公式資料をもとに整理
複数営業所がある場合の電気工事業の提出先
電気工事業の登録・通知の提出先は、施工場所ではなく営業所の配置で決まります。営業所が一つの都道府県にとどまるか、複数の都道府県にまたがるかで、都道府県知事・産業保安監督部長・経済産業大臣のいずれかに分かれます。
公開日: 2026-08-06 / 最終更新: 2026-08-24 / 制度確認日: 2026-07-26
「営業所」は施工場所ではなく施工管理を行う拠点
電気工事業法上の「営業所」は、電気工事の作業の管理を行わない拠点を含みません(e-Gov法令検索「電気工事業の業務の適正化に関する法律」第3条第1項)。契約締結や経営管理だけを行い、施工管理を別の拠点へ行わせている場所は、この数え方に含めません。工事1件ごとの施工場所も、営業所の数には数えません。
建設業法の「営業所」とは基準が異なる
建設業許可を持つ事業者は、建設業法上の「営業所」の数え方も別途確認が必要です。国土交通省のガイドラインは、建設業法上の営業所を「本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所」と説明しています。
本店・支店であっても、他の営業所へ請負契約に関する指導監督を行うなど建設業に係る営業に実質的に関与する場合は営業所に該当します。「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、見積り・入札・契約締結等の実体的な行為を行う事務所を指し、契約書の名義人がその事務所の代表者かどうかは問いません。
電気工事業法の「営業所」は電気工事の施工管理を基準にしますが、建設業法の「営業所」は請負契約の締結・営業への実質的関与を基準にします。同じ拠点でも、電気工事業法上は営業所に数えず建設業法上は営業所に該当する(またはその逆の)ケースがありうるため、両方の基準で別々に数える必要があります。建設業許可との関係は電気工事業登録と建設業許可の違いで整理しています。
提出先を分ける3つのパターン
| 営業所配置 | 提出先 |
|---|---|
| 一つの都道府県の区域内にのみ営業所を設置 | 営業所所在地の都道府県知事 |
| 二以上の都道府県の区域内に営業所を設置し、同一の産業保安監督部の管轄内におさまる | 管轄する産業保安監督部長 |
| 二以上の産業保安監督部の管轄にまたがって営業所を設置 | 経済産業大臣 |
登録電気工事業者は、一つの都道府県の区域内にのみ営業所を設置する場合は当該都道府県知事の登録を、二以上の都道府県の区域内に営業所を設置する場合は経済産業大臣の登録を受けます(同法第3条第1項)。経済産業大臣の権限は、政令の定めるところにより産業保安監督部長に行わせることができます(同法第35条)。この委任の結果、実務上は都道府県知事・産業保安監督部長・経済産業大臣の3段階に分かれます。
監督部の管轄は都道府県の数と一致しない場合がある
産業保安監督部の管轄は、本部と支部で複数の都道府県をまとめて担当している場合があります。例えば関東東北産業保安監督部は、関東地方に加え、東北支部として青森県・岩手県・秋田県・山形県・宮城県・福島県・新潟県を管轄します(関東東北産業保安監督部「申請書等の提出先」)。この場合、関東地方の都道府県と東北支部管内の都道府県の両方に営業所を設置しても、同じ関東東北産業保安監督部が提出先になります。
つまり、営業所が置かれた都道府県の数だけを見て「複数の監督部にまたがるはずだから経済産業大臣」と判断するのは早計です。監督部と支部・監督署をまたぐ組合せの中には、同一の提出先として扱われるものがあります。営業所の都道府県ごとに、現在の監督部の管轄表を確認してください。
営業所の異動で提出先が変わったとき
経済産業大臣の登録を受けた登録電気工事業者が、その後一つの都道府県の区域内にのみ営業所を有することとなった場合は、その日から30日間は従前の登録がなお効力を持ちます。その期間内に都道府県知事の登録を申請すれば、登録または拒否の処分があるまで同様に扱われます(同法第8条第1項)。都道府県知事の登録を受けたときは、遅滞なく経済産業大臣へ届け出ます(同条第2項)。
都道府県知事の登録を受けた登録電気工事業者が、その後複数の都道府県に営業所を持つ、または他の都道府県知事の管轄に営業所を移すなどして提出先が変わる場合も、新たな提出先で登録を受けたときは、遅滞なく従前の都道府県知事へ届け出ます(同条第3項)。従前の都道府県知事の登録は、その時点で効力を失います(同法第13条)。
通知電気工事業者にも、同様の届出・通知の仕組みがあります(同法第17条の2第2項・第3項)。この異動とは別の、通常の変更届・廃止届の期限は電気工事業登録・通知の更新・変更・廃止の手続きで整理しています。
経済産業省の逐条解説は、この異動の扱いを3パターンの具体例で示しています(経済産業省「電気工事業法に関する逐条解説」第8条解説)。
- 複数都道府県に営業所を設置していた事業者が営業所を減らし1つの都道府県のみになった場合:経済産業大臣(または産業保安監督部長)の登録から、その都道府県知事の登録へ切り替わります。営業所を廃止してから30日間は、経済産業大臣の登録がなお効力を持ちます。
- 1つの都道府県のみに営業所を設置していた事業者が別の都道府県に営業所を増設した場合:新たに経済産業大臣(または産業保安監督部長)の登録が必要になり、その登録を受けるまでは増設した営業所を本拠にした電気工事を行えません。
- 都道府県知事の登録を受けていた事業者が、営業所を廃止して別の都道府県に営業所を移した場合:移転先の都道府県知事の登録を受けたときは、遅滞なく従前の都道府県知事へ届け出ます。
行政庁が変わる場合は、いったん従前の事業を廃止の届出をしたうえで、あらためて新しい行政庁の登録を受ける方法を選ぶこともできます(同解説第8条解説3)。この場合は上記の異動の手続きは適用されません。
経済産業大臣の登録のまま、産業保安監督部の管轄区域の数だけが変わる場合は、上記とは別の届出先ルールが適用されます。経済産業大臣の登録を受けた登録電気工事業者が、その後一つの産業保安監督部の管轄区域内にのみ営業所を有することとなったときは、変更の届出(同法第10条第1項)はその産業保安監督部長に提出します。逆に、産業保安監督部長の登録を受けた登録電気工事業者が、その後二以上の産業保安監督部の管轄区域内に営業所を有することとなったときは、変更の届出は経済産業大臣に提出します(経済産業省「電気工事業の業務の適正化に関する法律の事務処理要領(内規)」法第10条関係)。
都道府県の数が変わらなくても、監督部の管轄区域の数が変わればこの届出先ルールが適用される点に注意してください。
この変更届出は、変更前・変更後の届出事項をすべて記載し、添付書類は変更後の主任電気工事士全員に関するものを添えます。届出を受けて新たに登録した行政庁は、従前の登録をした行政庁へ変更届出の写しを提出します。
公式窓口で確認する事項
営業所が一つの都道府県内に収まる場合は、経済産業省の「電気工事2法・都道府県担当課リスト」から、都道府県名・担当部課・住所・電話番号を直接確認できます。この一覧は2025年5月時点の情報です。組織改編や連絡先変更の可能性があるため、一覧で担当課を特定した後、その都道府県の現行公式ページも確認してください。
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。実際の営業所の配置と提出先は、経済産業省または管轄の産業保安監督部の現行の管轄表で最終確認してください。
まだ提出先を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、営業所配置から提出先候補を表示できます。