免状取得後の実務経験を証明
第二種電気工事士が主任電気工事士になる3年の実務経験と証明
第二種電気工事士が主任電気工事士になるには、免状取得後に電気工事で3年以上の実務経験が必要です。証明対象の工事範囲や証明者の要件は、提出先の行政庁の案内で確認します。
公開日: 2026-08-15 / 最終更新: 2026-10-13 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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必要な実務経験年数(第一種は不要、第二種は3年以上)
電気工事業法第19条は、第一種電気工事士または、第二種電気工事士免状の交付後に電気工事に関し3年以上の実務の経験を有する者を主任電気工事士の要件とします(e-Gov法令検索「電気工事業法」)。第二種は試験合格だけでなく、免状の交付日を起点に確認します(試験の科目と学科免除は電気工事士試験の科目と学科免除)。
3年の数え方(免状取得後3年経過ではなく、正味の従事期間)
広島県の手引きは、実務経験年数3年以上を、免状の交付後に登録(届出)のある電気工事業者のもとで電気工事に正味に携わった期間が3年以上ということで、免状取得後に「3年以上経過した」ということではないと案内しています(広島県「実務経験証明書作成の手引き」)。同じ手引きの記載例は、実際に電気工事を行った作業日数を書き、工期ではないと注記しています。
北海道経済産業局の案内(認定電気工事従事者認定証の申請向け)も、正味の従事期間が3年以上必要で、雇用期間が3年以上という意味ではなく、工事の着工から完成までの期間でもなく、実際に電気工事に従事した日数を積算した期間だと説明しています(北海道経済産業局「実務経験の証明について」)。主任電気工事士の証明書でも同じ数え方になるかは、提出先行政庁の案内で確認してください。
対象となる工事の範囲は行政庁の案内で確認する
対象工事の範囲に関する資料は、法文の表現、作業内容・兼務の扱い、除外される工事、提出先の運用を分けて読む必要があります。
| 区分・根拠 | 制度・案内の内容 | 確認する範囲 |
|---|---|---|
| 電気工事業法・経産省逐条解説 | 条文が定める要件は「電気工事に関し3年以上の実務の経験」で、対象を一般用電気工作物等の工事に限定する文言は電気工事業法・経済産業省の逐条解説のいずれにも見当たりません。 | 条文と逐条解説にある要件の表現。提出先の証明書の運用とは分けて確認します。 |
| 神奈川県の公式手引き | 神奈川県の公式手引きは、証明書で認められる実務経験を第二種電気工事士免状取得後の一般用電気工作物に対する電気工事に限定すると案内しています(神奈川県「主任電気工事士等実務経験証明書の手引き」)。 | 神奈川県の証明書作成の案内。全国共通と一般化しません。 |
| 広島県の公式手引き | 広島県の手引きは、実務経験の対象になる電気工事を3通りに分けています。(1)登録電気工事業者のもとで一般用電気工作物に係る電気工事に3年以上従事、(2)認定電気工事従事者認定証の取得後に、登録電気工事業者のもとで最大電力500kW未満の需要設備に係る電圧600V以下の電気工事に3年以上従事、(3)家庭用電気機械器具の販売に付随して行った電気工事(一般用電気工作物)に3年以上従事、です。コンビニエンスストアや学校など、敷地内にキュービクルを設置している施設は、低圧の部分であっても自家用電気工作物になるため(1)に当たらないとも注意しています(広島県「実務経験証明書作成の手引き」)。 | 広島県の証明書作成の案内。一般用電気工作物が中心ですが、認定電気工事従事者の経験による範囲の広がりも示しています。 |
| 愛知県の公式案内 | 愛知県は、主任電気工事士の要件を、第一種または第二種電気工事士免状の取得者で、免状取得後に一般用電気工作物等について3年以上の実務経験(実務経験証明書が必要)がある者と案内しています(愛知県「登録電気工事業者の新規登録について」)。 | 愛知県の登録申請の案内。対象工事の細目は、同県の証明書様式と最新の案内で確認します。 |
