電源設備と情報伝送設備を契約単位で判定

電気工事と電気通信工事の違い(国土交通省の業種区分の比較表)

発電・変電・配電・構内電気設備を設置する工事は「電気工事」、有線・無線・ネットワーク・放送・情報設備を設置する工事は「電気通信工事」です。弱電か強電かという呼び名だけでなく、完成させる設備と請負契約の内容で許可業種を確認します。

公開日: 2026-08-15 / 最終更新: 2026-10-07 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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国土交通省の工事例で区分する

国土交通省の許可区分資料は、電気工事と電気通信工事を別の専門工事として例示します(国土交通省「建設工事の例示」)。

国土交通省の「建設工事の例示」にある電気工事と電気通信工事の工事例
電気工事電気通信工事
発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事電気通信線路設備工事、電気通信機械設置工事
構内電気設備(非常用電気設備を含む)工事、照明設備工事データ通信設備工事、情報制御設備工事
電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事放送機械設置工事、空中線設備工事、TV電波障害防除設備工事

LAN機器への電源工事は契約範囲を分ける

ネットワーク機器を設置する案件でも、分電盤から専用電源を配線する工事は電気工事、LANケーブル・通信機器・アンテナ等を設置する工事は電気通信工事となり得ます。主たる工事に附帯する工事として施工できる場合もありますが、附帯工事は主たる工事との関連性・必要性が前提です。二つの専門工事を独立して受注するなら、各業種の許可要否を別に判定します。

e-Gov法令検索「建設業法」第4条は、許可を受けた建設業に係る建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事(附帯工事)を請け負えると定めています。国土交通省「建設業許可事務ガイドラインについて」は、附帯工事を主たる建設工事の施工により必要を生じた従たる建設工事、または主たる建設工事を施工するために生じた従たる建設工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないものと定義し、建設工事の注文者の利便・請負契約の慣行等を基準に、準備・実施・仕上げ等を一連または一体の工事として施工することが必要または相当と認められるかを総合的に検討するとしています。

よくある例:防犯カメラ・インターホンの区分

防犯カメラ・インターホンという設備名は、国土交通省の建設工事の例示に個別の工事例としては挙げられていません。電気工事の例示にある「構内電気設備(非常用電気設備を含む)工事」、電気通信工事の例示にある「電気通信線路設備工事」「データ通信設備工事」のいずれに当たるかは、設備名ではなく上記の電源系・通信系という区分に沿って、工事の内容から個別に判断します。

録画機器や本体への分電盤からの電源配線は電気工事、カメラ映像やインターホンの呼出信号を伝送するケーブル配線・ネットワーク機器の設置は電気通信工事に当たり得ます。1件の設置工事に両方の作業が含まれる場合は、電源系と通信系の施工内容と金額を見積書で分けて示します。500万円の軽微な工事の基準を契約全体の金額と内訳のどちらで確認するかは、国土交通省の許可事務ガイドラインに定めがないため、許可行政庁へ確認します。

建設業法の業種区分とは別に、電気工事士の資格が要るか、電気工事業の登録が要るかは、電気工事士法と電気工事業法で判定します。経済産業省の資料は、インターホーン・火災感知器などに使う小型変圧器(2次電圧36ボルト以下のものに限る)の二次側の配線工事を、電気工事士法施行令第1条の「軽微な工事」として電気工事士資格が不要な工事に挙げています(経済産業省「電気工事士等資格が不要な軽微な工事とは」)。また、電気工事業法の「電気工事」は電気工事士法の電気工事から軽微な工事を除いたものと説明しています(経済産業省「電気工事業法に関するQ&A」)。

防犯カメラ・インターホン工事を3つの法律で見た比較
判定する法律何で判定するか分電盤からの電源配線小型変圧器(2次36V以下)の二次側の配線
建設業法(許可の業種)完成させる設備と請負契約の内容。1件500万円以上の工事は許可業種を確認電気工事に当たり得る呼出信号などを伝送する配線なら電気通信工事に当たり得る
電気工事士法(個人の資格)一般用電気工作物・自家用電気工作物(最大電力500キロワット未満の需要設備)を設置・変更する工事のうち、電線相互の接続など施行規則第2条第1項の作業に当たるか同項の作業を含めば電気工事士等でなければ従事できない施行令第1条の軽微な工事として資格不要
電気工事業法(事業者の登録・通知)電気工事士法の電気工事から、軽微な工事と家庭用電気機械器具の販売に付随して行う工事を除いた「電気工事」を業として行うか電気工事業法の電気工事に当たれば登録・通知等の対象軽微な工事は電気工事業法の電気工事から除かれる

