公式資料をもとに整理
建設業許可(電気工事業)の監督処分(指示・営業停止・許可取消し)
建設業許可(電気工事業)を持つ事業者への行政処分は、指示・営業停止・許可取消しの3段階です。電気工事業法上の登録・通知に対する監督処分とは根拠法・処分権者が異なります。建設業法第28条・第29条を中心に整理します。
公開日: 2026-08-24 / 最終更新: 2026-08-24 / 制度確認日: 2026-07-26
監督処分の全体像(電気工事業法との違い)
e-Gov法令検索「建設業法」第28条・第29条は、国土交通大臣または都道府県知事が建設業者に対して行う指示・営業停止・許可取消しを定めています。 処分の重さは指示(業務改善を求める措置)→営業停止(最長1年間の業務停止)→許可取消し(許可自体の消滅)の順です。
この記事が扱うのは建設業許可(電気工事業)を持つ事業者への処分です。電気工事業法上の登録・通知(危険等防止命令、登録取消し・事業停止、罰則)は電気工事業法の監督処分と罰則で別に整理しています。 建設業許可を取得すると電気工事業法上の登録がみなし登録・みなし通知へ切り替わる仕組みは建設業許可を取得した後の電気工事業の扱いで確認できます。
指示(第28条第1項・第2項)
国土交通大臣または都道府県知事は、許可を受けた建設業者が次のいずれかに該当する場合、必要な指示をすることができます(第28条第1項)。 無許可で建設業を営む者についても、都道府県知事が同様の指示をできる規定があります(同条第2項)。
| 号 | 事由の要点 |
|---|---|
| 第1号 | 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼした、またはそのおそれが大きいとき |
| 第2号 | 請負契約に関し不誠実な行為をしたとき |
| 第3号 | 建設業者(法人ならその役員等)や政令で定める使用人が他の法令に違反し、建設業者として不適当と認められるとき |
| 第4号 | 一括下請負の禁止(第22条)等に違反したとき |
| 第5号 | 主任技術者・監理技術者が施工管理について著しく不適当で、変更が公益上必要と認められるとき |
| 第6号 | 無許可業者と下請契約を締結したとき |
| 第7号 | 下請代金の額が政令で定める金額以上となる下請契約を、特定建設業者以外の者と締結したとき |
| 第8号 | 営業停止・営業禁止を受けている者と、その停止・禁止の範囲に係る下請契約を情を知って締結したとき |
| 第9号 | 住宅瑕疵担保履行法の資力確保義務等に違反したとき |
第28条第1項は、上記9号列挙とは別に、一部の条文を除く建設業法の規定(入札契約適正化法・履行確保法の一部規定を含む)に違反した場合も、独立に指示の対象としています。除外されるのは第19条の3第1項・第19条の4・第24条の3第1項・第24条の4・第24条の5・第24条の6第3項・第4項で、これらは第42条により独占禁止法違反に当たる場合は公正取引委員会への措置請求という別ルートで扱われるための除外です。それ以外の規定違反は建設業者側にも指示の対象になり得ます。
たとえば、2025年12月に全面施行された不当に低い請負代金の禁止(第19条の3第2項)、著しく短い工期の禁止(第19条の5第2項)、材料費等記載見積書の額を著しく下回る記載・変更要求の禁止(第20条第2項・第6項)は、この除外リストに含まれていません。これらの規定に建設業者が違反した場合も、9号列挙とは別ルートで指示の対象になり得ます。
営業停止(第28条第3項・第5項)
国土交通大臣または都道府県知事は、建設業者が第28条第1項各号のいずれかに該当するとき、または指示に従わないときは、1年以内の期間を定めて営業の全部または一部の停止を命じることができます(第28条第3項)。都道府県知事は、自らが許可した業者だけでなく、国土交通大臣や他の都道府県知事の許可を受けて当該都道府県の区域内で営業する業者に対しても、同様の停止処分ができます(同条第5項)。
指示に従うかどうかにかかわらず、事由の内容によっては指示を経ずに直接、営業停止の対象になり得ます。処分をした都道府県知事は、国土交通大臣または他の都道府県知事へ遅滞なく報告・通知しなければなりません(同条第6項)。
許可取消し(第29条)
