労働安全衛生法・労働安全衛生規則

グラインダーの砥石交換に必要な特別教育と試運転

ディスクグラインダーの研削といし(砥石)を取り替える作業と、取り替えたあとの試運転は、特別教育を受けた人が行います。試運転は、その日の作業の開始前に1分間以上、取り替えたときは3分間以上です。電気工事士の免状とは別の労働安全衛生法令の決まりを整理します。

公開日: 2026-10-19 / 最終更新: 2026-10-19 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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先に結論:特別教育の対象は取替えと試運転

労働安全衛生規則第36条第1号は、研削といしの取替え、または取替え時の試運転の業務を、特別教育の対象にしています。事業者は、この業務に労働者をつかせるときに、特別の教育を行います。根拠は労働安全衛生法第59条第3項です (e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」、同「労働安全衛生法」)。

厚生労働省の外国人労働者向け教材(建設業)は、ディスクグラインダーを「研削といし(ディスクグラインダ)」として説明し、研削といしの取替えと取替え時の試運転は、安全衛生特別教育を受けた人が行うとしています (厚生労働省「安全衛生のポイント 研削といし(ディスクグラインダ)」)。

電気工事士の免状や電気工事業の登録とは関係がなく、電気を扱う特別教育(低圧・高圧)とも別の区分です。電気の取扱い業務の特別教育は電気工事の特別教育(低圧・高圧の科目と時間)で整理しています。

試運転の時間(1分間以上と3分間以上)

労働安全衛生規則第118条は、その日の作業を開始する前には1分間以上、研削といしを取り替えたときには3分間以上、試運転をするよう定めています。厚生労働省の教材も、作業開始前は1分間以上、取り替えたときは3分間以上と説明しています。

研削といしに関わる決まり(条文の要約)
場面決まり根拠
研削といしを取り替える/取替え時に試運転をする特別教育を受けた人が行う安衛則第36条第1号
その日の作業を始める前1分間以上、試運転する安衛則第118条
研削といしを取り替えたとき3分間以上、試運転する安衛則第118条

特別教育の科目と最低時間

自由研削用といしの取替え等の特別教育は、学科が最低4時間、実技が最低2時間です。厚生労働省の安全衛生特別教育規程の別表(別表5)は、「自由研削用といしの取替え又は取替え時の試運転の業務」の科目を次のように示しています。

自由研削用といしの取替え等の特別教育(最低時間)
区分科目最低時間
学科自由研削用研削盤、自由研削用といし、取付け具等に関する知識2時間
学科自由研削用といしの取付け方法及び試運転の方法に関する知識1時間
学科関係法令1時間
実技自由研削用といしの取付け方法及び試運転の方法2時間

時間数は厚生労働省「特別教育 別表5(別紙)」のとおりで、東京労働局の特別教育の案内は、表中の数字を最低時間と注記しています(東京労働局「安全衛生教育」)。社内で行う場合も、外部の講習を受ける場合も、この科目と時間を満たす内容かを講習の案内で確かめます。

同じ別表の機械研削用といしの区分は、学科7時間・実技3時間で別に定められています。使う工具の研削といしがどちらの区分に当たるかは、講習の実施機関に確認します。

使うときに守る条文(覆い・周速度・側面)

特別教育の対象は取替えと試運転ですが、研削といしを使うときにも、覆い・最高使用周速度・側面の使用について事業者が守る条文があります。労働安全衛生規則の次の条文を、現場で使うときの確認に当てはめます。

厚生労働省の教材は、といしのひび・割れ・欠けなどの外観検査と打音検査、といしカバーの取付け、サイドハンドルを外さないこと、といしに表示された最高使用周速度や寸法が機械に合っているかの確認を挙げています。保護メガネの使用、粉じんの多い作業での防じんマスク、騒音の多い作業での耳栓なども、同じ教材に載っています。

教育の記録と確認表

特別教育を行った事業者は、受講者と科目などの記録を作成して、3年間保存します(安衛則第38条)。高所作業車やフルハーネス型の作業の教育でも同じ決まりです。高所作業の区分は電気工事の高所作業で必要な特別教育と技能講習で整理しています。

この整理で言えないこと

この記事は条文と厚生労働省の資料の整理にとどまります。切断といし、ダイヤモンドホイール、ワイヤーブラシなど、工具に付ける刃物の種類ごとに第36条第1号の「研削といし」に当たるかは、条文と教材からは判断できません。種類ごとの当たりはずれは、労働基準監督署で確認してください。

第59条第3項は、事業者が労働者を業務につかせるときの義務を定めた規定です。従業員を雇わない一人親方に、この条文の義務がどう及ぶかは、この記事では扱いません。

現場で作業員を指導する立場につく人の教育は職長教育のガイドで、従業員を雇った後の保険手続きは従業員を雇った電気工事業者の労災保険・雇用保険の加入手続きで整理しています。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。作業が特別教育の対象に当たるか、教育の科目と時間が足りているかは、労働基準監督署または都道府県労働局で確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。