公式資料をもとに整理

電気工事業の残業代・割増賃金の計算(日給制の基礎時給と割増率)

法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた時間外労働は25%以上、月60時間を超えた分は50%以上、法定休日の労働は35%以上、午後10時から午前5時までの深夜労働は25%以上の割増賃金を支払う必要があります。日給制の電気工事の職人でも、日給を1日の所定労働時間で割った1時間あたりの賃金を基礎に計算します。ここでは労働基準法と厚生労働省のリーフレットから、率、計算の順序、基礎に入れない手当、罰則を整理します。

公開日: 2026-10-12 / 最終更新: 2026-10-12 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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割増率の早見表

労働基準法第37条は、時間外労働・休日労働・深夜労働に割増賃金を支払うよう定めています(e-Gov法令検索「労働基準法」第37条)。時間外と休日の率は政令で定められ、時間外は2割5分、法定休日の労働は3割5分です(e-Gov法令検索「労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令」)。

割増賃金の最低限度の率
働かせた時間率の下限根拠
法定労働時間を超えた時間外労働(月60時間以下)25%労働基準法第37条第1項・政令
時間外労働のうち月60時間を超えた分50%労働基準法第37条第1項ただし書
法定休日の労働35%政令
午後10時から午前5時までの深夜労働25%労働基準法第37条第4項

月60時間を超える時間外労働の50%は、大企業には2010年4月から、中小企業には2023年4月1日から適用されています(厚生労働省「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」)。電気工事業の事業者の多くは中小企業に当たりますが、中小企業かどうかは、資本金の額または常時使用する労働者の数のどちらかで企業単位に判断されます。その他の業種は、資本金3億円以下または労働者300人以下です。

「法定休日」は、労働基準法第35条の毎週少なくとも1回の休日(4週間を通じて4日以上の休日でもよい)を指します。会社が就業規則などで決めた土曜日などの所定休日は、法定休日でなければ35%の対象ではなく、その日の労働が週40時間を超えた分は時間外労働として25%以上になります。

日給制・月給制の1時間あたり賃金の出し方

割増賃金の基礎になる「通常の労働時間の賃金」は、賃金の決め方ごとに、労働基準法施行規則第19条第1項が計算方法を定めています(e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」)。

賃金の決め方ごとの1時間あたり賃金(施行規則第19条第1項)
賃金の決め方1時間あたりの金額
時給その金額
日給日給額 ÷ 1日の所定労働時間数(日によって違う場合は、1週間の1日平均所定労働時間数)
月給月給額 ÷ 月の所定労働時間数(月によって違う場合は、1年間の1か月平均所定労働時間数)
出来高払制などの請負制賃金算定期間の出来高賃金の総額 ÷ その期間の総労働時間数

現場によって就業時間が違う電気工事の職人は、日給なら「1日の所定労働時間数」が日によって変わることがあります。その場合は、1週間における1日平均所定労働時間数で割ります(施行規則第19条第1項第2号)。日給と月給のように、賃金が2つ以上の決め方でできているときは、それぞれの部分を各号で計算して合計します(同項第7号)。

日給制の計算例(仮の数字)

次は、仕組みを確認するための仮の数字です。実際の金額は、自社の賃金規程と労働時間で計算してください。

所定労働時間が7時間の日給の会社では、7時間を超え8時間までの1時間は法定労働時間の内側にあるため、時間外労働の割増は付きません。ただし、その1時間にも通常の賃金は必要です。この境目は、就業規則や雇入れ時の労働条件通知書で決めている所定労働時間によって変わります(労働条件通知書と就業規則のガイド)。

割増の基礎に入れない手当

割増賃金の基礎には、家族手当、通勤手当のほか、厚生労働省令で定める賃金は含めません(労働基準法第37条第5項)。施行規則第21条は、次の賃金を基礎に算入しないと定めています。

条文に並んでいない手当は、この記事では基礎から除けるとは言えません。たとえば現場手当、資格手当、高所手当などの呼び名の手当は、条文の列挙に当たるかどうかを個別に確認する必要があります。手当を基礎に入れ忘れると、1時間あたりの賃金が低く計算され、割増賃金が不足するおそれがあります。

月60時間超・深夜・休日が重なるとき

重なったときの率は、割増率を足して考えます。

割増が重なるときの率の下限
重なる内容率の下限根拠
時間外労働が深夜(午後10時〜午前5時)に及ぶ50%(25% + 25%)施行規則第20条第1項
月60時間超の時間外労働が深夜に及ぶ75%(50% + 25%)施行規則第20条第1項、厚生労働省リーフレット
法定休日の労働が深夜に及ぶ60%(35% + 25%)施行規則第20条第2項

月60時間の数え方には注意が必要です。厚生労働省のリーフレットでは、法定休日に行った労働時間は60時間の算定に含まれず、それ以外の休日に行った労働時間は含まれると案内しています。つまり、土曜日が所定休日で法定休日が日曜日の会社では、土曜日の労働は時間外労働として60時間に数え、日曜日の労働は35%の休日労働として別に数えます。

月60時間を超えた分の割増賃金の支払に代えて、労使協定を結んだうえで、有給の休暇(代替休暇)を与える方法もあります(労働基準法第37条第3項)。協定の内容や休暇の時間数の計算は、この記事では扱いません。

残業そのものの上限と36協定は残業の上限規制と36協定のガイド、賃金を支払う記録の備え方は労働者名簿と賃金台帳のガイドで整理しています。

支払わなかったときの罰則

労働基準法第37条に違反した使用者は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処せられると定められています(同法第119条第1号)。

この整理で言えないこと

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。割増賃金の計算、手当の扱い、固定残業代の設計は、所轄の労働基準監督署または都道府県労働局で最終確認してください。

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一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。