公式資料をもとに整理
一般用電気工作物と自家用電気工作物の違い
一般用電気工作物は、電圧600V以下で受電する一般家庭・小規模店舗等の設備が目安で(現行条文は「等」付きで、小規模事業用電気工作物も含みます)、自家用電気工作物は、電圧600V超で受電するビル・工場等の設備が目安です。電気工事士法上の自家用電気工作物からは、発電所・変電所・最大電力500キロワット以上の需要設備等が除かれます。4項目の違いは早見表で比べられ、個別の設備がどちらに当たるかは所轄行政庁で確認してください。
電気工事業法上の4区分は、建設業許可の有無と、一般用電気工作物等を扱うか自家用電気工作物だけを扱うかの2軸で決まります。建設業許可の軸は電気工事業登録と建設業許可の違いで整理しました。ここでは、もう一方の軸である工事範囲の見分け方を、対象となる建物・設備の具体例から整理します。
公開日: 2026-08-06 / 最終更新: 2026-10-17 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
運営: 電気工事業セルフチェック編集部。AIを活用して作成し、公開前に公式資料と照合しています。訂正の記録は運営情報に載せています。
- 受電の目安
- 一般用は電圧600V以下の家庭・小規模店舗等、自家用は電圧600V超のビル・工場等(電気事業法第38条)
- 電気工事に必要な資格
- 一般用は第二種電気工事士以上、自家用は第一種電気工事士(600V以下の簡易電気工事は認定電気工事従事者も可)(電気工事士法第3条)
- 保安の担い手
- 一般用は電線路維持運用者が調査、自家用は設置者が保安規程の届出と主任技術者の選任を行う(電気事業法第57条・第42条・第43条)
- 確認先
- 個別の設備がどちらに当たるかは、所轄行政庁で確認する
4つの違いを一目で(電気事業法の定義)
「一般用電気工作物 自家用電気工作物 違い」で調べる場合の要点です。電気事業法第38条は、電気工作物を一般用電気工作物、小規模事業用電気工作物、自家用電気工作物などに分けています。「一般電気工作物」という区分は同条にありません(e-Gov法令検索「電気事業法」、2026-10-08確認)。
| 項目 | 一般用電気工作物 | 自家用電気工作物 |
|---|---|---|
| 定義 | 構内に設置し、低圧受電電線路以外の電線路で構外の電気工作物とつながらない電気使用設備と、出力が基準未満の小規模発電設備など(第38条第1項) | 一般用電気工作物以外の電気工作物のうち、電気事業等の用に供するものを除いたもの(第38条第4項) |
| 受電の目安 | 電圧600V以下で受電する一般家庭、小規模店舗等 | 電圧600V超で受電するマンション、中小ビル、工場等 |
| 保安の担い手 | 電線路維持運用者が技術基準適合を調査する(第57条) | 設置者が保安規程の届出と主任技術者の選任を行う(第42条・第43条) |
| 電気工事に必要な資格 | 第二種電気工事士以上(電気工事士法第3条第2項) | 第一種電気工事士。600V以下の簡易電気工事は認定電気工事従事者も可(同条第1項・第4項) |
各項目の根拠と例外は、次の「法律上の定義」から順に説明します。
一般用電気工作物とは(法律上の定義)
一般用電気工作物は電気事業法の区分で、電気工事士法では小規模事業用電気工作物と合わせて「一般用電気工作物等」として扱われ、自家用電気工作物とは別の区分です。個別の設備の区分は所轄行政庁(経済産業省の産業保安監督部)への確認が前提です。
電気工事士法上、「一般用電気工作物等」は一般用電気工作物と小規模事業用電気工作物を、「自家用電気工作物」はそれ以外の自家用電気工作物(小規模事業用電気工作物、発電所・変電所、最大電力500キロワット以上の需要設備等を除いたもの)を指します(e-Gov法令検索「電気工事士法」第2条第1項・第2項)。除かれる「経済産業省令で定めるもの」は、電気工事士法施行規則第1条の2(e-Gov法令検索「電気工事士法施行規則」)で、発電所、蓄電所、変電所、最大電力500キロワット以上の需要設備、送電線路(附属する開閉所その他の電気工作物を含み、専ら通信の用に供するものを除く)および保安通信設備と定められています。この定義は電気事業法上の区分を引用する形になっており、条文だけでは対象を具体的にイメージしにくいため、次の見出しで経済産業省の解説に基づく具体例を整理します。