国土交通大臣または都道府県知事は、許可を受けた建設業者が次のいずれかに該当するときは、その許可を取り消さなければなりません(第29条第1項、必要的取消し)。建設業許可の欠格要件(建設業法第8条)に後発的に該当した場合(第2号)も含まれます。欠格要件そのものは建設業許可(電気工事業)の欠格要件で整理しています。
経営業務・営業所技術者等の基準を満たさなくなった場合(第1号)
許可を受けた後に、経営業務の管理責任者等や営業所技術者の基準を欠くに至った場合が該当します。
欠格要件(第8条)に該当するに至った場合(第2号)
許可取得後に破産・拘禁刑・暴力団員該当などの欠格要件に該当した場合が該当します。
不正の手段による許可・更新・承継認可(第7号)
不正の手段で許可、許可の更新、事業承継の認可を受けた場合です。取消しから5年間は再取得できません。
指示事由が情状特に重い場合・営業停止命令違反(第8号)
第28条第1項各号の事由が特に重い場合、または営業停止処分に違反して営業した場合です。
このほか、許可を受けてから1年以内に営業を開始しない・引き続き1年以上営業を休止した場合(第4号)、廃業等の届出事由(第5号)に該当する場合なども必要的取消しの対象です。付された条件への違反(第29条第2項)は必要的ではなく裁量的な取消し事由です。
役員等個人にも及ぶ営業禁止(第29条の4)
営業停止・許可取消しの処分は、法人・個人という事業者単位だけでなく、その役員等や処分原因の事実について相当の責任を有する使用人にも及びます。営業停止を命じる場合、行政庁は当該役員等・使用人に対し、停止と同じ期間、新たに営業を開始すること(対象業種を目的とする法人の役員等になることを含む)を禁止しなければなりません(第29条の4第1項)。
不正の手段による許可(第29条第1項第7号)または情状特に重い場合・停止命令違反(同項第8号)を理由に許可を取り消す場合は、対象の役員等・使用人に対して5年間、新たな営業開始が禁止されます(同条第2項)。処分日前60日以内に役員等・使用人であった者も対象に含まれます。
処分前の手続きと処分後も施工できる工事
許可取消し(第29条)に係る処分は行政手続法上の聴聞を経て行われ、指示・営業停止・営業禁止(第28条、第29条の4)に係る処分は弁明の機会の付与を経て行われます(第32条)。いずれも、主宰者・行政庁は必要があると認めるときは参考人の意見を聴かなければなりません。
許可が効力を失った場合や営業停止・取消しの処分を受けた場合でも、処分前に締結済みの請負契約に係る建設工事は、施工を継続できます(第29条の3第1項)。この場合、処分を受けた者は2週間以内に注文者へその旨を通知しなければならず、注文者は通知を受けた日または処分を知った日から30日以内に限り、請負契約を解除できます(同条第5項)。 行政庁は、公益上必要があると認めるときは、この施工の差止めを命じることもできます(同条第3項)。
監督処分簿と公表制度
国土交通大臣または都道府県知事は、営業停止・許可取消し・所在不明による取消し(第28条第3項・第5項、第29条、第29条の2第1項)の処分をしたときは公告しなければなりません(第29条の5第1項)。指示または営業停止の処分を受けたときは、建設業者監督処分簿に処分の年月日・内容等を登載します(同条第3項)。この監督処分簿は公衆の閲覧に供されます(同条第4項)。
国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト」の建設業者向けページでは、許可取消し・営業停止・指示・勧告の4種類の処分について、最近5年分の情報を検索できます(本記事執筆時点で確認、情報は概ね1か月に1度更新)。処分を行った行政庁、処分年月日、商号または名称、処分理由の類型(技術者関係違反・一括下請負など)で検索できます。 制度の詳細・最新の掲載内容は国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト(建設工事)」で確認してください。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。 処分を受けた場合や違反の可能性がある場合は、通知書面と事実関係をもとに、許可を受けた国土交通大臣または都道府県知事の窓口へ確認してください。
電気工事業法上の登録・通知に対する監督処分・罰則は電気工事業法の監督処分と罰則、 許可を受けられない欠格要件は建設業許可(電気工事業)の欠格要件で確認できます。
まだ区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。