公式資料をもとに整理

電気工事士免状(個人の資格)と電気工事業登録・通知(事業者登録)の違い

電気工事士免状は電気工事の作業に従事するための個人の資格、電気工事業の登録・通知は電気工事業を事業として営むための事業者単位の手続きです。根拠法令も別で、両方が必要になる場面と、それぞれで足りる場面を整理します。

公開日: 2026-08-14 / 最終更新: 2026-08-22 / 制度確認日: 2026-07-26

電気工事士免状は個人の作業資格

電気工事士法は、電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、電気工事の欠陥による災害の発生を防止することを目的としていますe-Gov法令検索「電気工事士法」第1条)。この法律でいう「電気工事士」は、第一種電気工事士免状の交付を受けている者(第一種電気工事士)または第二種電気工事士免状の交付を受けている者(第二種電気工事士)を指します(同法第2条第4項、第3条第1項・第2項)。免状は都道府県知事が交付します(同法第4条第2項)。

自家用電気工作物に係る電気工事の作業は第一種電気工事士でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業は第一種電気工事士または第二種電気工事士でなければ、それぞれ従事できません(同法第3条第1項・第2項。保安上支障がないと認められる作業で経済産業省令に定めるものは、この限りではありません)。特殊な自家用電気工事は特種電気工事資格者、簡易な自家用電気工事は認定電気工事従事者が従事できる場合もありますが(同条第3項・第4項)、対象工事の範囲と認定基準は特種電気工事資格者・認定電気工事従事者の認定基準と申請手続きで整理しています。

つまり電気工事士免状は、「誰がその作業に従事してよいか」を定める個人の資格です。事業として電気工事を請け負うかどうかとは、別の話です。

登録・通知は事業者単位の手続き

一方、電気工事業法上の「電気工事業」は、電気工事の施工を反復・継続して行う事業です(e-Gov法令検索「電気工事業の業務の適正化に関する法律」第2条第2項)。経済産業省の「電気工事業法に関する逐条解説」は、他の者から依頼を受けた者が自ら電気工事の全部または一部の施工を反復・継続して行う場合をこれに当たるとしています。

この「電気工事業」に当たる場合、事業者は都道府県知事・産業保安監督部長・経済産業大臣のいずれかへ登録または通知が必要です。対象になるかどうかの境界は電気工事業の登録・通知が不要なケースの境界で、建設業許可の有無・扱う電気工作物の種類による4区分は電気工事業登録と建設業許可の違いで整理しています。

この登録・通知は、個人事業主または法人という事業の主体単位で行う手続きです。電気工事士免状のように、作業者個人に対して交付されるものではありません。

免状があっても事業として営むには別に登録・通知が必要

電気工事士免状を持っているだけでは、事業として電気工事業を営むことはできません。個人事業主が自分自身で施工を行う場合でも、他者からの依頼を受けて反復・継続して電気工事を請け負う以上、免状とは別に事業者としての登録・通知が必要です。

逆に、登録・通知を済ませて事業者として認められても、実際の施工作業に従事できるのは電気工事士等の資格を持つ人に限られます(同法第3条)。登録・通知はあくまで事業を営む資格であり、施工そのものを行う資格を兼ねるものではありません。

事業者登録後も主任電気工事士の個人資格は別に必要

一般用電気工作物等に係る電気工事を行う登録電気工事業者・みなし登録電気工事業者は、営業所ごとに主任電気工事士を置く必要があります。主任電気工事士になれるのも、第一種電気工事士、または第二種電気工事士免状交付後に一定の実務経験を持つ人に限られます。要件・選任手続きの詳細は主任電気工事士の要件・選任・変更手続きで整理しています。

選任後に事業者が確認する義務(標識・帳簿の備え付け等)は電気工事業登録後に確認する義務で整理しています。

個人事業として電気工事業を始める場合、税務署への開業届は電気工事業法の登録・通知とも電気工事士免状とも別の手続きです。開業届との違いは開業届と電気工事業登録・通知の違いで整理しています。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。電気工事士免状の取得・交付は都道府県の電気工事士試験・免状窓口、電気工事業の登録・通知は所轄行政庁の公式資料で最終確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。