労働安全衛生法・労働安全衛生規則

溶接に必要な資格(アーク溶接とガス溶接の違い)

アーク溶接機を使う金属の溶接・溶断は特別教育、可燃性ガスと酸素を使う溶接・溶断・加熱は技能講習などの資格が必要です。電気工事士の免状とは別の労働安全衛生法令の決まりを、条文で整理します。

公開日: 2026-10-19 / 最終更新: 2026-10-19 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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先に結論:アーク溶接とガス溶接で求められるものが違う

アーク溶接等は特別教育(労働安全衛生規則第36条第3号)、ガス溶接等は就業制限の資格(労働安全衛生法施行令第20条第10号)と、条文の区分が分かれています。現場で架台や支持金物を溶接する場合は、使う溶接機の種類ごとに、次の表のどちらに当たるかを確認します。

溶接の業務に関わる教育・資格の区分(条文の要約)
業務必要なもの根拠
アーク溶接機を用いて行う金属の溶接、溶断等特別教育安衛則第36条第3号
可燃性ガス及び酸素を用いて行う金属の溶接、溶断又は加熱免許、技能講習の修了などの資格安衛法第61条第1項、安衛法施行令第20条第10号

電気を扱う業務の特別教育は電気工事の特別教育(低圧・高圧の科目と時間)、研削といしの取替えの特別教育はグラインダーの砥石交換の特別教育で整理しています。

アーク溶接等の特別教育(学科11時間・実技10時間)

労働安全衛生規則第36条第3号は、アーク溶接機を用いて行う金属の溶接、溶断等の業務を特別教育の対象にしています。事業者は、この業務に労働者をつかせるときに、特別の教育を行います。根拠は労働安全衛生法第59条第3項です (e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」、同「労働安全衛生法」)。

厚生労働省の安全衛生特別教育規程の別表(別表5)は、アーク溶接等の業務の特別教育を、学科の計が11時間、実技が10時間としています (厚生労働省「特別教育 別表5(別紙)」)。 東京労働局の特別教育の案内は、表中の数字を最低時間と注記しています(東京労働局「安全衛生教育」)。

ガス溶接等の就業制限(技能講習などの資格)

可燃性ガス及び酸素を用いて行う金属の溶接、溶断又は加熱の業務は、安衛法施行令第20条第10号が就業制限の業務に挙げています。安衛法第61条第1項は、就業制限の業務を、免許を受けた者、登録を受けた者が行う技能講習を修了した者などでなければ、つかせてはならないと定めています (e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」)。

アーク溶接の特別教育を受けただけでは、この業務につけません。アーク溶接とガス溶接は、条文の号が別で、求められる教育と資格も別です。

教育の記録と資格の携帯

特別教育を行った事業者は、受講者と科目などの記録を作成して、3年間保存します(安衛則第38条)。技能講習などの資格が必要な業務につく人は、業務に従事するときに、免許証その他その資格を証する書面を携帯します(安衛法第61条第3項)。

この整理で言えないこと

この記事は条文と厚生労働省の資料の整理にとどまります。ガス溶接の技能講習の時間数や科目、免許の種類、溶接作業での火災や有害物の防止の措置は扱っていません。

第59条第3項は、事業者が労働者を業務につかせるときの義務を定めた規定です。従業員を雇わない一人親方に、この条文の義務がどう及ぶかは、この記事では扱いません。

高所作業の教育と資格は電気工事の高所作業で必要な特別教育と技能講習、移動式クレーンと玉掛けは移動式クレーンの運転・玉掛けの資格区分で整理しています。従業員を雇った後の保険手続きは従業員を雇った電気工事業者の労災保険・雇用保険の加入手続きで整理しています。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。作業が特別教育や就業制限の対象に当たるかは、労働基準監督署または都道府県労働局で確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。