公式資料をもとに整理
電気工事業で建設業許可を取得するための人的要件(営業所技術者)
建設業許可(電気工事業)を受けるには、営業所ごとに専任の営業所技術者を置く必要があります。営業所技術者になれる経路は、資格と実務経験による3つです(建設業法第7条)。
公開日: 2026-08-13 / 最終更新: 2026-10-05 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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営業所ごとに専任の営業所技術者を置く要件
e-Gov法令検索「建設業法」第7条は、建設業許可(一般建設業)を受けようとする者の基準の一つとして、営業所ごとに、専任の営業所技術者を置くことを求めています(同条第2号)。営業所技術者は「建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者」と定義されています。
電気工事業登録と建設業許可の違いで整理しているとおり、この許可は電気工事業法の登録・通知とは別の制度です。建設業許可(電気工事業)を新たに取得する場合は、この人的要件を別途確認する必要があります。
ここでいう「専任」とは、その営業所に常勤(テレワークを行う場合を含む)して専らその職務に従事することをいいます。国土交通省「建設業許可事務ガイドラインについて」は、会社の社員の場合、その者の勤務状況・給与の支払状況・人事権の状況等により専任性を判断し、これらの基準で専任性が認められれば出向社員であっても営業所技術者等として取り扱うとしています。
一方、次のような場合は、原則として「専任」の者とはいえないものとして取り扱われます(住所またはテレワークを行う場所が営業所から著しく遠距離にあり常識上通勤不可能な場合、他の営業所〈他の建設業者の営業所を含む〉で専任を要する場合、建築士事務所を管理する建築士や専任の宅地建物取引士等、他の法令により他の事務所等で専任を要することとされている場合〈ただし、専任を要する建設業の営業所が他の法令により専任を要する事務所等を兼ねている場合、その事務所等での専任者は除きます〉、他に個人営業を行っている者や他の法人の常勤役員である者等、他の事業について専任に近い状態にあると認められる場合)。
このガイドラインは、国土交通大臣許可の事務を扱う地方整備局等向けに示されたものです。都道府県知事許可における専任性の運用は、許可行政庁に確認してください。
営業所技術者になれる3つの経路
営業所技術者になれるのは、次の3つの経路のいずれかに該当する者です(同法第7条第2号イ・ロ・ハ)。
| 経路 | 学歴・学科要件 | 実務経験 |
|---|---|---|
| イ | 在学中に国土交通省令で定める学科を修めたうえで卒業 | 高等学校・中等教育学校卒業後5年以上、または大学・高等専門学校卒業後3年以上 |
| ロ | 学歴要件なし | 10年以上 |
| ハ | 国土交通大臣がイまたはロに掲げる者と同等以上の知識・技術・技能を有すると認定した者 | |
いずれの経路も「許可を受けようとする建設業に係る建設工事」に関する要件です。電気工事業の許可を受ける場合は、電気工事に関する実務経験・学科であることが必要になります。経路イの学科の具体的な指定内容と学校別の実務経験年数は、電気工事業の営業所技術者になれる学科と実務経験年数で整理しています。
電気工事業で経路ハに当たる資格6類型(建設業法施行規則第7条の3)
経路ハの「国土交通大臣が認定する者」の範囲は、e-Gov法令検索「建設業法施行規則」第7条の3に定められています。同条第2号の表のうち「電気工事業」の項は、次の6つです。
| 表の番号 | 資格・試験 | 資格取得後に求められる電気工事の実務経験 |
|---|---|---|
| 一 | 技術検定のうち電気工事施工管理に係る1級または2級の第二次検定に合格 | 表の文言に年数の定めなし |
| 二 | 技術士第二次試験のうち、技術部門を電気電子部門・建設部門、または総合技術監理部門(選択科目を電気電子部門・建設部門に係るものとするものに限る)とするものに合格 | 表の文言に年数の定めなし |
| 三 | 第一種電気工事士免状の交付、または第二種電気工事士免状の交付 | 第一種は表の文言に年数の定めなし。第二種は免状の交付後3年以上 |
| 四 | 第一種・第二種・第三種電気主任技術者免状の交付(電気事業法附則第7項により交付を受けているとみなされた者を含む) | 免状の交付後5年以上 |
| 五 | 建築設備士(建築士法第2条第5項) | 建築設備士となった後1年以上 |
| 六 | 国土交通大臣の登録を受けた計装の試験(登録計装試験)に合格 | 合格後1年以上 |
第二種電気工事士免状の交付後に電気工事の実務経験3年以上という類型は、経路ロの実務経験10年以上とは別の経路です。同条第1号には、旧実業学校卒業程度検定規程・旧専門学校卒業程度検定規程による検定に合格した後の実務経験による類型も定められています。同条には、登録基幹技能者講習(建設業の種類に応じて国土交通大臣が認めるもの)の修了者(第3号)と、国土交通大臣が前3号と同等以上と認める者(第4号)も定められています。
