公式資料をもとに整理
個人事業主が法人成りした場合の電気工事業登録と建設業許可
個人事業主と法人成り後の法人は、同じ事業名を使っていても別の事業主体です。電気工事業の登録と建設業許可は、それぞれの承継制度を別々に確認し、法人名への単純な名義変更として扱わないことが重要です。
公開日: 2026-08-11 / 最終更新: 2026-08-16 / 制度確認日: 2026-07-26
個人事業主と法人は別の事業主体
法人成りでは、個人事業主が行っていた事業を新たな法人へ移します。屋号、営業所、従業員が同じでも、登録・許可を受ける主体は個人から法人へ変わります。先に法人だけ設立しても、個人名義の登録・許可が自動的に法人へ移るわけではありません。
電気工事業登録は「事業の全部」の譲渡を確認する
e-Gov法令検索「電気工事業の業務の適正化に関する法律」第9条は、登録電気工事業者が登録に係る事業の全部を譲渡した場合、その全部を譲り受けた者が登録電気工事業者の地位を承継すると定めています。承継した法人が欠格事由に該当する場合は承継できません。
承継した法人は、承継の日から30日以内に経済産業大臣または都道府県知事へ届け出ます。承継によって登録証の記載事項が変わる場合は、第10条の変更届をあわせて提出し、登録証の訂正を受けます。一部の資産や契約だけを法人へ移す場合に、第9条の「事業の全部」に当たるかは本文だけで決めず、移行前に登録行政庁へ確認してください。
一方、通知電気工事業者については、登録電気工事業者と同じ承継規定が明文で準用されていません。通知済みの個人事業を法人へ移す場合は、既存通知の廃止と法人による新たな通知を含め、所轄行政庁に手続きを確認する必要があります。
建設業許可を持つことでみなし登録電気工事業者・みなし通知電気工事業者となっている場合は、この第9条の承継規定の対象に含まれません。電気工事業法第34条第1項は、建設業者に対して第2章(登録等、第9条を含む)の規定を適用しないと定めているためです。
法人成り後に事業を引き継ぐ法人は、第9条の承継届ではなく、電気工事業を開始したときの届出または通知(一般用電気工作物等を含む場合は同条第4項の届出、自家用電気工事のみの場合は同条第5項の通知)を新たに行う必要があります。建設業許可取得後の区分の切替は建設業許可を取得した後の電気工事業の扱いで整理しています。
建設業許可は事前の承継認可を確認する
建設業許可を個人で受けている場合は、電気工事業法の承継届だけでは足りません。建設業法上の事業譲渡による地位の承継は、効力が生じる前の認可を前提とする別制度です。
国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」は、個人事業主が法人成りする場合、個人事業主と法人成り後の法人との譲渡契約書を添付するとしています。許可を受けている建設業の一部だけを承継する扱いには制限があるため、法人設立後に考えるのではなく、許可行政庁へ事前に相談する必要があります。
法人成り前に確認する順序
現在の登録・許可を洗い出す
電気工事業の区分、登録行政庁、建設業許可の許可行政庁と業種を確認します。
移す事業範囲を整理する
電気工事業の全部を法人へ移すのか、建設業許可を受けている全業種を承継するのかを整理します。
両方の行政庁へ事前確認する
電気工事業法上の承継届と、建設業法上の事前認可を別々に確認します。
法人側の開始後義務を確認する
主任電気工事士、標識、帳簿、登録証の訂正など、法人名義へ移った後の表示・記録を確認します。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。事業譲渡契約書の作成も対象外です。
法人設立日、事業譲渡日、承継する事業範囲、現在の登録・許可によって必要手続きが変わります。効力発生日を決める前に、電気工事業の登録行政庁と建設業許可行政庁の双方へ確認してください。
登録証の訂正・返納は登録証のガイドを読む、登録後の義務は登録後に確認する義務で確認できます。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。