公式資料をもとに整理
電気工事業登録と建設業許可の違い
「建設業許可があれば電気工事業の手続きは不要」「500万円未満なら登録も不要」という整理はできません。電気工事業法上の登録・通知と、建設業法上の許可は、目的と判定条件が異なるため別々に確認します。
公開日: 2026-07-26 / 最終更新: 2026-10-13 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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電気工事業登録と建設業許可の2つの手続きの違い
電気工事業法は、電気工事業を営む事業者について、扱う電気工作物と建設業許可の有無に応じた登録・通知等を求めています。建設業法に基づく許可を受けている場合も、電気工事業を営むなら電気工事業法上の届出等が必要です。経済産業省の「電気工事業法の申請・届出等の手引き」でも、両制度の手続きを分けて案内しています。
一方、建設業法上の許可は、工事の種類ごとに受ける制度です。電気工事を請け負う場合は、保有する許可業種と請負条件を確認します。したがって、「電気工事業法上の4区分はどれか」と「予定する契約に電気工事業種の建設業許可が必要か」は、同じ質問ではありません。
建設業許可は4区分にも影響する
電気工事業法上の4区分では、まず建設業法上の許可を一つでも受けているかを確認します。ここでは電気工事業種に限らず、建設業許可を受けた建設業者かどうかが区分軸になります。
次に、一般用電気工作物等を扱うか、自家用電気工作物だけを扱うかを確認します(対象となる建物・設備の具体例は一般用電気工作物等と自家用電気工作物の違いで整理しています)。根拠はe-Gov法令検索「電気工事業の業務の適正化に関する法律」と経済産業省「電気工事の安全」で確認できます。
| 建設業許可 | 一般用電気工作物等を含む | 自家用電気工作物のみ |
|---|---|---|
| なし | 登録電気工事業者 | 通知電気工事業者 |
| あり | みなし登録電気工事業者 | みなし通知電気工事業者 |
「みなし」は手続き不要という意味ではありません。建設業許可を受けた後に電気工事業を始める場合も、該当する開始届出・通知を確認します。また、一般用だけを扱う場合と一般用・自家用の両方を扱う場合は同じ登録系ですが、営業所で確認する測定器具は同一ではありません。
みなし登録・みなし通知それぞれの対象、手続き、義務はみなし登録電気工事業者とはとみなし通知電気工事業者とはで整理しています。
建設業許可が必要かどうかは請負代金の額でも変わります。金額だけを先に確認したい場合は電気工事の請負代金から建設業許可の要否を確認するで目安を確認できます(電気工事業の登録・通知の要否とは別の判定です)。
建設業許可は法人化しなくても、個人事業主のまま受けられます。e-Gov法令検索「建設業法」第5条第1項は許可申請書の記載事項として、法人である場合は資本金額及び役員等の氏名(第三号)、個人である場合はその者の氏名及び支配人があるときはその者の氏名(第四号)を挙げており、個人事業主を許可の申請主体として想定しています。
したがって個人事業主のまま建設業許可を受けた場合も、上表の「建設業許可あり」列に該当し、みなし登録電気工事業者・みなし通知電気工事業者になり得ます。経営業務の管理責任者・営業所技術者等の人的要件や財産的基礎など他の許可要件を満たすかどうかは別途確認が必要で(経営業務の管理責任者等は電気工事業で建設業許可を取得するための人的要件(経営業務の管理責任者等)、誠実性と財産的基礎は誠実性・財産的基礎要件で整理しています)、個別の許可可否は許可行政庁へ確認してください。
電気工事業種以外の建設業許可しか持たない建設業者が、建設業法第4条の「附帯工事」として電気工事を請け負う場合も、電気工事業法上の開始届出・通知義務は免除されません。建設業法第4条は、許可を受けた建設業に係る建設工事に附帯する他の建設業の建設工事を請け負えると定めていますが、経済産業省の「電気工事業法の逐条解説」は、この附帯工事として電気工事を施工する建設業者も電気工事業法第34条上「電気工事業を営む」者に含まれ、みなし登録電気工事業者・みなし通知電気工事業者として扱われると説明しています。みなし登録・みなし通知は正式な登録手続き(第3条)自体は不要ですが、開始・変更・廃止の届出・通知は必要です。
4区分ごとの更新・主任電気工事士・提出先などの属性を横並びで比較したい場合は4区分の比較表も確認してください。
請負金額に関する確認事項
工事1件の請負代金による建設業許可の確認は、4区分を決めた後も別に残ります。電気工事は建築一式工事以外の建設工事として扱われ、軽微な建設工事の金額基準は500万円未満です。
消費税等を含む請負代金で確認します。制度の概要は国土交通省「建設業の許可とは」に掲載されています。
金額を見るときは、契約書の表面額だけで終えません。正当な理由のない分割契約は合算し、注文者が材料を提供する場合は、その市場価格と加算対象となる運送費も確認します。
金額ごとの数え方と架空の数値の例は建設業許可が不要な「軽微な建設工事」の金額の数え方で整理しています。分割の理由や許可範囲は個別事情を含むため、契約前に許可行政庁へ確認してください。取扱いの詳細は国土交通省「建設業許可事務ガイドラインについて」で確認できます。