この表は、一般建設業の営業所技術者(建設業法第7条第2号ハ)の範囲です。特定建設業の許可を受ける場合の特定営業所技術者は、同法第15条第2号で別に要件が定められています。免状・合格証の写しや実務経験の証明書類など、ご自身が該当するかの確認方法は、許可行政庁に確認してください。
表の電気工事施工管理に係る検定の受検資格と手数料は電気工事施工管理技術検定の受検資格・技士補・受検手数料で整理しています。
電気工事業で経路ロ(実務経験10年以上)を使う場合
経路ロを使う場合に必要になるのは、電気工事に関し10年以上の実務の経験です。経路イと異なり、学歴要件はありません。
電気工事は、電気工事士免状の交付を受けた者等でなければ直接従事できない工事です。国土交通省「建設業許可事務ガイドラインについて」は、このような工事に直接従事した実務の経験について、電気工事士免状の交付を受けた者等として従事した期間に限り実務経験の期間に算入するとしています。
同ガイドラインは、「実務の経験」を建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験とし、ただ単に建設工事の雑務のみを行っていた経験年数は含まれないとしています。一方、建設工事の発注に当たって設計技術者として設計に従事した経験や、現場監督技術者として監督に従事した経験、土工及びその見習いに従事した経験などは実務の経験に含まれます。
実務経験の期間は、具体的に建設工事に携わった経験期間の積み上げによる合計期間とし、期間が重複している場合は原則として二重に計算しません。証明には実務経験証明書(様式第九号)を用い、具体的な工事件名を挙げて実務経験の内容を記載し、記載された期間の合計が必要年数を満たしているかを確認します。
様式第九号の記入と証明者の決まりは実務経験証明書(様式第九号)の書き方と証明者で整理しています。
このガイドラインは国土交通大臣許可の事務を扱う地方整備局等向けに示されたものであり、都道府県知事許可における運用は許可行政庁に確認してください。
ただし、証明書類・様式の具体的な運用は許可行政庁によって扱いが異なるため、本記事では扱いません。申請時に必要な書類は、許可行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)の窓口で確認してください。営業所技術者等証明書・実務経験証明書を含む提出書類の全体像は建設業許可(電気工事業)の申請書類・様式一覧で整理しています。
営業所技術者以外にも確認する人的要件
営業所技術者の要件は、建設業法第7条が定める許可基準の一つです。同条は他に、経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者であること(第1号)、請負契約に関して不正・不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと(第3号)、請負契約を履行するに足りる財産的基礎・金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと(第4号)も基準としています。第3号・第4号の具体的な基準は本記事では扱いません(電気工事業で建設業許可を取得するための誠実性・財産的基礎要件(建設業法第7条第3号・第4号)で整理しています)。
また、特定建設業の許可を受ける場合は、営業所技術者よりも要件が厳しい「特定営業所技術者」を置く必要があります(同法第15条第2号)。一般建設業と特定建設業のどちらの許可が必要かは、発注者から直接請け負う下請契約の金額などによって決まりますが、この判定基準は本記事では扱いません(電気工事業の一般建設業許可と特定建設業許可の違いで整理しています)。
電気工事業法の主任電気工事士との違い
電気工事業法上の主任電気工事士は、登録電気工事業者・みなし登録電気工事業者が一般用電気工作物等に係る電気工事を行う特定営業所に置く別の資格者です。
営業所技術者(建設業法)と主任電気工事士(電気工事業法)は、根拠法令も選任要件も異なる別の制度です。同一人物がどちらも兼ねられるかどうかは、本記事では扱いません。建設業許可と電気工事業の登録・通知をどちらも必要とする場合、それぞれの人的要件を別々に確認してください。
また、建設業法上は営業所技術者とは別に、実際に請け負った工事現場ごとに主任技術者・監理技術者を置く義務もあります(同法第26条)。工事現場ごとの配置義務・専任配置が必要な工事の範囲・営業所技術者による兼任特例は建設業法の主任技術者・監理技術者の設置義務とはで整理しています。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。実務経験・資格の該当性や必要書類は、許可行政庁の公式資料または窓口で最終確認してください。
取引先が建設業許可を持っているかを調べる方法は取引先の建設業許可の有無を確認する方法を参照してください。
既に他の業種で建設業許可を持ち、新たに電気工事業を追加する業種追加の手続きは建設業許可(電気工事業)の業種追加の手続きで整理しています。その場合も、電気工事業について、この記事で整理した営業所技術者の要件を満たす必要があります。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。