小規模事業用電気工作物の具体例としては、出力10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備が挙げられます(経済産業省「太陽電池発電設備を設置する場合の手引き」)。出力帯ごとの区分や設置者・施工業者双方の確認事項は太陽光発電設備の出力区分で整理しています。
小規模発電設備に当たる出力の上限(第48条第2項)と、そのうち一般用電気工作物と小規模事業用電気工作物を分ける出力(同条第4項)は、発電設備の種類によって異なります(e-Gov法令検索「電気事業法施行規則」第48条第2項・第4項)。太陽電池発電設備は10kW未満が一般用電気工作物側、10kW以上50kW未満が小規模事業用電気工作物ですが、風力発電設備は両者を分ける出力が0kWと定められているため、発電設備単独で設置される出力20kW未満の風力発電設備はすべて小規模事業用電気工作物に当たります(関東東北産業保安監督部東北支部「出力20kW未満の風力発電設備(小規模事業用電気工作物)」)。他の発電設備の種類別の出力基準は下の早見表の後に整理します。
水力発電設備(最大使用水量が毎秒1立方メートル未満でダムを伴わないもの等)は小規模発電設備の上限が20kW未満、両者を分ける出力が20kWで、内燃力を原動力とする火力発電設備・施行規則が定める要件に該当する燃料電池発電設備・スターリングエンジン発電設備はいずれも上限が10kW未満、両者を分ける出力が10kWです(施行規則第48条第2項・第4項)。小規模発電設備の上限と両者を分ける出力が同じ値であるため、これらの発電設備には小規模事業用電気工作物に当たる出力帯がありません。
「一般用電気工作物」と「一般用電気工作物等」の呼び方の違い
検索や古い資料では「一般用電気工作物」と書かれることが多く、現在の電気工事士法の条文は「一般用電気工作物等」と書きます。「等」が付くのは、一般用電気工作物に小規模事業用電気工作物を加えた範囲を指すためです。電気工事士法第2条第1項は、一般用電気工作物等を「一般用電気工作物」と「小規模事業用電気工作物」と定めています(e-Gov法令検索「電気工事士法」)。
| 言い方 | 指す範囲 | 根拠 |
|---|---|---|
| 一般用電気工作物 | 一般家庭・商店等の屋内配電設備、出力が基準未満の小規模発電設備など(電気事業法上の定義) | 電気事業法第38条第1項 |
| 小規模事業用電気工作物 | 一般用電気工作物以外で、太陽電池発電設備は出力10kW以上50kW未満、風力発電設備は出力20kW未満などのもの | 電気事業法第38条第3項(出力の数値は電気事業法施行規則・逐条解説) |
| 一般用電気工作物等 | 上の2つを合わせた範囲。電気工事士法と電気工事業法の条文で使う言い方 | 電気工事士法第2条第1項 |
電気工事は「一般用電気工作物等又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事」と定義されています(電気工事士法第2条第3項)。「一般用電気工作物」と書かれた旧い解説を読むときは、現在の条文では小規模事業用電気工作物の工事も同じ側に入る点に注意してください。
電気工事業法の逐条解説も、同法の「一般用電気工作物等」を一般用電気工作物と小規模事業用電気工作物と説明しています(経済産業省「電気工事業法の逐条解説」第2条の解説)。どの設備がどちらに当たるかの最終判断は、所轄行政庁で確認してください。
一般用電気工作物そのものの定義と発電設備の種類別の出力は一般用電気工作物とはのガイドで整理しています。
一般用電気工作物等の具体例
経済産業省「電気工事の安全」は、一般用電気工作物等の対象を一般家庭、商店等の屋内配電設備、小規模発電設備等としています(経済産業省「電気工事の安全」、電気工事士法逐条解説P2-3)。一般家庭のコンセント増設や屋内配線の工事、商店の屋内配電設備の工事は、一般用電気工作物等に係る電気工事に当たります。
建物の見た目だけで判断できない場合は、受電電圧が目安になります。経済産業省「家庭用エアコンの設置・修理の工事について」は、一般用電気工作物が設置されている建物のイメージを「電圧600V以下で受電する一般家庭、小規模店舗等」としています(経済産業省「家庭用エアコンの設置・修理の工事について」)。