両方必要か片方だけか(ケース別の早見表)
上で整理した2つの制度を、よくある場面に当てはめた早見表です。どの場面でも、電気工事業を営むなら電気工事業法上の登録・通知・届出は残ります。建設業許可が必要になるのは、請負代金などの条件を超えるときです。
| 場面 | 電気工事業法上の手続き | 建設業許可 |
|---|---|---|
| 許可なし・一般用電気工作物等を含む・1件500万円未満のみ | 登録電気工事業者の登録が必要 | 軽微な建設工事の範囲なら不要 |
| 許可なし・自家用電気工作物のみ・1件500万円未満のみ | 通知電気工事業者の通知が必要 | 軽微な建設工事の範囲なら不要 |
| 許可なし・請負代金が500万円以上になる契約を受ける | 登録または通知が必要 | 電気工事業種の許可が必要 |
| 電気工事業種の許可あり | みなし登録・みなし通知の開始届出等が必要(登録そのものは不要) | 取得済み |
| 他業種の許可のみ・附帯工事として電気工事を請け負う | みなし登録・みなし通知の開始届出等が必要 | 附帯工事の範囲なら電気工事業種の許可は不要 |
| 自社の設備だけを工事する(他者から請け負わない) | 対象事業に当たるかを別に確認 | 請負でなければ対象外 |
つまり、登録と許可の両方が必要になる場面と、登録だけで足りる場面があり、許可だけで足りる場面はありません。最後の行の境界は電気工事業の登録・通知が不要なケースの境界、附帯工事の考え方は他業種の附帯工事を請け負える範囲(建設業法第4条)で整理しています。個別の事情は許可行政庁・登録の窓口へ確認してください。
確認する順序
対象事業かを確認する
他者の依頼を受け、自ら電気工事を反復・継続して施工する事業かを確認する(境界は電気工事業の登録・通知が不要なケースの境界で整理しています)。
建設業許可の有無を確認する
建設業許可を一つでも受けているかを確認する。
扱う工作物の種類を確認する
一般用電気工作物等を扱うか、自家用電気工作物だけかを確認し、4区分を整理する。
提出先候補を確認する
営業所の配置から、都道府県知事・産業保安監督部長・経済産業大臣のどこが提出先候補かを確認する。
請負金額を別に確認する
電気工事業種の建設業許可と、税込請負額・分割契約・注文者提供材料等を別に確認する。
すでに登録・通知済みで、建設業許可を新たに取得した場合は、新規開業の4区分チェックだけでは足りません。従前手続きの廃止や開始・変更の扱いを、現在の所轄行政庁へ確認します。何が起きるかの整理は建設業許可を取得した後の電気工事業の扱いで行っています。
建設業許可(電気工事業)をまだ取得していない場合、取得に必要な人的要件(営業所ごとの営業所技術者)は電気工事業で建設業許可を取得するための人的要件で整理しています。
人的要件以外の許可要件は、社会保険加入要件と欠格要件(許可を受けられない場合)でそれぞれ整理しています。
取引先や下請の建設業許可の有無を確認する方法は取引先の建設業許可の有無を確認する方法で整理しています。
建設業許可の手続き別ガイド一覧
建設業許可(電気工事業)そのものについて、要件・申請書類・取得後の手続きを別々の記事に分けています。
- 建設業許可の申請書類
- 建設業許可の経営業務の管理責任者等の要件(電気工事業)
- 建設業許可(電気工事業)の誠実性・財産的基礎要件
- 建設業許可(電気工事業)の社会保険加入要件
- 建設業許可(電気工事業)の欠格要件(許可を受けられない場合)
- 電気工事業の一般建設業許可と特定建設業許可の違い
- 特定建設業許可の要件(電気工事業):技術者・財産的基礎・下請5,000万円
- 建設業許可(電気工事業)の業種追加の手続き
- 電気工事業で取得した建設業許可の更新手続き
- 大臣許可・知事許可の区分と許可換え新規
- 建設業許可の届出義務(決算変更届・変更届)
- 建設業の廃業届の期限・届出人・様式
- 主任技術者・監理技術者の設置義務と兼任特例
- 建設業許可(電気工事業)の監督処分(指示・営業停止・許可取消し)
- 一括下請負の禁止と例外
- 建設工事紛争審査会と電気工事業法の苦情あっせんの違い
- エアコン設置工事の建設業許可は必要?500万円未満は不要
建設業許可の申請で納める金額(知事許可の手数料と大臣許可の登録免許税)は建設業許可の申請で納める金額に載せています。営業所を複数の都道府県に置く場合の大臣許可・知事許可の区分は大臣許可・知事許可の区分と許可換え新規に、電子申請で使うIDや対象手続は建設業許可の電子申請(JCIP)にまとめています。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。
実際の工事範囲、営業所、建設業許可、契約条件を示し、所轄行政庁へ最終確認してください。自治体ごとの書類、手数料、処理期間を全国共通とは扱えません。区分が決まった後に確認する義務は電気工事業登録後に確認する義務で整理しています。
まだ区分を整理していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、確認が必要な項目を分けて表示できます。
許可を受けた事業者の標識・帳簿は建設業許可を受けた電気工事業者の標識・帳簿・図書の義務、請負契約書の記載事項は建設工事請負契約書に書く16項目で確認できます。
建設業許可を定める法律の全体像は建設業法とは(目的・用語・許可と契約の条文ごとの内容)で確認できます。