公式資料をもとに整理

建設業許可を取得した後の電気工事業の扱い(みなし登録・みなし通知への移行)

すでに登録電気工事業者・通知電気工事業者として電気工事業を営んでいる人が、その後に建設業許可を取得すると、みなし登録電気工事業者・みなし通知電気工事業者への切替が生じます。本ツールの初期診断はこの切替を対象外としているため、ここでは電気工事業法第34条から、条文上はっきりしている点と、条文に明記されていない点を分けて整理します。

公開日: 2026-08-08 / 最終更新: 2026-08-26 / 制度確認日: 2026-07-26

登録電気工事業者が建設業者になると、登録は効力を失う

登録電気工事業者が、建設業法第2条第3項に規定する建設業者となったときは、その者に係る登録電気工事業法上の登録(e-Gov法令検索「電気工事業の業務の適正化に関する法律」第3条第1項または第3項の経済産業大臣または都道府県知事の登録)は、その効力を失います(同法第34条第6項)。

効力が失われる理由は、電気工事業法第2章(登録の手続き等)と、登録の取消しに係る一部の規定が、建設業者には適用されないためです(同条第1項)。建設業者は、実際の「登録」という手続きの対象から外れ、後述するみなし規定の対象に切り替わります。

みなし登録・みなし通知電気工事業者への切替

この特例の対象となる「建設業者」は、「電気工事業」の許可を受けた者に限りません。経済産業省の「電気工事業の業務の適正化に関する法律の逐条解説」は、対象を(イ)「電気工事業」の許可を受けて主に電気配線工事を請け負う者、(ロ)「電気工事業」以外の業種(とび・土工工事業、内装仕上工事業など)の許可を受けた者が、建設業法第4条の附帯工事の規定にもとづき本来の請負業種に付随して電気工事を施工する者、の2類型に整理しています。 (ロ)の建設業者も、実際に電気工事業を営めば次のみなし規定の対象になります。

建設業者であって電気工事業を営むもの(次に述べる自家用電気工事のみを営む者を除く)は、経済産業大臣または都道府県知事の登録を受けた登録電気工事業者とみなされます(同法第34条第2項)。一般用電気工作物等を含む工事を扱う場合が該当します。

建設業者であって自家用電気工事のみに係る電気工事業を営むものは、通知電気工事業者とみなされます(同条第3項)。自家用電気工作物のみを扱う場合が該当します。一般用電気工作物等と自家用電気工作物の違いは一般用電気工作物等と自家用電気工作物の違いで整理しています。

建設業許可取得後に確認する区分と手続き
扱う工事範囲許可取得後の区分開始時の手続き5年更新費用
一般用電気工作物等を含むみなし登録電気工事業者開始の届出登録更新は不要。ただし建設業許可を更新したら、遅滞なく様式第19の変更届出関東東北産業保安監督部の案内資料に登録免許税等の記載は見当たりません
自家用電気工作物のみみなし通知電気工事業者開始の通知電気工事業法上の登録更新は不要関東東北産業保安監督部の案内資料に手数料の記載は見当たりません

通常の登録電気工事業者は経済産業大臣に対する登録免許税90,000円が案内されていますが、みなし登録・みなし通知はこの登録免許税等の案内自体が見当たりません。電気工事業法第34条第1項により、建設業者には第2章(登録の規定、第3条を含む)が適用されないため、正式な登録・通知の手続き自体を経ないことと整合します。ただし、これは「案内資料に記載が無い」という事実であり、実際に費用が一切発生しないと断定するものではありません。

みなし登録電気工事業者が建設業許可を通常どおり更新した場合、電気工事業法上の登録更新をするのではなく、許可年月日・許可番号を記載する電気工事業に係る変更届出書(様式第19)を、遅滞なく現在登録している都道府県知事または経済産業大臣(産業保安監督部等)へ届け出ます。経済産業省の「電気工事業法に関するQ&A」は、許可通知書に記載された許可の有効期間の開始日を変更届出書に記載する扱いも示しています。

同Q&Aは、建設業の種類ごとに許可の有効期間が異なる場合は最新の年月日を届け出ること、許可番号は通常変わらないことも案内しています。建設業許可の更新申請と、電気工事業法上の変更届出を同じ手続きとして置き換えないことが必要です。

提出する様式と添付書類は、電気工事業の登録・通知に必要な書類と様式で区分別に整理しています。建設業許可自体の更新や届出事項の変更は、電気工事業法上の変更届の確認にもつながるため、同じ更新制度として混同しないでください。建設業許可自体の更新手続き(満了30日前までの申請・失効時の扱い)は電気工事業で取得した建設業許可の更新手続きで整理しています。