ただし、受電電圧が600V以下でも、一般用電気工作物から外れる場合が2つあります。e-Gov法令検索「電気事業法」第38条第1項ただし書きは、(1)小規模発電設備以外の発電用の電気工作物と同一の構内に設置するもの、(2)爆発性または引火性の物が存在するため電気工作物による事故が発生するおそれが多い場所として経済産業省令で定める場所に設置するもの、の2つを一般用電気工作物の定義から除いています。この2つに当たるかどうかの判定は個別の設備配置・場所の確認が必要なため、該当の可能性がある場合は所轄行政庁または経済産業省の公式資料で確認してください。
自家用電気工作物とは(法律上の定義)
電気事業法第38条第4項は、一般用電気工作物と、一般送配電事業・送電事業・配電事業・特定送配電事業などの用に供する電気工作物を除いた電気工作物を「自家用電気工作物」としています。ビルや工場などの設置者が自分の事業や生活のために使う高圧受電設備などが、ここに入ります(e-Gov法令検索「電気事業法」第38条、2026-10-17確認)。
同条第2項は、一般用電気工作物以外の電気工作物を「事業用電気工作物」と呼びます。自家用電気工作物は事業用電気工作物の一種で、設置者が保安規程の届出や主任技術者の選任を行う点が、一般用電気工作物との大きな違いです。電気工事士法では、この定義のうち小規模事業用電気工作物などを除いたものを「自家用電気工作物」と呼びます(前の節)。
設置者側の手続は自家用電気工作物の設置者が行う手続に、事業用電気工作物全体の位置づけは事業用電気工作物の概要に書いています。自家用電気工作物の定義そのものは自家用電気工作物とはで整理しています。個別の設備がどちらに当たるかは、所轄の産業保安監督部へ確認してください。
自家用電気工作物の定義を電気事業法の条文の構造(除外で決まる)から確認したい場合は、自家用電気工作物とは(電気事業法の定義と電気工事士法の除外)で整理しています。
自家用電気工作物の具体例
同資料は、自家用電気工作物の対象をビル、工場等の需要設備(最大電力500キロワット未満)としています。非常用予備発電装置は、需要設備の附帯設備として需要設備の範疇に含まれます(同資料)。ビルの受変電設備や工場の動力設備の工事は、自家用電気工作物に係る電気工事に当たります。
同じ経済産業省資料は、自家用電気工作物が設置されている建物のイメージを「電圧600V超で受電するマンション、中小ビル、工場等(最大電力500キロワット未満の需要設備に限る。)」としています。容量の基準(500キロワット未満)だけでなく、受電電圧が600Vを超えるかどうかも、自家用電気工作物かどうかを見分ける目安になります。
最大電力500キロワット以上の需要設備や発電所・変電所は、電気工事士法上の自家用電気工作物からも除かれます。この規模になると電気事業法上の別の規制体系が関わるため、対象になるかどうかは案件ごとに確認が必要です。除かれる6種の設備と登録・通知の関係は電気工事士法・電気工事業法の対象外となる電気工作物と登録・通知の関係で整理しています。
一般用電気工作物等と自家用電気工作物の早見表
ここまでの内容を、定義の根拠・具体例・受電電圧の目安・規模の目安の4項目で見比べられるように整理します。
| 項目 | 一般用電気工作物等 | 自家用電気工作物 |
|---|---|---|
| 定義の根拠 | 電気工事士法第2条第1項(一般用電気工作物と小規模事業用電気工作物) | 電気工事士法第2条第2項(上記・小規模事業用電気工作物のほか、施行規則第1条の2の発電所・蓄電所・変電所・最大電力500キロワット以上の需要設備・送電線路・保安通信設備を除いた自家用電気工作物) |
| 具体例 | 一般家庭、商店等の屋内配電設備、小規模発電設備等 | ビル、工場等の需要設備(非常用予備発電装置を含む) |
| 受電電圧の目安 | 電圧600V以下で受電する一般家庭、小規模店舗等 | 電圧600V超で受電するマンション、中小ビル、工場等 |
| 規模の目安 | 上記の具体例に該当する規模 | 最大電力500キロワット未満の需要設備(500キロワット以上は自家用電気工作物からも除かれ、電気事業法上の別の規制体系が関わるため案件ごとの確認が必要) |
表の内容はいずれもこの記事の本文(法律上の定義・具体例の各見出し)で説明した内容の再整理で、新しい事実は追加していません。
