公式資料をもとに整理

特種電気工事資格者・認定電気工事従事者の認定基準と申請手続き

自家用電気工作物の電気工事の一部は、第一種電気工事士免状だけでは従事できず、特種電気工事資格者・認定電気工事従事者という別の認定証が必要です。電気工事士法・同法施行規則から、対象工事の範囲、認定基準、交付を受ける行政庁を整理します。

公開日: 2026-08-22 / 最終更新: 2026-08-22 / 制度確認日: 2026-07-26

電気工事士免状だけでは従事できない自家用電気工事がある

第一種電気工事士免状の交付を受けていれば、自家用電気工作物に係る電気工事の作業に従事できます(e-Gov法令検索「電気工事士法」第3条第1項)。ただし、そのうち経済産業省令で定める「特殊電気工事」は、当該特殊電気工事に係る特種電気工事資格者認定証の交付を受けている者でなければ従事できません(同条第3項)。

一方、経済産業省令で定める「簡易電気工事」は、第一種電気工事士でなくても、認定電気工事従事者認定証の交付を受けている者であれば従事できます(同条第4項)。第一種電気工事士でなければ従事できないという第1項の原則の例外にあたります。

特種電気工事資格者が従事できるのはネオン工事・非常用予備発電装置工事の2種類

法が「特殊電気工事」の内容を経済産業省令に委任しているのに対し、e-Gov法令検索「電気工事士法施行規則」第2条の2は、対象を次の2種類に限定しています。

特種電気工事資格者認定証の交付は、この特殊電気工事の種類ごとに行われます(同法第4条の2第2項)。ネオン工事の認定証を持つ人が非常用予備発電装置工事に従事することはできず、両方の工事に従事するには両方の認定証が必要です。

認定電気工事従事者が従事できるのは600V以下の自家用電気工事(電線路を除く)

経済産業省令で定める「簡易電気工事」について、電気工事士法施行規則第2条の3は「電圧600ボルト以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事(電線路に係るものを除く)」と定めています。特種電気工事資格者のように工事の種類(ネオン工事・非常用予備発電装置工事)で区切るのではなく、電圧と対象設備の範囲で区切っている点が異なります。

特種電気工事資格者の認定基準(5年の実務経験+講習、または試験合格)

電気工事士法施行規則第4条の2第1項は、特種電気工事資格者の認定基準を特殊電気工事の種類ごとに次のとおり定めています。

ネオン工事:電気工事士であって免状の交付を受けた後、ネオン工事に関し5年以上の実務経験を有し、かつ経済産業大臣が定める講習(ネオン工事資格者認定講習)を修了した者。または、電気工事士であって免状の交付を受けた後、経済産業大臣が定めるネオン工事の知識・技能を判定する試験に合格した者。

非常用予備発電装置工事:電気工事士であって免状の交付を受けた後、非常用予備発電装置工事に関し5年以上の実務経験を有し、かつ経済産業大臣が定める講習(非常用予備発電装置工事資格者認定講習)を修了した者。または、経済産業大臣が定める受験資格を有し、経済産業大臣が定める講習(前号のものを除く)を修了し、かつ知識・技能を判定する試験に合格した者。

いずれの経路も、電気工事士免状を前提とした「実務経験+講習修了」または「試験合格」のいずれかで足ります。

認定電気工事従事者は第一種電気工事士試験合格者なら実務経験なしで取得できる

電気工事士法施行規則第4条の2第2項は、認定電気工事従事者の認定基準を次の4号で定めています。

  1. 第一種電気工事士試験に合格した者
  2. 第二種電気工事士であって、免状の交付を受けた後、電気に関する工事に関し3年以上の実務経験を有する者、または経済産業大臣が定める講習(認定電気工事従事者認定講習)を修了した者
  3. 電気主任技術者免状の交付を受けている者または電気事業主任技術者であって、免状交付後または就任後に電気工作物の工事・維持・運用に関し3年以上の実務経験を有する者、または認定電気工事従事者認定講習を修了した者
  4. 前各号と同等以上の知識・技能を有すると経済産業大臣が認定した者

特種電気工事資格者と異なり、第一種電気工事士試験に合格しているだけで、実務経験も講習修了も不要な経路があります(第1号)。第二種電気工事士・電気主任技術者は、3年以上の実務経験と講習修了のいずれか一方を満たせば足ります(第2号・第3号は「実務経験を有し、かつ講習を修了した者」ではなく「実務経験を有する者、または講習を修了した者」という構造です)。

認定証の交付は経済産業大臣、申請窓口は産業保安監督部長

特種電気工事資格者認定証・認定電気工事従事者認定証は、いずれも経済産業大臣が交付します(電気工事士法第4条の2第1項)。都道府県知事が交付する電気工事士免状(同法第4条第2項)とは、交付する行政庁が異なります。

認定を受けようとする者は、様式第一の五による申請書に該当を証明する書類を添えて、住所地を管轄する産業保安監督部長に提出します(電気工事士法施行規則第5条の2)。認定を受けた後、認定証の交付を受けようとする者は、様式第五の二による申請書に証明書類・写真を添えて提出します(同規則第9条の2)。認定証を汚損・紛失した場合の再交付(同規則第9条の4)、記載事項に変更が生じた場合の書換え(同規則第9条の5)も、いずれも交付を受けた産業保安監督部長が窓口です。

認定証には、認定証の種類(特種電気工事資格者認定証の場合は特殊電気工事の種類を含む)、交付番号・交付年月日、氏名・生年月日が記載されます(同規則第9条の3)。

事業者の電気工事業登録・通知とは別の手続き

特種電気工事資格者・認定電気工事従事者は、電気工事士免状と同じく作業に従事する個人の資格です。電気工事士免状(個人の資格)と電気工事業登録・通知(事業者登録)の違いで整理しているとおり、これらの認定証を持つ作業者がいても、事業として電気工事業を営むには別に事業者単位の登録・通知が必要です。

逆に、登録・通知を済ませた事業者でも、実際に特殊電気工事・簡易電気工事の作業に従事できるのは、該当する認定証を持つ人に限られます。営業所ごとに置く主任電気工事士の資格要件は主任電気工事士の要件・選任・変更手続きで、登録後に事業者が確認する義務は電気工事業登録後に確認する義務で整理しています。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。認定の要件該当性・必要書類・講習の実施状況は、住所地を管轄する産業保安監督部長または経済産業省の公式資料で最終確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。