資料が資格不要としているのは、2次電圧36ボルト以下の小型変圧器の二次側の配線工事です。同じ設置工事の中でも、小型変圧器より前の電源側の配線や分電盤からの配線は、この除外の記載には含まれていません。なお、同じQ&Aは、工場から出荷された状態のままコンセントに差し込む行為はそもそも電気工事ではないとしています。

資格と登録の関係は電気工事士免状(個人の資格)と電気工事業登録・通知(事業者登録)の違い、登録・通知が要らない場合は電気工事業の登録・通知が不要なケースの境界で確認できます。個別の工事がどれに当たるかは、所轄行政庁へ確認してください。

既設通信設備の改修・修繕も電気通信工事

国土交通省のガイドラインは、既に設置された電気通信設備の改修、修繕、補修も電気通信工事に該当すると整理しています。「新設でない」「機器交換だけ」という理由で建設工事から除外せず、作業内容と請負金額を確認します。一方、単なる機器販売や保守点検だけで建設工事を伴わない契約は別に切り分けます。

ガイドラインは「保守」を「電気通信施設の機能性能及び耐久性の確保を図るために実施する点検、整備及び修理をいう」と定義したうえで、この保守に関する役務の提供等の業務は電気通信工事に該当しないとしています。「改修・修繕・補修」か「保守」かは、この定義に沿って作業内容から確認します。

また、電気通信設備は機械器具設置工事と重複することがあります。ガイドラインは、機械器具の種類によっては電気工事・管工事・電気通信工事・消防施設工事等と重複するものもあるが、原則としてそれぞれの専門の工事に区分し、いずれにも該当しない機械器具や複合的な機械器具の設置だけを機械器具設置工事に区分するとしています。

同じく機械器具設置工事と重複しうる消防用設備等の工事と電気工事の区分は電気工事と消防施設工事の建設業許可区分の違いで確認できます。

なお、エアコンなど空調機器の設置工事は原則「管工事」に区分され、電気工事・機械器具設置工事との関係の整理は本記事の区分の考え方と共通する部分があります。エアコンなど空調機器の設置工事の建設業許可区分で確認できます。

端末設備を回線へつなぐ工事は工事担任者の資格も関わる

電気工事士法、電気工事業法、建設業法のほかに、電気通信事業法にも、通信設備の接続に関わる資格の定めがあります。e-Gov法令検索「電気通信事業法」第71条第1項は、利用者が端末設備または自営電気通信設備を接続するときは、工事担任者資格者証の交付を受けている者(工事担任者)に、その資格者証の種類に応じた工事を行わせるか実地に監督させなければならないと定めています。ただし、総務省令で定める場合は除かれます。

端末設備とは、電気通信回線設備の一端に接続される電気通信設備で、一の部分の設置場所が他の部分と同一の構内(これに準ずる区域内を含む)または同一の建物内にあるものをいいます(同法第52条第1項)。どの機器・工事が端末設備や自営電気通信設備の接続に当たるかは、条文の定義と総務省令で確認します。

電気通信設備の工事に関わる制度の比較
制度問うこと
建設業法請け負う工事に必要な許可業種(電気通信工事など)
電気工事士法電気工作物の工事に従事する個人の資格
電気工事業法電気工事を業として行う事業者の登録・通知
電気通信事業法(第71条)端末設備などを回線へ接続する工事を行う、または監督する人の工事担任者資格

建設業の許可を持つことは、工事担任者資格者証を持つこととは別の話です。逆に、工事担任者の資格だけで建設業の許可業種が決まるわけでもありません。どの工事にどの種類の資格者証が要るか、省令で除外される場合に当たるかは、総務省または総合通信局へ確認してください。

見積・契約時の確認順序

  1. 完成させる設備を電源系と通信系に分ける
  2. 各工事の施工内容と金額を見積書へ明記する
  3. 附帯工事として扱うなら主従関係と必要性を記録する
  4. 500万円の基準の数え方と必要な許可業種を許可行政庁へ確認する
  5. 端末設備を回線へ接続する工事があるなら、工事担任者の資格者を確認する

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。複合設備・附帯工事の許可区分は契約書と仕様書を示して建設業許可行政庁へ確認してください。

500万円基準と電気工事業登録の関係は電気工事業登録と建設業許可の違いで確認できます。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。