小規模発電設備に当たるかどうか・小規模事業用電気工作物に当たるかどうかの出力基準は発電設備の種類ごとに異なるため、種類別に一覧化します。
| 発電設備の種類 | 一般用電気工作物側の上限 | 小規模事業用電気工作物になる出力帯 |
|---|---|---|
| 太陽電池発電設備 | 10kW未満 | 10kW以上50kW未満 |
| 風力発電設備 | 該当なし | 20kW未満(単独設置の場合はすべて該当) |
| 水力発電設備(最大使用水量が毎秒1立方メートル未満でダムを伴わないもの等) | 20kW未満 | 該当なし(第2項の上限と第4項の境目が同じ値のため) |
| 内燃力を原動力とする火力発電設備 | 10kW未満 | 該当なし(第2項の上限と第4項の境目が同じ値のため) |
| 燃料電池発電設備・スターリングエンジン発電設備(施行規則が定める要件に該当するもの) | 10kW未満 | 該当なし(第2項の上限と第4項の境目が同じ値のため) |
出力の数え方にも注意が必要です。同一構内に複数の対象設備を電気的に接続して設置し、それらの合計出力が50kW以上になる場合は、上表の区分によらずいずれも小規模発電設備には当たりません(e-Gov法令検索「電気事業法施行規則」第48条第2項ただし書き)。
受電600V以下でも一般用から外れる場合(爆発性の場所・他の発電設備)
受電電圧が600V以下でも、一般用電気工作物にならない場合があります。電気事業法第38条第1項のただし書は、小規模発電設備以外の発電設備と同一の構内に設置するものと、爆発性または引火性の物が存在して事故のおそれが多い場所として経済産業省令で定める場所に設置するものを、一般用電気工作物から除いています(e-Gov法令検索「電気事業法」第38条第1項)。この「経済産業省令で定める場所」は、火薬類取締法第2条第1項に規定する火薬類(煙火を除く)を製造する事業場と、鉱山保安法施行規則が適用される鉱山のうち同令第1条第2項第8号に規定する石炭坑の2つです(e-Gov法令検索「電気事業法施行規則」第48条第3項)。
次の表は、条文のただし書と本文の要件を、確認しやすい順に並べた目安です。実際の区分は設備の構成や受電の形で変わるため、個別の設備は所轄の産業保安監督部などに確認してください。
| 段 | 確認すること | 当てはまる場合 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 1 | 設置場所が、火薬類(煙火を除く)を製造する事業場、または石炭坑か | 電圧にかかわらず一般用電気工作物から除かれる | 法第38条第1項ただし書・施行規則第48条第3項 |
| 2 | 小規模発電設備以外の発電設備と同一の構内に設置するか | 一般用電気工作物から除かれる | 法第38条第1項ただし書 |
| 3 | 構内に設置する電気を使用するための電気工作物で、低圧(施行規則では600V以下)の電気を受電し、低圧受電電線路以外の電線路により構外の電気工作物と接続されていないか | 1段・2段のただし書に当たらなければ、一般用電気工作物に当たる | 法第38条第1項第1号・施行規則第48条第1項 |
| 4 | 小規模発電設備の場合、出力が施行規則第48条第4項の出力未満か | 未満で、低圧受電電線路以外の電線路により構外と接続されていなければ一般用電気工作物。以上でも同じ接続の条件を満たせば小規模事業用電気工作物(接続の条件を満たさなければ、単なる事業用電気工作物) | 法第38条第1項第2号・第3項・施行規則第48条第4項 |
この区別が4区分・義務に影響する理由
一般用電気工作物等を扱うか自家用電気工作物だけを扱うかは、建設業許可の有無と組み合わさって4区分(登録電気工事業者・通知電気工事業者・みなし登録電気工事業者・みなし通知電気工事業者)を決めます。一般用と自家用の両方を扱う場合も登録系区分になりますが、営業所に備える測定器具は一般用電気工事のみの営業所より多くなります。
この判定は営業所ごとではなく、電気工事業を営む事業者単位で行います。電気工事業法第3条は「電気工事業を営もうとする者」を登録の対象とし、自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営もうとする者だけを通知(第17条の2)の対象としているため、複数の営業所を持つ事業者が一部の営業所だけで一般用電気工作物等の工事を扱う場合も、その事業者全体が登録(建設業許可があればみなし登録)の対象になります。