開始・変更・廃止はいずれも「遅滞なく」

みなし登録電気工事業者に該当する者は、電気工事業を開始したとき、遅滞なくその旨を経済産業大臣または都道府県知事に届け出なければなりません。届出に係る事項について変更があったとき、またはその電気工事業を廃止したときも、同様に遅滞なく届け出ます(同法第34条第4項)。

みなし通知電気工事業者に該当する者も同様に、自家用電気工事のみに係る電気工事業を開始したとき、遅滞なく通知しなければならず、変更・廃止時も遅滞なく通知します(同条第5項)。

登録電気工事業者・通知電気工事業者(みなしでない、通常の登録・通知)の変更届・廃止届の期限は30日以内ですが、みなし登録・みなし通知はこれと異なり「遅滞なく」です。この期限の違いは電気工事業登録・通知の更新・変更・廃止の手続きで整理しています。

4区分(登録電気工事業者・みなし登録電気工事業者・通知電気工事業者・みなし通知電気工事業者)の要件を横並びで比較したい場合は電気工事業4区分の比較表も参照してください。

条文に明記されていない点(正直な開示)

電気工事業法第34条が明文で定めているのは、登録電気工事業者が建設業者となった場合に、その登録が効力を失うという点(同条第6項)です。この規定は登録電気工事業者についてのみ置かれています。

一方、すでに通知電気工事業者として自家用電気工事のみの電気工事業を営んでいる人が、新たに建設業許可を取得した場合について、従前の通知(同法第17条の2第1項の規定による通知)がどのように扱われるかを明記した条文は、電気工事業法・同法施行規則のいずれにも見当たりません。建設業者であって自家用電気工事のみを営む者はみなし通知電気工事業者に該当する(同条第3項)ため、実務上は通知電気工事業者として扱われる状態が続くと考えられますが、この点を明示した条文がない以上、断定はできません。なお、建設業許可の有無にかかわらず、通知電気工事業者が扱う工事範囲を自家用電気工事のみから広げる場合の扱いは通知電気工事業者が一般用電気工作物等を扱うようになった場合の登録への切替で整理しています。

また、みなし登録電気工事業者・みなし通知電気工事業者となった後に、建設業許可を失った場合(許可の取消し、更新手続きを行わなかったことによる失効など)にどのような手続きが必要になるかを明記した条文も、電気工事業法・同法施行規則のいずれにも見当たりません。みなし規定(同法第34条第2項・第3項)は「建設業者であって電気工事業を営むもの」を前提に適用されるため、建設業者でなくなった場合にみなし登録・みなし通知の扱いがどうなるかは条文上の空白です。実際にこの状況に該当する場合は、断定的な判断をせず、登録行政庁へ確認してください。

ただし、建設業許可が消滅した後も法人として存続する元みなし電気工事業者については、既に受注した工事は建設業を継続できる場合に限り続けられる一方、許可消滅日以後の電気工事は新たに受注できません。経済産業省の「電気工事業法に関するQ&A」は、継続して電気工事業を行うには新たな登録が必要と案内しています。

これは条文そのものではなく、この個別類型への行政案内です。法人の存続状況や既受注工事の継続可否を含め、具体的な対応は所管行政庁へ確認してください。

条文上の明文規定はないものの、建設業許可を一度失効させてから改めて取得し直した場合の対応を、都道府県の実務案内として示す例があります。愛知県は「建設業許可を取り直したとき(期限切れ等)は、従前のみなし登録電気工事業の廃止届出書を提出し、再度電気工事業開始届を提出してください」と案内しています(愛知県「みなし登録電気工事業者の開始届出」)。これは、期限内に通常どおり更新した場合に使う様式第19の変更届出書(前述)とは異なる手続きで、許可が一度切れてから再取得する場合に限られます。

この案内はみなし登録電気工事業者(一般用電気工作物等を含む工事を扱う場合)を対象とした記載であり、みなし通知電気工事業者(自家用電気工作物のみを扱う場合)について同様の案内が同じ愛知県のページに明記されているかは確認できていません。またこれは1都道府県の実務案内であり、条文上の根拠を持つ全国一律の扱いを示すものではありません。営業所を管轄する都道府県、産業保安監督部、経済産業省のいずれに登録しているかによって案内が異なる可能性があるため、実際にこの状況に該当する場合は登録行政庁へ確認してください。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。特に前節で触れた条文の空白部分は、実際に該当する場合、所轄行政庁への確認が必須です。断定的な回答を示すものではない点にご留意ください。

まだ区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。