公式資料をもとに整理

下請が元請に出す作業員名簿と再下請負通知書

下請として元請の現場に入る前に求められる書類のうち、国土交通省の資料で根拠が確かめられるのは、作業員名簿(社会保険の加入状況の欄を含む)と再下請負通知書です。「グリーンファイル」と呼ばれる書類一式の中身は元請ごとに異なるため、提出先の元請に確認します。台帳の作成が義務づけられる工事(特定建設業者が元請の民間工事で下請契約の総額が一定額以上のもの、公共工事)が前提で、それ以外の工事でも元請から同様の書類を求められることがあります。

公開日: 2026-10-17 / 最終更新: 2026-10-17 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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元請に出す書類の分け方

元請に出す書類は、建設業法の台帳に関わるものと、元請が現場ごとに決める安全衛生の書類に分けて考えると整理しやすくなります。

下請が元請に出す書類の2つの系統
系統書類の例根拠と様式
建設業法の台帳に関わる書類再下請負通知書、作業員名簿再下請負通知は建設業法第24条の8第2項と施行規則第14条の4。作業員名簿は、国土交通省の下請指導ガイドラインが、台帳に社会保険の加入状況を記載することになったため「実質的に作成が義務化された」と説明している書類
元請が現場ごとに決める書類新規入場者の調査票、持込機械の届、有資格者の一覧などこの記事で使った国土交通省の資料には様式の定めがなく、内容は元請の指定による

これらを一つのファイルにまとめたものが、現場で「グリーンファイル」と呼ばれることがあります。この記事で確かめた国土交通省の資料にこの呼び名は出てこないため、通称として扱います。台帳そのものの作成義務や記載事項は、末尾の施工体制台帳のガイドにまとめています。

作業員名簿に書く社会保険の欄

作業員名簿には、作業員ごとに健康保険・年金保険・雇用保険の加入状況を書きます。国土交通省の社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの別紙3(作業員名簿の例)では、書き方が次のように注記されています。

作業員名簿の社会保険欄の書き方(ガイドライン別紙3の例)
欄書くこと
健康保険保険の名称(健康保険組合、協会けんぽ、建設国保、国民健康保険など)を書く。保険者番号と被保険者の記号・番号は書かない
年金保険保険の名称(厚生年金、国民年金など)を書く。基礎年金番号は書かない
雇用保険被保険者番号は下4けたを書く。日雇労働被保険者は「日雇保険」、事業主などで適用除外の場合は「適用除外」と書く
適用除外健康保険は、後期高齢者などで国民健康保険の適用除外である場合に「適用除外」と書く
退職金共済様式の上部に、建退共・中退共・その他・無のいずれに加入しているかを書く欄がある

ガイドラインは、名簿に書く被保険者番号などは個人情報保護法上の個人情報にあたるため、適切に取り扱う必要があるとしています。元請に名簿を出すときは、利用目的(保険の加入状況を元請が確認すること)を示し、あらかじめ作業員の同意を得ることが必要とされています。

元請が確かめる内容と入場できない場合

同じガイドラインは、元請に対し、新規入場者を受け入れるときに作業員名簿の社会保険欄を確認するよう求めています。次のいずれかに当たる作業員がいると、名簿を作った下請に、適切な保険に加入させる指導が入ります。

次の人は例外の扱いです。臨時に使用され1か月以内で日々雇用される人などは、健康保険と厚生年金保険の適用除外になります。健康保険法第3条第1項第8号の承認を受けて国民健康保険組合に加入し、厚生年金の適用を受けている人も、適切な社会保険に加入している者とされます。

加入状況を確かめる方法は、建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録情報を閲覧する方法が原則です。この場合、証明書類の添付は不要とされています。CCUSを使わない場合は、健康保険証の写し、標準報酬決定通知書などの写し、雇用保険被保険者証の写し(確認に必要な事項以外を黒塗りしたもの)を提示するよう、元請が下請に求める扱いです。

保険の加入状況を確認できない作業員は、特段の理由がない限り、元請が現場への入場を認めないとされています。特段の理由は、原文では「特殊な技能を有しており、入場を認めなければ工事の施工が困難となる場合」と「加入手続き中で今後確実に加入が見込まれる場合」で、災害時などの緊急対応工事を除き、この場合に限るべきだとされています。電気工事の下請が名簿を出すときは、空欄を残さず書ける状態で提出します。

一人親方として入る場合の書類

従業員を雇わない一人親方は、事業主として雇用保険の適用除外になる場合があります。ガイドラインは、一人親方として下請企業と請負契約を結んでいるために雇用保険に加入していない作業員については、元請が下請に対し、一人親方との関係を書いた再下請負通知書と請負契約書の提出を求めるとしています。

請負契約の形をとっていても、実態が雇用であれば偽装請負にあたるおそれがあると、ガイドライン自体が注意しています。契約の形と実態の見分け方は下請・派遣・偽装請負の違いのガイドで確認できます。

電気工事の下請が手元にそろえるもの

様式は元請が指定するため、次は「提出を求められやすいものを先に用意しておく」ための目安です。法令で一律に定められた提出物の一覧ではありません。

安全衛生責任者の選任と元請への通報は統括安全衛生責任者と安全衛生責任者のガイド、労災保険の扱いは一人親方の労災保険特別加入のガイドで整理しています。

次に知りたいこと

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。提出する書類の種類と様式は元請や発注者ごとに異なるため、現場に入る前に元請の担当者へ確認してください。

新規開業時の登録・通知の目安は電気工事業区分セルフチェックで確認できます。書類の要否を判定するツールではありません。