| 経産省の事務処理要領(内規) | 経済産業省の事務処理要領(内規)は、配線工事のみ・ネオン工事のみといった電気工事の作業内容による差を「実務の経験」に設けないとしています。また、電気工事とそれ以外の電気に関する工事(例えば電気事業の用に供する電気工作物を設置・変更する工事)を兼ねて行っている電気工事業者に雇用され、いずれの工事にも従事している場合は、電気工事に従事した期間だけを抜き出すことが事実上困難なため、全体を実務経験として扱って差し支えないとされています(経済産業省「電気工事業の業務の適正化に関する法律の事務処理要領(内規)」)。ただし前段の「一般用電気工作物に対する電気工事に限定する」という神奈川県の案内とは別の論点(作業内容や兼務工事の扱いの整理)であり、対象工作物の限定そのものを解消するものではありません。 | 作業内容の差と、電気工事・それ以外の工事を兼務する場合の整理。対象工作物の限定とは別の論点です。 |
| 経産省のQ&A | 一方、実務経験としてカウントできない工事類型を経済産業省のQ&Aが明示しています。電気工事士法第2条で「電気工事」の定義から除外されている最大電力500kW以上の需要設備の工事、電気工事士でなくても作業できる電気工事士法施行令第1条の「軽微な工事」、電気工事士法施行規則第2条の2の特殊電気工事等は、実務経験にカウントできません(経済産業省の「電気工事業法に関するQ&A」)。特種電気工事資格者・認定電気工事従事者が扱う工事の範囲は特種電気工事資格者・認定電気工事従事者とはで整理しています。 | 実務経験に算入できない工事類型の確認。 |
対象となる工事の範囲は、提出先行政庁の最新の案内で確認してください。神奈川県・広島県・愛知県の3県はいずれも、一般用電気工作物(愛知県は「等」付き)についての電気工事を実務経験の中心に置いており、広島県は認定電気工事従事者の経験や家庭用電気機械器具の販売に付随した工事まで広げて示しています。ただし他の都道府県が同じ範囲とするかは確認できていないため、全国共通とは言えません。
電気工事に当たらない補助作業を実務経験に算入できるかも、提出先行政庁にあわせて確認してください。
実務経験の証明者(登録・届出済みの電気工事業者が基本)
経済産業省の事務処理要領(内規)は、主任電気工事士等実務経験証明書について、現在の勤務先または過去に雇用されていた電気工事業者による証明を基本とし、当該電気工事業者の死亡等正当な理由で証明を受けられない場合は、都道府県電気工事業工業組合など電気工事業に係る法人格を有する団体が実地調査等の結果発行する証明書で代える扱いを示しています(経済産業省「電気工事業の業務の適正化に関する法律の事務処理要領(内規)」)。神奈川県の手引きも、登録または届出をしている電気工事業者による証明でなければ有効でないと案内しています。
以前の勤務先へ、免状交付日、在籍期間、工事種類、事業者の登録等番号を示して依頼します。廃業・連絡不能など通常の証明が難しい場合は、代替資料を自己判断せず提出先へ事前相談します。
勤務先の死亡などで様式例2の証明を受けられない場合の代替書類(茨城県の例)
茨城県は、電気工事業の登録に必要な書類の案内で、勤務していた電気工事業者等の死亡など正当な理由により様式例2の証明を受けられない場合に、次のいずれかの提出を求めています(茨城県「電気工事業の登録に必要な書類」)。
- 電気工事業工業組合等が実地調査の結果発行する実務の経験を証明する書面
- 電気工事業法第26条の規定に基づく帳簿の写し(過去3年のうち任意に10件程度)
- 東京電力へ申請した電気工事設計図の写し(過去3年のうち任意に5件程度)
- 勤務していた電気工事業者等以外の電気工事業者等による実務の経験を証明する書面
この案内は茨城県のもので、他の都道府県が同じ代替書類を示しているとは限りません。実際に使える書類は、登録を申請する行政庁へ確認してください。
実務経験証明書の様式例1(自社雇用)と様式例2(他社雇用)の使い分け
経済産業省の登録申請書の記載例には、主任電気工事士等実務経験証明書の様式例が2種類あります。どちらを使うかは、実務経験を積んだときの雇用先が登録申請者(申請する事業者)かどうかで分かれます(経済産業省「登録申請書・添付書類の記載例」)。
