公式資料をもとに整理
施工体制台帳・施工体系図と再下請負通知の対象(建設業法第24条の8)
施工体制台帳と施工体系図を作るのは元請の側で、下請の電気工事業者に求められるのは、さらに再下請に出したときの再下請負通知です。特定建設業者の民間工事と公共工事の違い、台帳に書く事項、体系図の掲示先を、立場別に整理します。
公開日: 2026-10-04 / 最終更新: 2026-10-04 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
立場別の義務の整理
e-Gov法令検索「建設業法」第24条の8は、施工体制台帳・施工体系図の作成と、下請側の通知を定めています。電気工事を請け負う事業者は、自分が次のどの立場かで求められることが変わります。
| 立場 | 求められること | 根拠 |
|---|---|---|
| 発注者から直接請け負った特定建設業者 | 下請契約の請負代金の総額が政令の金額以上になるとき、施工体制台帳を作成して工事現場ごとに備え置き、施工体系図を現場の見やすい場所に掲げる | 第1項・第4項 |
| 下請負人(請け負った工事をさらに他の建設業を営む者に請け負わせた場合) | 台帳を作る元請(民間工事は上の特定建設業者、公共工事は特定・一般を問わない建設業者)に、再下請負人の商号・工事内容・工期などを通知する | 第2項 |
| 公共工事の受注者 | 金額の条件なく台帳と体系図を作成し、施工体制台帳の写しの提出などの追加の義務を負う(次節) | 入札契約適正化法第15条 |
電気工事の下請として直接請け負い、さらに別の業者へ出さない場合、この条で自社が台帳を作る義務を負う場面はありません。ただし、元請の台帳には自社の情報が載るため、元請から求められる資料の準備は必要になります。
作成義務が生じる金額と公共工事の違い
e-Gov法令検索「建設業法施行令」第7条の4は、第24条の8第1項の金額を5,000万円としています。ただし、特定建設業者が発注者から直接請け負った工事が建築一式工事の場合は8,000万円です。この金額は、その工事のために締結した下請契約の請負代金の額の総額で見ます。
e-Gov法令検索「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」第15条は、公共工事についてこの規定を読み替えます。
| 項目 | 民間工事(建設業法のみ) | 公共工事 |
|---|---|---|
| 作成する者 | 特定建設業者 | 建設業者(特定・一般を問わない) |
| 台帳の作成条件 | 下請契約の総額が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上) | 下請契約を締結したとき(金額の条件なし) |
| 体系図の掲示先 | 工事現場の見やすい場所 | 工事関係者が見やすい場所と公衆が見やすい場所 |
| 発注者への対応 | 発注者から請求があったときは台帳を閲覧に供する | 台帳の写しを発注者に提出する(発注者が情報通信技術を利用する方法で施工体制を確認できる国土交通省令の措置を講じている場合を除く。この場合、閲覧の規定は適用されない)。発注者から施工体制の点検を求められたときは拒めない |
民間工事の閲覧は建設業法第24条の8第3項、公共工事の写しの提出と点検は入札契約適正化法第15条第2項・第3項です。金額の判定は元請の立場の特定建設業者の問題であり、一般建設業と特定建設業の違いとあわせて、自社の許可区分を確認してください。
施工体制台帳の記載事項と添付書類
e-Gov法令検索「建設業法施行規則」第14条の2は、台帳の記載事項を作成建設業者・請け負った工事・下請負人・下請負人が請け負った工事の4つに分けています。
| 区分 | 主な事項 |
|---|---|
| 作成建設業者 | 許可を受けて営む建設業の種類、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入の届出状況 |
| 請け負った工事 | 工事の名称・内容・工期、発注者との契約年月日と発注者名・住所、主任技術者または監理技術者の氏名・資格・専任か否か、監理技術者補佐を置くときはその氏名と資格 |
| 下請負人 | 商号または名称・住所、建設業者であれば許可番号と許可を受けた建設業の種類、社会保険の加入状況 |
| 下請負人が請け負った工事 | 工事の名称・内容・工期、下請契約の年月日、建設業者であれば置く主任技術者の氏名・資格・専任か否か |
台帳には、請負契約・下請契約に関する書面の写しのほか、元請の主任技術者または監理技術者が資格を有することを証する書面と、その者が元請に雇用期間を特に限定することなく雇用されていることを証する書面の添付が必要です(同条第2項)。契約書面の写しのうち、作成建設業者が注文者となった下請契約以外の下請契約で、公共工事以外の工事のものは、請負代金の額に係る部分を除く扱いが条文にあります。
発注者との請負契約と、元請が直接発注する下請契約は、この除外の対象ではありません。電磁的記録で記載に代えられる定めは第3項・第4項にあります。
技術者の資格と専任の扱いは建設工事現場の技術者配置で整理しています。
施工体系図の表示事項と掲示先
施行規則第14条の6は、施工体系図に、作成建設業者の商号・名称、請け負った工事の名称・工期、発注者名、元請が置く主任技術者または監理技術者の氏名を表示し、現に施工している下請負人ごとに次の事項を、施工の分担関係が分かるよう系統的に示すことを求めています。
- 下請負人の商号または名称と代表者の氏名(建設業者であれば、一般建設業か特定建設業かの別と許可番号も)
- その下請負人が請け負った建設工事の内容と工期(建設業者であれば、特定専門工事の該当の有無と、置く主任技術者の氏名も)
台帳が元請の備え置く書類であるのに対し、体系図は現場に掲示する図です。民間工事では工事現場の見やすい場所、公共工事では工事関係者と公衆の双方が見やすい場所に掲げます。
再下請負通知の事項と方法
下請負人が、請け負った工事をさらに他の建設業を営む者に請け負わせたときは、施行規則第14条の4に基づく再下請負通知を行います。通知する側は、再下請負通知人と呼ばれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通知する事項 | 自社の商号または名称・住所(建設業者なら許可番号)、請け負った工事の名称・注文者名・下請契約の年月日、再下請負人の商号・住所・許可番号・社会保険の加入状況、再下請負人が請け負う工事の名称・内容・工期など |
| 時期 | 他の建設業を営む者に請け負わせる都度、遅滞なく |
| 方法 | 再下請負通知書による書面。再下請負人に対しても、元請(作成建設業者)の商号または名称と、再下請負通知を要する旨およびその書類の提出場所を書面で通知する(第14条の3の事項)。相手の承諾を得れば電磁的方法に代えられる |
| 添付 | 再下請負人と締結した請負契約の書面の写し(公共工事以外では請負代金の額に係る部分を除く) |
再下請負通知の宛先は台帳を作る元請(作成建設業者)であり、元請が台帳を作らない工事で下請同士が必ず交わす書類ではありません。その工事で元請に台帳の作成義務があるかどうかは、前節の金額と公共工事の区分で先に確認します。
関連する別確認
台帳の作成は建設業法の義務であり、電気工事業法の帳簿とは別です。建設業許可を持つ事業者が置く標識と帳簿は建設業許可の標識・帳簿の義務、電気工事業の帳簿は電気工事業の帳簿の記載事項と保存期間で整理しています。再下請に出す前の確認は一括下請負の禁止と例外も参照してください。
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。台帳の作成義務の有無や記載の細部は工事の契約内容により異なるため、所轄の建設業許可行政庁に確認してください。
新規開業時の登録・通知の目安は電気工事業区分セルフチェックで確認できます。台帳の要否を判定するツールではありません。