公式資料をもとに整理
電気工事業の一人親方・個人事業主にかかる個人事業税の計算
個人で電気工事を請け負う事業の個人事業税は、事業の所得から事業主控除290万円を引いた額に、標準税率5%を掛けて決まります。所得が控除額以内なら税額は出ません。ここでは地方税法と都県の公式資料から、電気工事業の一人親方・個人事業主が確認する税率、控除、青色申告特別控除の扱い、仮の数字での計算例、申告と納期を整理します。
公開日: 2026-10-12 / 最終更新: 2026-10-12 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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課税の対象と電気工事の区分
個人事業税は、都道府県内に事務所や事業所を持って、法律で決められた業種の事業を行う個人にかかります(宮城県「個人事業税」)。法人にかかるのは法人事業税で、この記事では扱いません。
地方税法第72条の2は、第一種事業の1つに請負業を挙げています(e-Gov法令検索「地方税法」第72条の2第8項)。注文を受けて電気工事を請け負う事業は、請負業として扱われるのが一般的です。ただし、事業の実態がどの業種に当たるかは都道府県が判断するため、迷うときは都道府県税事務所で確認してください。
事務所を設けずに自宅で事業を行う場合は、住所または居所のうちその事業と最も関係の深いものを事務所とみなして課税されます(同条第7項)。
税額の出し方(税率5%と事業主控除290万円)
第一種事業の標準税率は5%です(同法第72条の49の17第1項第1号)。事業主控除は年290万円で、事業の所得から引きます(同法第72条の49の14第1項)。式にすると「(事業の所得 − 事業主控除290万円)× 5%」です。
標準税率を超えて課す場合の上限は標準の1.1倍までと定められており、実際の税率は都道府県の条例で決まります(第72条の49の17第3項)。
控除には、事業主控除のほかに事業専従者控除、損失の繰越控除(所得税の青色申告者のみ)などがあります。どの控除が使えるかは、確定申告の内容と都道府県の取扱いで異なります。
青色申告特別控除は引けない
東京都主税局の資料は、個人事業税には青色申告特別控除の適用がないため、所得税で認められている場合は足し戻すと説明しています(東京都主税局「個人事業税のしくみ」)。確定申告書の所得金額は青色申告特別控除を引いた後の数字なので、そのままでは使えません。
青色申告の承認申請そのものは青色申告承認申請のガイドで整理しています。
計算例(仮の数字)
次は、仕組みを確認するための仮の数字です。実際の税額は、確定申告の内容にもとづいて都道府県が決めます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 確定申告書の事業所得(青色申告特別控除後) | 400万円 |
| 青色申告特別控除の足し戻し | +65万円 |
| 事業主控除 | −290万円 |
| 課税の対象になる所得 | 175万円 |
| 税額(5%) | 87,500円 |
事業所得が230万円で青色申告特別控除が65万円の場合は、足し戻して295万円、事業主控除を引くと5万円が残り、税額は2,500円です。青色申告特別控除を引かない白色申告の場合は、足し戻しがありません。
開業・廃業の年は事業主控除が月割りになる
事業を行った期間が1年に満たないときは、事業主控除は「290万円 × 事業を行った月数 ÷ 12」で計算します。月数は暦に従って数え、1か月に満たない端数は1か月とします(同法第72条の49の14第2項・第3項)。
たとえば7月15日に開業し、その年の12月末まで事業を行った場合、7月から12月までの6か月分で、控除は145万円になります。開業の年は控除が小さくなるため、所得が同じでも翌年より税額が出やすくなります。
申告と納期(8月・11月)
申告の期限は3月15日までですが、所得税や住民税の確定申告書を提出した人は、個人事業税の申告書を別に出す必要はありません。年の途中で事業を廃止したときは、廃止の日から1か月以内(死亡による廃止は4か月以内)に申告します(宮城県の案内)。
納めるのは原則として8月と11月の年2回で、都道府県税事務所から送られる納税通知書(納付書)で納付します(東京都主税局の資料、宮城県の案内)。確定申告をしていない場合の申告方法は、事務所のある都道府県税事務所に確認してください。
開業時に合わせて確認する手続きは開業届と電気工事業法の登録・通知の比較、消費税の適格請求書発行事業者の登録は一人親方・個人事業主のインボイス登録のガイドで整理しています。所得税・住民税を減らす所得控除として、小規模企業共済の掛金もあります。工具や車両を買ったときの経費の扱いは工具・車両の減価償却のガイドで整理しています。
この整理で言えないこと
- 個別の事業が請負業に当たるか、自分の所得がいくらになるかは、この記事では判定できません。
- 事業税を必要経費にできる時期、法人化した場合の法人事業税、都道府県ごとの減免や納期の違いは扱いません。
- 事業専従者給与の扱いと、事業所得以外の所得がある場合の計算は扱いません。
- 電気工事と別の事業(不動産貸付など)を併せて行う場合の按分は扱いません。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の税務判断も行いません。税額、控除の適用、申告の要否は、事務所の所在地の都道府県税事務所、所轄税務署または税理士へ確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。