2項は、電気工事業を「電気工事を行なう事業」と定義しています。この定義に、請負代金の額による基準は置かれていません。

500万円未満の工事だから電気工事業の登録・通知も要らない、という整理はできません。建設業許可の要否と電気工事業の登録・通知は別々に確認します。両制度の関係は電気工事業登録と建設業許可の違いで整理しています。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。金額の合計や許可の要否は、契約の内容によって変わります。

予定する工事の内容、契約金額、材料の提供の有無、契約の分け方を示し、許可行政庁へ最終確認してください。取扱いの詳細は国土交通省「建設業許可事務ガイドラインについて」でも確認できます。

建設業許可の有無と扱う電気工作物から電気工事業の4区分を整理するには、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、確認が必要な項目を分けて表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。