電気工事業法との二重の掲示・帳簿

建設業許可後の標識・帳簿・図書の義務と電気工事業法との違い

建設業許可(電気工事業)を受けた事業者には、電気工事業法の標識・帳簿とは別に、建設業法第40条の標識、第40条の3の帳簿と図書の備付け義務があり、許可を受けていないのに許可業者と誤認される表示も第40条の2で禁じられています。どちらの法律でも「営業所ごとの帳簿」「掲示する標識」があるため、記載事項と保存期間を並べて整理します。

公開日: 2026-10-03 / 最終更新: 2026-10-03 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

建設業法の標識(第40条)

建設業者は、店舗と、発注者から直接請け負った建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所へ標識を掲げなければなりません。条文はe-Gov法令検索「建設業法」の第40条です。ここでいう建設業者は、第2条第3項で、第3条第1項の許可を受けて建設業を営む者と定義されています。

記載事項は建設業法施行規則第25条が定めています。店舗は1〜4、建設工事の現場は1〜5の項目を記載し、様式は店舗が別記様式第28号、現場が別記様式第29号です。

建設業法施行規則第25条の標識の記載事項
記載事項店舗建設工事の現場
一般建設業または特定建設業の別記載記載
許可年月日・許可番号・許可を受けた建設業記載記載
商号または名称記載記載
代表者の氏名記載記載
主任技術者または監理技術者の氏名記載なし記載

許可業者と誤認される表示の禁止(第40条の2)

建設業を営む者は、その建設業について第3条第1項の許可を受けていないのに、許可を受けた建設業者であると明らかに誤認されるおそれのある表示をしてはなりません。これは許可を受けていない事業者への規定で、電気工事業の登録・通知をしているだけの事業者が、看板やホームページで「建設業許可業者」と読める表示をすることが問題になり得る場面です。 どの表示が「明らかに誤認されるおそれ」に当たるかは個別の表示ごとの判断になるため、条文の範囲を超えて断定せず、許可行政庁の窓口で確認してください。

営業所の帳簿と図書(第40条の3)

建設業者は、営業所ごとに営業に関する事項を記載した帳簿を備え、帳簿と営業に関する図書を保存しなければなりません。施行規則第26条が記載事項と添付書類、図書の種類を、第28条が保存期間を定めています。

建設業法の帳簿・添付書類・図書(施行規則第26条・第28条)
区分内容保存期間(第28条)
帳簿の記載事項(第26条第1項)営業所の代表者の氏名と就任年月日、注文者との請負契約(工事名・現場所在地・契約年月日・注文者の名称と住所・検査完了日と引渡日)、下請負人との下請契約の同様の事項など。住宅を新築する工事は床面積などが加わります請け負った工事ごとに、目的物を引き渡したとき(請負契約の債権債務が消滅したときはその時)から5年(発注者と締結した住宅新築工事は10年)
帳簿の添付書類(第26条第2項)契約書面(法第19条第1項・第2項の書面)またはその写し、一定の下請契約に関する書面、施工体制台帳の所定部分など帳簿と同じ
営業に関する図書(第26条第5項)完成図、発注者との打合せ記録、施工体系図、材料費等記載見積書、その見積書の内容に関する打合せ記録。どれを保存するかは、発注者から直接請け負ったか、施工体制台帳を作成する立場かで異なります請け負った工事ごとに、目的物を引き渡したときから10年

帳簿・添付書類・図書は、電子計算機のファイルや電磁的記録媒体に記録され、必要に応じてその営業所で、紙面または出力装置の画面に明確に表示できる状態であれば、記録をもって代えられます(施行規則第26条第6項〜第8項)。

電気工事業法との比較

標識も帳簿も、建設業法と電気工事業法は別の義務で、片方を満たしても他方を満たしたことにはなりません。電気工事業法側の内容は電気工事業者の標識と電気工事業の帳簿で整理しており、条文(電気工事業法第25条・第26条、施行規則第12条・第13条・第13条の2)との違いは次のとおりです。

標識・帳簿の比較(建設業法と電気工事業法)
項目建設業法(許可業者)電気工事業法(登録・通知)
標識を掲げる場所店舗と、発注者から直接請け負った工事の現場営業所と電気工事の施工場所(工事が1日で完了する施工場所は除く)
標識の記載事項一般・特定の別、許可番号等、商号、代表者、現場は技術者の氏名登録は氏名・営業所・電気工事の種類・登録番号・主任電気工事士等の氏名、通知は氏名・営業所・通知の年月日と通知先
帳簿の記載単位営業所ごと。請け負った工事ごとに契約等を記載営業所ごと。電気工事ごとに注文者・工事の種類と施工場所・施工年月日・主任電気工事士等と作業者の氏名・配線図・検査結果の6項目
保存期間の起算目的物の引渡し時から5年(住宅新築は10年)、図書は10年帳簿へ記載した日から5年
電磁的な保存必要に応じてその営業所で明確に表示できること必要に応じて直ちに表示できる状態で保存すること

電気工事業の登録と建設業許可の違いは電気工事業登録と建設業許可の違い、許可を取った後の届出義務は建設業許可取得後の届出義務で整理しています。

違反した場合の過料

建設業法第55条は、標識を掲げない者(第3号)、第40条の2に違反した者(第4号)、帳簿を備えない・記載しない・虚偽の記載をする、または帳簿や図書を保存しない者(第5号)を、10万円以下の過料としています。電気工事業法側の標識・帳簿の違反は1万円以下の過料で(電気工事業法の監督処分と罰則)、法律ごとに別に問われます。

この整理で言えないこと

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。標識の掲示方法、帳簿・図書の保存、許可の有無に応じた表示の可否は、許可を受けた国土交通省の地方整備局または都道府県の建設業許可担当窓口、電気工事業の登録・通知先の所轄行政庁へ確認してください。

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