公式資料をもとに整理

一般用電気工作物等と自家用電気工作物の違い

電気工事業法上の4区分は、建設業許可の有無に加え、一般用電気工作物等を扱うか自家用電気工作物だけを扱うかの2軸で決まります。建設業許可の軸は電気工事業登録と建設業許可の違いで整理しました。ここでは、もう一方の軸である工事範囲の見分け方を、対象となる建物・設備の具体例から整理します。

公開日: 2026-08-06 / 最終更新: 2026-09-06 / 制度確認日: 2026-07-26

法律上の定義

電気工事士法上、「一般用電気工作物等」は一般用電気工作物と小規模事業用電気工作物を、「自家用電気工作物」はそれ以外の自家用電気工作物(小規模事業用電気工作物、発電所・変電所、最大電力500キロワット以上の需要設備等を除いたもの)を指します(e-Gov法令検索「電気工事士法」第2条第1項・第2項)。この定義は電気事業法上の区分を引用する形になっており、条文だけでは対象を具体的にイメージしにくいため、次の見出しで経済産業省の解説に基づく具体例を整理します。

小規模事業用電気工作物の具体例としては、出力10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備が挙げられます(経済産業省「太陽電池発電設備を設置する場合の手引き」)。出力帯ごとの区分や設置者・施工業者双方の確認事項は太陽光発電設備の出力区分で整理しています。

一般用電気工作物等の具体例

経済産業省「電気工事の安全」は、一般用電気工作物等の対象を一般家庭、商店等の屋内配電設備、小規模発電設備等としています(経済産業省「電気工事の安全」、電気工事士法逐条解説P2-3)。一般家庭のコンセント増設や屋内配線の工事、商店の屋内配電設備の工事は、一般用電気工作物等に係る電気工事に当たります。

建物の見た目だけで判断できない場合は、受電電圧が目安になります。経済産業省「家庭用エアコンの設置・修理の工事について」は、一般用電気工作物が設置されている建物のイメージを「電圧600V以下で受電する一般家庭、小規模店舗等」としています(経済産業省「家庭用エアコンの設置・修理の工事について」)。

自家用電気工作物の具体例

同資料は、自家用電気工作物の対象をビル、工場等の需要設備(最大電力500キロワット未満)としています。非常用予備発電装置は、需要設備の附帯設備として需要設備の範疇に含まれます(同資料)。ビルの受変電設備や工場の動力設備の工事は、自家用電気工作物に係る電気工事に当たります。

同じ経済産業省資料は、自家用電気工作物が設置されている建物のイメージを「電圧600V超で受電するマンション、中小ビル、工場等(最大電力500キロワット未満の需要設備に限る。)」としています。容量の基準(500キロワット未満)だけでなく、受電電圧が600Vを超えるかどうかも、自家用電気工作物かどうかを見分ける目安になります。

最大電力500キロワット以上の需要設備や発電所・変電所は、電気工事士法上の自家用電気工作物からも除かれます。この規模になると電気事業法上の別の規制体系が関わるため、対象になるかどうかは案件ごとに確認が必要です。

一般用電気工作物等と自家用電気工作物の早見表

ここまでの内容を、定義の根拠・具体例・受電電圧の目安・規模の目安の4項目で見比べられるように整理します。

一般用電気工作物等と自家用電気工作物の比較
項目一般用電気工作物等自家用電気工作物
定義の根拠電気工事士法第2条第1項(一般用電気工作物と小規模事業用電気工作物)電気工事士法第2条第2項(上記・発電所・変電所・最大電力500キロワット以上の需要設備等を除いた自家用電気工作物)
具体例一般家庭、商店等の屋内配電設備、小規模発電設備等ビル、工場等の需要設備(非常用予備発電装置を含む)
受電電圧の目安電圧600V以下で受電する一般家庭、小規模店舗等電圧600V超で受電するマンション、中小ビル、工場等
規模の目安上記の具体例に該当する規模最大電力500キロワット未満の需要設備(500キロワット以上は自家用電気工作物からも除かれ、電気事業法上の別の規制体系が関わるため案件ごとの確認が必要)

表の内容はいずれもこの記事の本文(法律上の定義・具体例の各見出し)で説明した内容の再整理で、新しい事実は追加していません。

この区別が4区分・義務に影響する理由

一般用電気工作物等を扱うか自家用電気工作物だけを扱うかは、建設業許可の有無と組み合わさって4区分(登録電気工事業者・通知電気工事業者・みなし登録電気工事業者・みなし通知電気工事業者)を決めます。一般用と自家用の両方を扱う場合も登録系区分になりますが、営業所に備える測定器具は一般用電気工事のみの営業所より多くなります。

器具・標識・帳簿など登録後の義務の詳細は電気工事業登録後に確認する義務で整理しています。自家用電気工作物のみを扱っていた通知電気工事業者が、後から一般用電気工作物等の工事も手がけるようになった場合の扱いは通知電気工事業者が一般用電気工作物等を扱うようになった場合の登録への切替で整理しています。4区分ごとの更新・主任電気工事士・提出先などの属性を横並びで比較したい場合は4区分の比較表も確認してください。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。扱う設備が一般用電気工作物等か自家用電気工作物かの最終判断は、所轄行政庁または経済産業省の公式資料で確認してください。

自分の扱う工事範囲がどちらに当たるか分からない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。