器具・標識・帳簿など登録後の義務の詳細は電気工事業登録後に確認する義務で整理しています。自家用電気工作物のみを扱っていた通知電気工事業者が、後から一般用電気工作物等の工事も手がけるようになった場合の扱いは通知電気工事業者が一般用電気工作物等を扱うようになった場合の登録への切替で整理しています。4区分ごとの更新・主任電気工事士・提出先などの属性を横並びで比較したい場合は4区分の比較表も確認してください。
高圧受電ビルのテナント専有部の工事は自家用電気工作物側になる
高圧で受電するビルの入居区画(テナント専有部)は、区画内の配線が100V・200Vの低圧でも、一般用電気工作物には当たらず、自家用電気工作物に係る電気工事として扱われます。電気事業法第38条第1項は、一般用電気工作物を「低圧受電電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの」に限っています(e-Gov法令検索「電気事業法」)。
高圧受電ビルの専有部は、ビルの受変電設備を通じて高圧の電線路で構外とつながるため、この条件から外れます。経済産業省も、一般用電気工作物が設置されている建物を「電圧600V以下で受電する一般家庭、小規模店舗等」、自家用電気工作物が設置されている建物を「電圧600V超で受電するマンション、中小ビル、工場等」と示しています(経済産業省「家庭用エアコンの設置・修理の工事について」)。区画の見た目や広さではなく、建物がどの電圧で受電しているかが判断の入口です。
自家用電気工作物に係る電気工事の作業は、第一種電気工事士でなければ従事できません(電気工事士法第3条第1項)。第二種電気工事士の免状だけでは、一般用電気工作物等の作業にしか従事できない点が、戸建て・小規模店舗との大きな違いです。ただし例外が2つあります。
1つは、電圧600V以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事(電線路に係るものを除く)が「簡易電気工事」とされ、認定電気工事従事者認定証の交付を受けた人が従事できることです(同条第4項、電気工事士法施行規則第2条の3)。もう1つは、電気工事士法施行規則第2条第1項が定める「軽微な作業」で、同項第1号は、電線相互の接続、配線器具の取付け・接続などの作業を列挙し、そこに挙がらない作業を資格なしで従事できる作業としています(e-Gov法令検索「電気工事士法施行規則」)。露出型点滅器・露出型コンセントの取換えは、列挙された配線器具の作業から括弧書きで外されています。
| 工事の内容 | 従事できる人 | 根拠 |
|---|---|---|
| 専有部の低圧(600V以下)の配線・配線器具の工事(電線路に係るものを除く) | 第一種電気工事士、または認定電気工事従事者(簡易電気工事) | 電気工事士法第3条第1項・第4項、施行規則第2条の3 |
| 電圧600V超で使用する電気機器への電線の接続など、簡易電気工事に入らない工事 | 第一種電気工事士 | 電気工事士法第3条第1項、施行規則第2条第1項第1号ヲ |
| ネオン用設備・非常用予備発電装置の工事 | 特種電気工事資格者(対応する特殊電気工事) | 電気工事士法第3条第3項、施行規則第2条の2 |
| 同法施行規則第2条第1項第1号に列挙されない作業 | 資格を問われない(軽微な作業) | 施行規則第2条第1項第1号 |
業として請け負う側の手続きも、扱う設備で決まります。自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む者は通知電気工事業者、一般用電気工作物等の工事も営む者は登録電気工事業者です(電気工事業法第3条、第17条の2)。テナント専有部の工事だけを請け負う場合は、扱う設備が自家用電気工作物側なので通知の対象になり、同じ事業者が戸建ての工事も請け負うなら登録が必要になります。
認定電気工事従事者の認定基準は特種電気工事資格者・認定電気工事従事者の認定基準と申請手続きで整理しています。
区画の受電方式(ビル全体で高圧受電か、区画ごとに低圧で別に受電しているか)が分からない場合は、受電の契約情報を確認し、判断に迷う場合は所轄行政庁へ確認してください。
