会計帳簿とは別の施工記録

電気工事業の帳簿に記載する6項目と5年保存

電気工事業法上の帳簿は、工事ごとに6項目を記載し、記載日から5年間保存します。税務帳簿や建設業法上の帳簿を保存していても、必要項目が欠ければ代わりになりません。

公開日: 2026-08-15 / 最終更新: 2026-10-06 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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帳簿へ記載する6項目

経済産業省「電気工事業法逐条解説」は、第26条の帳簿備付け義務について、電気工事業者にその業務の状況を把握させることで電気保安に関する自覚と責任の高揚を図るとともに、監督行政庁がその状況を常に適確に把握しておくための規定だと説明しています。

電気工事業法第26条と施行規則第13条は、①注文者の氏名・名称と住所、②電気工事の種類と施工場所、③施工年月日、④主任電気工事士等と作業者の氏名、⑤配線図、⑥検査結果を定めています。請求書だけでは作業者、配線図、検査結果が通常不足します。同解説は、⑤配線図・⑥検査結果の記載内容が工事の種類や規模によって異なるのは当然だとも述べています。小規模な工事の配線図や検査記録が大規模工事と同じ分量になっている必要はなく、下の記入例はあくまで1件の工事についてのイメージとして参照してください。

記入例(イメージ)

6項目を1件の工事についてどう埋めるかのイメージです。名称・数値はすべて説明用の仮の値で、実在の事業者・工事とは関係ありません。実際の記載内容は工事ごとの実態に応じてください。

帳簿6項目の記入例(仮の値)
項目記入例
①注文者の氏名・名称と住所例:〇〇工務店/施工地の住所
②電気工事の種類と施工場所例:一般用電気工作物の屋内配線工事/上記施工場所
③施工年月日例:2026年4月10日
④主任電気工事士等と作業者の氏名例:主任電気工事士A、作業者B・C
⑤配線図例:工事番号で紐づけた配線図(別紙・別ファイル可)
⑥検査結果例:絶縁抵抗測定・導通確認など検査項目と結果

④の「主任電気工事士等」の「等」は、施行規則第2条第2項第4号の定義で、主任電気工事士に加えて、法第19条第2項により主任電気工事士の設置が不要となる営業所で、第一種電気工事士または実務経験3年以上の第二種電気工事士である登録電気工事業者本人(法人は役員のいずれか)が自ら主として業務に従事する場合のその者を指します(e-Gov法令検索「電気工事業法施行規則」第2条第2項第4号、e-Gov法令検索「電気工事業の業務の適正化に関する法律」第19条第2項)。

記入例2:自家用電気工事のみを行う場合

通知電気工事業者のように自家用電気工事だけを行う場合も、帳簿は6項目で同じです。違いは、②の工事の種類に自家用電気工作物の工事を書く点です(名称・数値は仮の値)。

自家用電気工事の記入例(仮の値)
項目記入例
①注文者例:〇〇製作所(工場の所在地)
②工事の種類と施工場所例:自家用電気工作物の受電設備の改修工事/上記工場構内
③施工年月日例:2026年6月5日〜6月7日
④作業者の氏名例:作業者D・E(主任電気工事士の選任義務の対象になる営業所はないため、従事者を記録)
⑤配線図例:改修後の単線結線図(別紙)
⑥検査結果例:絶縁抵抗測定・接地抵抗測定の結果

記入例3:下請として施工した場合

下請工事では、注文者は工事を発注した元請の事業者です。元請の帳簿とは別に、自社が施工した範囲を自社の帳簿へ記載します(名称は仮の値)。

下請工事の記入例(仮の値)
項目記入例
①注文者例:△△建設(元請の所在地)
②工事の種類と施工場所例:一般用電気工作物の分電盤・コンセント配線工事(元請の工事のうち自社施工分)/上記現場
③施工年月日例:2026年5月12日
④主任電気工事士等と作業者例:主任電気工事士A、作業者F
⑤配線図例:自社施工範囲の配線図(元請から受領した図面に追記したもの可)
⑥検査結果例:自社施工範囲の絶縁抵抗測定・導通確認の結果

