労働安全衛生法・クレーン等安全規則

移動式クレーンの運転・玉掛けの資格区分(1トン・5トン)

移動式クレーンの運転(道路上を走行させる運転を除く)は、つり上げ荷重が5トン以上なら免許、1トン以上5トン未満なら技能講習、1トン未満なら特別教育が必要です。玉掛けは、1トン以上なら技能講習、1トン未満なら特別教育です。電気機器や資材をクレーンで吊る現場に入る前に、運転する人と玉掛けをする人の資格をそれぞれ確かめるための、条文の区分を整理します。

公開日: 2026-10-11 / 最終更新: 2026-10-11 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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運転と玉掛けは別々の資格

クレーンを運転する資格と、荷にワイヤロープなどを掛ける玉掛けの資格は別で、どちらも「つり上げ荷重」の1トンが境目の一つです。運転する人が免許や技能講習を持っていても、玉掛けをする人は玉掛けの資格を別に満たす必要があります。つり上げ荷重は、安衛法施行令第10条で、クレーン・移動式クレーン・デリックの構造及び材料に応じて負荷させることができる最大の荷重と定義されており、吊ろうとする荷の重さそのものではないため、機種の仕様で確認します。

移動式クレーンの運転・玉掛けに必要な資格の区分(条文の要約)
業務必要なもの根拠
つり上げ荷重5トン以上の移動式クレーンの運転(道路上を走行させる運転を除く)移動式クレーン運転士免許クレーン則第68条本文
つり上げ荷重1トン以上5トン未満の移動式クレーン(小型移動式クレーン)の運転免許、または小型移動式クレーン運転技能講習の修了クレーン則第68条ただし書
つり上げ荷重1トン未満の移動式クレーンの運転特別教育クレーン則第67条
つり上げ荷重1トン以上のクレーン・移動式クレーン・デリックの玉掛け玉掛け技能講習の修了など安衛法施行令第20条第16号、クレーン則第221条
つり上げ荷重1トン未満のクレーン・移動式クレーン・デリックの玉掛け特別教育クレーン則第222条、安衛則第36条第19号

高所作業車の運転とフルハーネス型の特別教育は電気工事の高所作業で必要な特別教育と技能講習で整理しています。電気そのものの特別教育は電気工事の特別教育(低圧・高圧の科目と時間)が対象で、クレーンと玉掛けはその記事では対象外です。

移動式クレーンの運転(5トン・1トン)

移動式クレーンの運転は、つり上げ荷重で3つに分かれます。5トン以上は免許、1トン以上5トン未満は技能講習でも可、1トン未満は特別教育です。安衛法施行令第20条第7号は、つり上げ荷重が1トン以上の移動式クレーンの運転(道路上を走行させる運転を除く)を就業制限の業務に挙げています (e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」)。

クレーン等安全規則第68条は、この業務を移動式クレーン運転士免許を受けた者でなければ就かせてはならないと定め、つり上げ荷重が1トン以上5トン未満の小型移動式クレーンに限り、小型移動式クレーン運転技能講習を修了した者を就かせることができるとしています (e-Gov法令検索「クレーン等安全規則」)。

つり上げ荷重が1トン未満の移動式クレーンの運転は、同規則第67条が特別教育を事業者に義務づけています。科目は、移動式クレーンに関する知識、原動機及び電気に関する知識、運転のために必要な力学に関する知識、関係法令、運転、運転のための合図の6つです。どちらの場合も、道路上を走行させる運転は条文の対象から除かれています。

玉掛けの資格(1トン)

玉掛けは、つり上げ荷重が1トン以上のクレーン・移動式クレーン・デリックなら、玉掛け技能講習の修了などが必要で、1トン未満なら特別教育です。安衛法施行令第20条第16号が1トン以上の玉掛けを就業制限の業務に挙げ、クレーン則第221条が、玉掛け技能講習を修了した者、普通職業訓練の玉掛け科の訓練を修了した者、その他厚生労働大臣が定める者のいずれかでなければ就かせてはならないと定めています。

1トン未満の玉掛けは、クレーン則第222条が特別教育を義務づけています。科目は、クレーン等に関する知識、玉掛けに必要な力学に関する知識、玉掛けの方法、関係法令、玉掛け、運転のための合図の6つです。この特別教育の対象業務は、安衛則第36条第19号にも掲げられています。

特別教育を行った事業者は、受講者と科目などの記録を3年間保存します(安衛則第38条)。技能講習などの資格が必要な業務につく人は、従事するときに免許証その他資格を証する書面を携帯します(安衛法第61条第3項)。

資格のない人に就かせたとき

就業制限の業務に、必要な資格のない人を就かせた事業者には、安衛法第119条第1号で6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。同号は第61条第1項の違反を列挙しており、条文は「違反行為をした者」を罰すると書いています。特別教育を行わない場合は、安衛法第59条第3項の違反にあたり、同じ第119条第1号に列挙されています。

個別の事案で罰則がどう適用されるかは、この記事では判断しません。罰則の条文はe-Gov法令検索「労働安全衛生法」で確認できます。

この整理で言えないこと

この記事は条文の区分の整理にとどまり、技能講習や特別教育の実施機関、時間数、免許試験の内容、吊り荷の重さの目安、合図の方法、定格荷重の考え方は扱っていません。クレーン、デリック、ゴンドラなどそのほかの機械の資格も扱っていません。道路上を走行させる運転は、道路交通法の運転免許など別の決まりが関わります。

足場の上や屋根上での墜落防止は脚立・移動はしごの法定基準、停電・活線作業の安全措置は停電作業・活線作業・活線近接作業のガイドで整理しています。下請として現場に入るときの安全衛生責任者は統括安全衛生責任者と安全衛生責任者のガイドにあります。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。作業が免許・技能講習・特別教育の対象に当たるかは、労働基準監督署または都道府県労働局で確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。