| 項目 | 様式例1 | 様式例2 |
|---|---|---|
| 使う場面 | 登録申請者に雇用されている場合、または登録申請者本人の場合 | 他の電気工事業者に雇用されていた場合 |
| 証明する人 | 登録申請者(記載例は法人の代表取締役) | 証明者(住所、氏名または名称、法人は代表者の氏名) |
| 立場の欄 | 登録申請者本人・役員・従業員のうち該当するものを○で囲む | なし |
| 職歴の欄の見出し | 「電気工事士が登録申請者の行う電気工事に従事した職歴」 | 「電気工事に従事した職歴」 |
| 証明者の事業内容の欄 | なし | あり(事業内容、電気工事業者番号、確認先担当者の所属部署・氏名、電話番号) |
| 公的書類の写しの添付 | 記載注意には定めがない | 記載注意で、証明者のもとに所属していたことを示す書類を必ず1種類添付とされている |
転職を挟んで複数の雇用先がある場合は、雇用先ごとに様式を分けて作成します。現在の申請先の事業者での期間は様式例1、過去の勤務先での期間は様式例2、という組み合わせになります。
証明者欄の番号・自己証明・経験の始期
経済産業省の記載例(上記の「登録申請書・添付書類の記載例」)から読み取れる範囲を整理します。
- 証明者欄の番号の種類:様式例2の「証明者の事業内容」欄には、記載例で「電気工事業者番号:△△県知事登録 第△△△△△号」と、登録番号の形で書かれています。通知(届出)をしている事業者の番号の書き方は記載例にないため、提出先の案内で確認してください。
- 自己証明の可否:様式例1には「登録申請者本人」「登録申請者の役員」「登録申請者の従業員」を○で囲む欄があり、自分が登録申請者である事業での従事は、本人が様式例1で書く形です。他の電気工事業者のもとでの経験は、その事業者を証明者とする様式例2になり、本人の自己申告では代えられません。
- 経験の始期:どちらの様式にも「電気工事士免状の交付年月日」の欄があり、職歴の期間と並べて書きます。算入するのは免状交付後の期間で、数え方は3年の数え方のとおりです。様式例2は、証明期間中に証明者のもとへ所属していたことを示す公的書類の写し(健康保険証の写しなど)を必ず1種類添付します。
自己証明の細かな扱い(個人事業主の期間の裏づけ書類など)は行政庁ごとに案内が異なる場合があるため、提出先へ確認してください。
欄ごとの書き方(記載例と記載注意から)
- 用紙は日本産業規格A4で、被証明者(証明を受ける電気工事士)1人につき1枚を作成する
- 電気工事士の氏名、生年月日・年齢、現住所(記載例は「現住所(居住地)」)、電気工事士免状の交付年月日、免状交付番号を記入する
- 所属名は、「○○営業所○○担当」のように具体的に書く
- 期間は、年月日から年月日までを職歴ごとに書く
- 業務の内容は、「○○施設の屋内配線工事の施工業務」のように具体的に書く。記載例には、太陽光発電システムの施工作業、年間平均施工件数も例示されている
- 主任電気工事士を務めた経歴がある場合は、その旨と期間を業務の内容の欄に明記する
- 様式例1は登録申請者本人・役員・従業員の別を○で囲み、様式例2は証明者の事業内容の欄に電気工事業者番号などを書く
広島県の記載例で見る記入のイメージ(記載例1)
広島県の手引きの記載例1(一般用電気工作物に係る電気工事)は、次のように書かれています(広島県「実務経験証明書作成の手引き」)。氏名や住所は伏せ字の例です。
- 期間:免状の交付は平成24年3月30日、職歴の期間は平成24年4月1日から平成28年3月31日までの4年間。免状の交付後の期間から書き始めている
- 所属名:「○○産業㈱ 福山営業所 工事課 ○○担当」のように、会社名から担当まで具体的に書く
- 業務の内容:「左記期間中の工事件数約300件、作業日数約720日」と書き、電気工事の種類は「①一般用電気工作物」を○で囲む
- 近年の主な工事:工事の期間、所在地、現場名、工事名を書く。例は「A様邸 屋内配線及び照明機器取り付け工事」「B様邸 エアコン設置に伴うコンセント増設工事」「C様邸 リフォームに伴う配線工事」の3件
