公式資料をもとに整理
主任電気工事士の兼任(営業所ごとの専任・選任の期限)
主任電気工事士は、一般用電気工事を行う営業所(特定営業所)ごとに専任で置くものとされ、他の営業所や他の登録電気工事業者の営業所の主任電気工事士を兼ねることはできません。経済産業省の逐条解説の記述を軸に、設置義務が営業所ごとにかかる理由、兼任できない場合に起きること、欠員を出さないための選任の期限を整理します。
公開日: 2026-10-13 / 最終更新: 2026-10-13 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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結論:営業所ごとに専任、兼任は認められない
電気工事業法第19条第1項は、登録電気工事業者に、一般用電気工事の業務を行う営業所(特定営業所)ごとに主任電気工事士を置くことを求めています。経済産業省「電気工事業法の逐条解説」は、これを「特定営業所単位に『専任』の主任電気工事士を置くということであり兼務は認められない。また、電気工事業者が異なる場合も認められない」と説明しています。
同じ人が、A営業所とB営業所の主任電気工事士を同時に務めることも、別の電気工事業者の営業所の主任電気工事士を兼ねることもできません。同解説の第4条の部分は、主任電気工事士等が「専らその置かれている営業所において電気工事の作業の管理を行う者」であることを理由に挙げています。
主任電気工事士の資格要件そのもの(第一種電気工事士、または免状交付後3年以上の実務経験がある第二種電気工事士)は主任電気工事士の要件と選任の記事で整理しています。
設置義務が営業所ごとにかかる範囲
設置義務の単位は「営業所」ですが、すべての営業拠点にかかるわけではありません。逐条解説は、主任電気工事士の選任が必要なのは特定営業所だけで、電気工事の業務を行わない営業拠点等にまでは選任を求めないと説明しています。
| 営業拠点の状況 | 主任電気工事士 | 根拠 |
|---|---|---|
| 一般用電気工事の業務を行う営業所(特定営業所) | その営業所ごとに専任で置く | 第19条第1項、逐条解説 |
| 電気工事の業務を行わない営業拠点 | 選任は求められない | 逐条解説(第19条の解説) |
| 資格(第一種、または免状交付後3年以上の実務経験がある第二種)を持つ事業者本人・役員が自ら主として業務に従事する特定営業所 | 第1項の規定が適用されない(別に置かなくてよい) | 第19条第2項 |
自家用電気工作物の工事だけを扱う営業所や、通知・みなし通知の区分は第19条の設置義務の対象外です。この点は主任電気工事士が必要な営業所にまとめています。営業所そのものの考え方や、複数の営業所が複数の都道府県にまたがる場合の登録先は複数の営業所を持つ場合の登録先の記事で確認できます。
兼任になる場面の整理
営業所が増えたときや、人手が足りないときに「あの人に両方を任せたい」と考える場面を、逐条解説の説明に当てはめると次のようになります。
| 場面 | 扱い |
|---|---|
| 同じ会社の2つの営業所で同じ人を主任電気工事士にする | 兼務は認められない。営業所ごとに別の人が必要 |
| 自社の営業所の主任電気工事士が、別の電気工事業者の営業所の主任電気工事士も務める | 電気工事業者が異なる場合も認められない |
| 法人の監査役を主任電気工事士にする | 会社法第335条第2項により、その法人の主任電気工事士になれない |
| 旅行、疾病その他の事故により、相当期間にわたり主任電気工事士が作業を管理できない | 「欠けるに至ったとき」に含まれ、新たな選任が必要 |
専任であることを確かめるため、施行規則第2条第2項第3号(第7条第2号も同様)は、主任電気工事士が登録申請者の従業員であることを証する書面を添えることを定めています。逐条解説は、その書面を求める理由が専任の確保にあると説明しています。提出書類の一覧は登録・通知に必要な書類と様式で確認できます。
欠員を出さないための選任の期限
主任電気工事士が欠格事由に当たった、欠けた、営業所が特定営業所になった、新たに特定営業所を設置した、のいずれかに当たるときは、そのことを知った日から2週間以内に主任電気工事士を選任します。第19条第3項の各号がこの4つの場合を定めています。
選任した後は、登録事項の変更として、選任の日から30日以内に変更届を出します(逐条解説の第19条の解説)。主任電気工事士が複数の営業所を掛け持ちできない以上、新たに特定営業所を設置する(または営業所が特定営業所になる)計画があるときは、その営業所の分の主任電気工事士を、そのことを知った日から2週間以内(逐条解説は設置の日からと表現)に選任できる状態にしておく必要があります。
逐条解説は、事業者本人や法人の役員が第19条第2項の条件を満たして自ら特定営業所の業務に従事することにした場合は、それをもって主任電気工事士を選任したものとみなすと説明しています。
置かなかった場合の扱い
営業所について第19条に規定する要件を欠くことは、登録の拒否事由です(第6条第1項第6号)。登録後に第19条第3項に違反して主任電気工事士の選任をしなかった者は、3万円以下の罰金の対象です(第39条第1号)。
この整理で言えないこと
- 第19条第2項の特例を、同じ人が2つ以上の営業所で同時に使えるかは、逐条解説の該当箇所では述べられておらず、この記事では確定しません。所轄の窓口で確認してください。
- 名目上だけ従業員とする、非常勤の扱いにするなどの個別の雇用形態が専任に当たるかは判断しません。
- 営業所が別の都道府県にある場合の登録先や、営業所の数え方は、複数の営業所を持つ場合の記事で別に整理しています。
- 特定の人材紹介や講習の利用を推奨するものではありません。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。自社の営業所の数え方、役員等の特例の適用、雇用・常勤性が専任の要件を満たすかは、届出前に所轄の登録行政庁へ確認してください。
営業所ごとに主任電気工事士の要件を満たす人がいるかを手元の情報で確かめるには、主任電気工事士になれるか確認するツールが使えます。まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。