従業員の出来高給・歩合給の扱いを整理
歩合給の職人の残業代の計算と保障給(出来高払い)
雇っている職人の賃金が出来高払い(歩合給)でも、時間外・休日・深夜に働かせれば割増賃金を払う義務があります。計算は、その期間の出来高給の総額を総労働時間で割った金額を基礎にします。あわせて労働基準法第27条は、出来高払制で使う労働者に、労働時間に応じた一定額の賃金の保障を求めています。
公開日: 2026-10-22 / 最終更新: 2026-10-22 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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先に結論:出来高払いでも割増賃金と保障給の対象
労働基準法第37条は、時間外・休日・深夜に労働させたときの割増賃金を定めています。その計算の基礎となる賃金について、同法施行規則第19条第1項第6号は、出来高払制その他の請負制で定められた賃金は、賃金算定期間にその方法で計算された賃金の総額を、同じ期間の総労働時間数で除した金額とすると定めています(e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」)。
厚生労働省の労働局の資料でも、歩合制や出来高払いの場合に時間外・休日労働の割増賃金を支払う必要がある点が、あっせん事例の要点として示されています(厚生労働省「個別労働関係紛争あっせん事例」)。歩合給に残業代を含めたとする扱いが認められる条件は、固定残業代が有効になる条件で整理しています。
歩合給の割増賃金の計算式
京都労働局の資料は、出来高給の場合の割増賃金を次の式で示しています(京都労働局「割増賃金の計算方法」)。月給や日給と違い、割増率の部分に1.0を含めない点が特徴です。出来高給の総額には、すでに全時間分の賃金が含まれているためです。
| 働いた時間 | 計算式 |
|---|---|
| 時間外労働 | 期間中の出来高給の総額 ÷ 期間中の総労働時間数 × 0.25 × 時間外労働時間数(深夜に及ぶ時間は0.5) |
| 休日労働 | 同じ時間単価 × 0.35 × 休日労働時間数(深夜に及ぶ時間は0.6) |
| 深夜労働 | 同じ時間単価 × 0.25 × 深夜労働時間数 |
賃金が月給などの固定給と歩合給からなる場合、施行規則第19条第1項第7号は、部分ごとに計算した金額を合計するとしています。月60時間を超える時間外労働の割増率は時間外・休日・深夜の割増賃金の計算で確認してください。
計算例(架空の数字)
次の数字はすべて説明のための架空の例です。月間の出来高給が30万円、総労働時間が200時間、うち時間外労働が20時間(深夜に及ばない)の場合を計算します。
- 時間単価:300,000円 ÷ 200時間 = 1,500円
- 割増賃金:1,500円 × 0.25 × 20時間 = 7,500円
この月に払う賃金は、出来高給30万円に割増賃金7,500円を加えた金額になります。実際の算定では、割増賃金の基礎から除外できる手当の範囲や、端数処理の扱いも確認が必要です。
出来高払制の保障給(第27条)
労働基準法第27条は、出来高払制その他の請負制で使用する労働者について、使用者は労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならないと定めています(e-Gov法令検索「労働基準法」)。茨城労働局の「労働基準法のあらまし」も、同じ内容を出来高払制の保障給として紹介しています(茨城労働局「賃金支払いの原則、出来高払制」)。
条文は、労働時間に応じた一定額の賃金の保障を求めていますが、金額を数字では定めていません。工事が少ない月や、待機・移動の時間が長い月の出来高給の扱いを決める場合は、保障の水準を所轄の労働基準監督署に確認してください。最低賃金との関係は電気工事の従業員に適用される最低賃金で整理しています。
対象になる人とならない人
割増賃金も保障給も、労働基準法上の労働者に対する義務です。契約書の名目が請負でも、実態が使用され賃金を支払われる関係なら労働者として扱われる点は、先のあっせん事例にも示されています。一人親方への外注と従業員の違いは請負と派遣・偽装請負の違いで確認できます。
給与設計の確認チェックリスト
- 出来高給の対象期間(賃金の締切期間)と、総労働時間の記録方法を決めたか(労働時間の記録義務)
- 時間外・休日・深夜の時間数を、出来高給と別に集計しているか
- 割増賃金を「出来高給の総額 ÷ 総労働時間」を基礎に計算し、固定給と歩合給が混ざる場合は部分ごとに合計しているか
- 出来高払いの保障給の水準を所轄の労働基準監督署に確認し、賃金規程や労働条件通知書に反映したか(労働条件通知書の記載事項)
- 歩合給に残業代を含める扱いにするなら、固定残業代の有効条件を確認したか
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の賃金制度が労働基準法に適合するか、保障給の水準が適切かは、賃金規程などの実際の内容を示して所轄の労働基準監督署または社会保険労務士に確認してください。
残業代の全体像は時間外・休日・深夜の割増賃金、未払い賃金を請求できる期間は未払い賃金の時効、労基署の調査の流れは労基署の臨検と是正勧告で確認できます。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。
一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。