一般用と自家用の保安体制の違い(調査義務・保安規程・主任技術者)
電気事業法は、一般用電気工作物と事業用電気工作物(自家用電気工作物を含む)で、保安を担う人を分けています(第38条第2項は、事業用電気工作物を一般用電気工作物以外の電気工作物と定めています)。条文の範囲での整理は次のとおりです(e-Gov法令検索「電気事業法」)。
| 項目 | 一般用電気工作物 | 事業用電気工作物(自家用を含む) |
|---|---|---|
| 保安の担い手 | 一般用電気工作物と直接に電気的に接続する電線路を維持・運用する者(電線路維持運用者)が、技術基準に適合しているかを調査する(第57条第1項) | 設置する者が、保安規程を定めて主務大臣に届け出る(第42条第1項。小規模事業用電気工作物を除く) |
| 調査・届出 | 調査の結果、適合していないと認めるときは、とるべき措置などを所有者または占有者に通知する(第57条第2項)。立入りの承諾が得られないときは調査義務の例外がある(同条第1項ただし書) | 保安規程を変更したときは、遅滞なく届け出る(第42条第2項) |
| 主任技術者 | 選任の定めはない(第43条は事業用電気工作物の設置者が対象) | 主任技術者免状の交付を受けている者から選任する(第43条第1項)。自家用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く)は、主務大臣の許可を受けて免状のない者を選任することもできる(同条第2項) |
調査の頻度や調査員の要件は、省令を含めて一般用電気工作物の調査のガイドで整理しています。自家用電気工作物の設置者が、主任技術者を選任する代わりに保安管理業務を外部へ委託する承認は自家用電気工作物の外部委託承認制度のガイドにまとめています。
小規模事業用電気工作物の定義と設置者の届出は小規模事業用電気工作物のガイドで整理しています。表にある「技術基準」の省令と解釈の関係は電気設備技術基準の省令と解釈のガイドにまとめています。自分が関わる設備にどちらの体制が当てはまるかは、電線路維持運用者または所轄の産業保安監督部へ確認してください。
一般用と自家用のよくある質問(本文のまとめ)
「一般電気工作物」という区分はありますか。
電気事業法第38条には「一般電気工作物」という区分はありません。同条は電気工作物を一般用電気工作物、小規模事業用電気工作物、自家用電気工作物などに分けています。
太陽光発電設備は、どの出力から一般用ではなくなりますか。
太陽電池発電設備は、10kW未満が一般用電気工作物側、10kW以上50kW未満が小規模事業用電気工作物です。風力発電設備のように両者を分ける出力が種類ごとに異なるため、他の発電設備は出力の基準を個別に確認します。
受電が600V以下なら、必ず一般用電気工作物ですか。
必ずしもそうではありません。電気事業法第38条第1項のただし書は、小規模発電設備以外の発電設備と同一の構内に設置するものと、火薬類を製造する事業場や石炭坑など省令で定める場所に設置するものを、一般用電気工作物から除いています。
保安の担い手は、一般用と自家用でどう違いますか。
一般用電気工作物は、電線路維持運用者が技術基準への適合を調査します(第57条)。自家用電気工作物を含む事業用電気工作物は、設置者が保安規程を届け出て(第42条。小規模事業用電気工作物を除く)、主任技術者を選任します(第43条)。
太陽光以外の発電設備で、出力によって一般用になるか小規模事業用になるかが分かれる場合は太陽光以外の発電設備は一般用か小規模事業用かで整理しています。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。扱う設備が一般用電気工作物等か自家用電気工作物かの最終判断は、所轄行政庁または経済産業省の公式資料で確認してください。
家庭用燃料電池が一般用電気工作物になる条件はエネファームの出力10kW未満と圧力の条件を整理した記事で確認できます。
自分の扱う工事範囲がどちらに当たるか分からない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、4区分の目安を表示できます。
区分を定める法律の全体像は電気事業法とは(目的・電気工作物の区分・保安の条文ごとの内容)で確認できます。