- 証明者の事業内容:「電気工事業(広島県 登録・届出第○○○○号)」と、証明者の登録・届出番号を書く
作業日数の欄には「実際に電気工事を行った作業日数を書いてください(工期ではありません)」との注記があり、期間の長さではなく実際に工事をした日数で数える書き方です。手引きには、この例が何日で3年に当たるかの換算は書かれていないため、日数の基準は提出先の窓口で確認してください。記載例2・3は、認定電気工事従事者の経験や家庭用電気機械器具の販売に付随した工事の場合の例です。
添付する公的書類の例(様式例2)
様式例2の記載注意は、証明を受ける電気工事士が実務経験の証明期間中に証明者のもとへ所属していたことを示す公的書類等の写しを、個人情報に係る箇所を黒塗りにしたうえで、必ず1種類添付するよう求めています。例として、健康保険証の写し、給与所得等に係る市民税・県民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)の写し、企業年金記録の写し、雇用保険徴収の写し、登録簿等の謄本が挙げられています。
この記載例は経済産業大臣宛ての様式です。都道府県知事の登録・届出の窓口では、様式や添付書類の指定が異なることがあるため、提出先の行政庁の最新の案内で確認してください。
申請前の準備手順
3年以上の実務経験は、同一営業所での連続勤務を必要としません。経済産業省の事務処理要領(内規)は、実務に従事した期間が通算して3年以上であればよいとしており、転職を挟んでいても通算で数えられます(経済産業省「電気工事業の業務の適正化に関する法律の事務処理要領(内規)」)。
- 第二種電気工事士免状の交付日を確認する
- 交付日後の勤務先と工事期間を時系列化する
- 各勤務先の登録・届出状況と証明権限者を確認する
- 重複を除いた期間が通算3年以上か計算する
- 行政庁指定様式と押印・添付資料を確認する
- 「試験合格日」ではなく免状交付日から数えたか
- 対象となる工事の範囲を提出先行政庁の案内で確認したか
- 証明者の登録・届出情報を確認したか
- 転職ごとの空白・重複期間を整理したか
4区分別に必要書類を確認したい場合は電気工事業の申請書類チェックリストも参照してください。免状の種類と実務経験年数を入力して可否と証明書類の様式をすぐに確認したい場合は主任電気工事士になれるか確認するツールを使えます。実務経験証明書以外の様式第1・誓約書・雇用証明書の欄ごとの記入内容は登録電気工事業者登録申請書(様式第1)・誓約書・雇用証明書の書き方で整理しています。
実務経験のよくある質問(本文のまとめ)
3年は、試験に合格した日と免状の交付日のどちらから数えますか。
免状の交付日を起点に確認します。電気工事業法第19条は、第二種電気工事士免状の交付後に電気工事に関し3年以上の実務の経験を有する者を要件としています。
免状の交付後に3年が過ぎていれば足りますか。
足りません。広島県の手引きは、免状取得後に3年以上経過したということではなく、登録(届出)のある電気工事業者のもとで電気工事に正味に携わった期間が3年以上であることと案内しています。作業日数を積み上げ、工期や雇用期間では数えません。
転職していても通算できますか。
通算できます。経済産業省の事務処理要領(内規)は、同一営業所での連続勤務を必要とせず、従事した期間が通算して3年以上であればよいとしています。雇用先ごとに様式を分け、現在の事業者での期間は様式例1、過去の勤務先での期間は様式例2を使います。
以前の勤務先が廃業していて証明をもらえない場合はどうしますか。
内規は、電気工事業者の死亡など正当な理由で証明を受けられない場合に、都道府県電気工事業工業組合など電気工事業に係る法人格を有する団体が実地調査等の結果発行する証明書で代える扱いを示しています。代替資料を自己判断せず、提出先の行政庁に事前相談してください。
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。算入できる工事・証明者・代替資料は提出先行政庁の手引きで確認してください。
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