紙・カード・電子式でもよい

逐条解説はカード式、伝票式、とじ込み式、電子式など帳簿の体裁を問わないとしています。重要なのは、1件の工事について6項目を追跡でき、行政の報告徴収や立入検査時に提示できることです。配線図や検査票を別ファイルにする場合は工事番号で相互参照できるようにします。

帳簿は営業所ごとに備える/電磁的方法で代えられる

電気工事業法第26条は、帳簿を「その営業所ごとに」備えるよう定めています。施行規則第13条第1項も同じく、営業所ごとに帳簿を備え、電気工事ごとに6項目を記載する形です。営業所が複数ある事業者は、本社でまとめて持つのではなく、各営業所の工事の記録をその営業所で備えているかを確認します。

施行規則第13条の2は、6項目が電磁的方法(電子的方法・磁気的方法など、人の知覚で直接認識できない方法)で記録され、必要に応じてパソコン等の機器で直ちに表示できる状態で保存されていれば、その記録の保存をもって紙の帳簿の保存に代えられるとしています。あわせて、経済産業大臣が定める基準を確保するよう努めることも定めています。

電子保存の具体的な基準の内容や、個別の運用が当てはまるかは、所轄行政庁(登録先の経済産業局・都道府県)へ確認してください。

帳簿の備付けは登録・通知・みなしの4区分すべてが対象

電気工事業法第26条の主語は「電気工事業者」で、登録電気工事業者に限っていません。第34条第2項はみなし登録電気工事業者を登録電気工事業者とみなし、同条第3項はみなし通知電気工事業者を通知電気工事業者とみなして、第34条第1項に掲げる規定を除きこの法律を適用するとしています。第34条第1項に掲げられているのは第2章(登録)と第28条中の登録の取消しに係る部分で、第26条は入っていません(e-Gov法令検索「電気工事業法」)。

4区分と帳簿の備付け義務(電気工事業法第26条・第34条)
区分帳簿の備付け・記載・保存(第26条)主任電気工事士の位置づけ
登録電気工事業者対象一般用電気工事を行う営業所に置く(第19条)
通知電気工事業者(自家用電気工事のみ)対象一般用電気工事を行わないため、主任電気工事士の選任義務の対象になる営業所はない
みなし登録電気工事業者対象(登録電気工事業者とみなして適用)一般用電気工事を行う営業所に置く
みなし通知電気工事業者対象(通知電気工事業者とみなして適用)一般用電気工事を行わないため、選任義務の対象になる営業所はない

経済産業省の逐条解説は、帳簿を記載せず、虚偽の記載をし、または保存しなかった者に1万円以下の過料が科されると解説しています(第42条第5号)。区分によって備付けの要否が変わる扱いは、条文からは読み取れません。

主任電気工事士の帳簿管理の位置づけ

逐条解説は、第20条の主任電気工事士の職務の内容として「第26条に定める帳簿の記載上の管理監督」を挙げています。帳簿の備付け義務は電気工事業者にあり、主任電気工事士は一般用電気工事を行う営業所で、記載が適切になされているかを管理監督する立場です。職務の全体は主任電気工事士の要件と職務で整理しています。

主任電気工事士の職務は一般用電気工事の管理が対象です。自家用電気工事のみの営業所では、帳簿の備付けは必要でも、主任電気工事士による管理監督の対象にはなりません。個別の営業所の扱いは所轄行政庁へ確認してください。

工事完了日ではなく記載日から5年

保存期間の起算点は帳簿へ記載した日です。税法上の帳簿や建設業法上の帳簿とは、項目も起算点も別に管理します。記載しない、虚偽記載、保存しない場合は電気工事業法第26条・第42条により1万円以下の過料の対象となります(詳細は電気工事業法の監督処分と罰則で確認できます)。

抜けを防ぐ運用例

  1. 受注時に注文者・施工場所・工事種類を採番する
  2. 施工日に主任電気工事士等と全作業者を記録する
  3. 完了時に配線図と検査結果を工事番号へ紐づける
  4. 記載日を保存期限台帳へ登録する

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。具体的な帳簿内容は工事規模・種類に応じ、所轄行政庁へ確認してください。

帳簿とあわせて営業所と施工場所に掲げる標識の記載事項は電気工事業者の標識の記載事項・掲示場所・様式で整理しています。

他の継続義務は登録後に確認する義務で確認できます。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。