公式資料をもとに整理
電気工事の一人親方が入れる小規模企業共済(加入資格・掛金・受取額・解約の元本割れ)
電気工事を個人で請け負う一人親方は、建設業なら常時使用する従業員が20人以下で、事業所得で確定申告をする個人事業主であれば、小規模企業共済に加入できます。掛金は月1,000円から70,000円まで自分で決められ、全額が所得控除の対象です。ここでは中小機構の公式ページから、加入資格、掛金、受け取れる共済金、解約手当金の元本割れ、税法上の扱いを、電気工事の一人親方が確認する順に整理します。
公開日: 2026-10-12 / 最終更新: 2026-10-12 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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加入できる人(従業員20人以下・役員登記など)
小規模企業共済には、個人事業の事業主とその共同経営者、小規模企業を経営している会社等の役員が加入できます(中小機構「小規模企業共済の加入資格」)。個人で建設業を営む人は個人事業主の例として挙げられており、開業届を出して事業所得で確定申告をしている電気工事の一人親方は、これに当たるのが一般的です。
建設業の場合、常時使用する従業員の数が20人以下であることが加入の条件です。商業(卸売業・小売業)とサービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は5人以下で、業種は「主たる事業の業種」で申し込みます。この人数は加入時点だけの要件で、加入後に従業員が増えても契約は続けられます。
数えるときの「常時使用する従業員」は、個人事業主、共同経営者の要件を満たす人(2人まで)、家族従業員、パート従業員を除いた、正社員として雇用されている人です。アルバイトなど臨時に期間を定めて雇う人も含みません。
加入が認められるかどうかは、開業届を出して事業所得で確定申告をしていること、給与所得がないこと、固定給に近い報酬がなく完全歩合であること、事務所を有しているなど社会通念上事業者と認められることも判断基準です。元請から固定給に近い報酬を受けている場合は当たらない可能性があるため、中小機構に確認してください。
反対に、法人または個人事業主と常時雇用関係にあるサラリーマンが副業で事業をしている場合や、商業登記簿に役員登記されていない人は加入できません。電気工事会社に雇われて働く職人は、雇用契約で働いている間は個人事業主ではないため、一人親方として独立した後に加入を考えることになります。
建設業退職金共済の被共済者は加入できない
中小機構の加入資格のページは、次のような人は加入できないと明記しています。独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する中小企業退職金共済制度、建設業退職金共済制度(建退共)、清酒製造業退職金共済制度、林業退職金共済制度の被共済者です。
建退共の被共済者である間は、小規模企業共済に加入できません。中退共等の契約者である事業主は被共済者ではないため、この除外には当たりません。
建退共は、事業主が労働者のために掛金を納める制度で、仕組みは建設業退職金共済のガイドで整理しています。一人親方が建退共の被共済者になる方法を使う場合は、小規模企業共済に加入できなくなる点にも注意が要ります。 従業員から一人親方として独立する場合は、どちらの制度に当たるかを建退共と中小機構の窓口で確認してください。
掛金(月1,000円から70,000円・全額所得控除)
掛金は月額1,000円から70,000円までの範囲で、500円単位で自由に設定できます(中小機構「小規模企業共済の掛金」)。納付は共済契約者本人の個人名義の預金口座からの口座振替で、毎月払い、年1回に12か月分を払う年払い、年2回に6か月分を払う半年払いから選べます。口座振替日は毎月18日(土・日・祝日の場合は翌営業日)です。
掛金は全額を小規模企業共済等掛金控除として、課税対象になる所得から引けます。1年以内の前納掛金も同じ扱いです。一方で、掛金は契約者自身の収入から納めるため、事業上の損金や必要経費には入れられず、確定申告では所得控除として申告します。
節税額は所得と掛金で変わります。中小機構のページには、課税される所得金額が200万円、400万円、600万円などの場合に、掛金月額1万円、3万円、5万円、7万円で所得税と住民税がいくら減るかの一覧表があります。自分の所得に近い行を、公式の一覧で確認してください。
青色申告の承認申請は青色申告承認申請のガイド、事業にかかる都道府県税は個人事業税のガイドで整理しています。取引先の倒産に備える共済は経営セーフティ共済のガイドです。国民年金に上乗せする国民年金基金とiDeCoは一人親方の国民年金基金とiDeCoのガイドにまとめています。
受け取れる共済金の種類と受取例
受け取れるお金は、共済金A、共済金B、準共済金、解約手当金の4種類で、事業上の立場ごとに請求できる事由が決まっています(中小機構「小規模企業共済の共済金等」)。個人事業主の場合は次のとおりです。
| 種類 | 請求事由 | 受け取れない場合 |
|---|---|---|
| 共済金A | 個人事業を廃業した場合、共済契約者が亡くなった場合 | 掛金納付月数が6か月未満 |
| 共済金B | 老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ人。仕事を続けたまま請求できる) | 掛金納付月数が6か月未満 |
| 準共済金 | 個人事業を法人成りした結果、加入資格がなくなった場合(平成22年12月以前に加入して全額金銭出資で法人成りした人は共済金A) | 掛金納付月数が12か月未満 |
| 解約手当金 | 任意解約、掛金を12か月以上滞納した場合の機構解約、法人成りで加入資格は残ったが解約した場合 | 掛金納付月数が12か月未満 |
複数の事業を営んでいる場合の共済金Aは、すべての事業を廃止したことが条件です。受け取れない場合に当たると、納めた掛金は掛け捨てになります。
共済金A・Bと準共済金の金額は、掛金の納付月数に応じた基本共済金が小規模企業共済法施行令で定められ、運用収入に応じた付加共済金があれば加算されます。中小機構が示す、掛金月額1万円で加入した場合の基本共済金の受取例は次のとおりです。
| 掛金納付年数 | 掛金合計額 | 共済金A | 共済金B | 準共済金 |
|---|---|---|---|---|
| 5年 | 600,000円 | 621,400円 | 614,600円 | 600,000円 |
| 10年 | 1,200,000円 | 1,290,600円 | 1,260,800円 | 1,200,000円 |
| 15年 | 1,800,000円 | 2,011,000円 | 1,940,400円 | 1,800,000円 |
| 20年 | 2,400,000円 | 2,786,400円 | 2,658,800円 | 2,419,500円 |
解約手当金は20年未満だと元本割れ
解約手当金は、納付した掛金の80%から120%に相当する額で、掛金納付月数が12か月以上のときに受け取れます。掛金合計額以上を受け取れるのは、掛金納付月数が240か月(20年)以上からです。20年未満で任意解約すると、掛金合計額を下回ります。
| 掛金納付年数 | 掛金合計額 | 解約手当金 |
|---|---|---|
| 5年 | 600,000円 | 480,000円 |
| 10年 | 1,200,000円 | 1,020,000円 |
| 15年 | 1,800,000円 | 1,665,000円 |
| 20年 | 2,400,000円 | 2,400,000円 |
途中で掛金を増額・減額した場合は、掛金月額500円を1口とした掛金区分ごとに納付月数を数えます。加入期間が240か月以上でも、区分ごとの納付月数が240か月を下回ると、任意解約の解約手当金が掛金合計額を下回ることがあります。解約手当金に付加共済金の加算はありません。
電気工事の仕事量は年ごとに変わるため、掛金を70,000円に近づけすぎると途中で払えなくなり、12か月以上の滞納による機構解約で解約手当金になるおそれがあります。無理のない額から始め、掛金の増減の手続きが公式にあることを確認しておくと安心です。
受け取るときの税法上の扱い
共済金等の税法上の扱いは、受け取り方と年齢で変わります(中小機構「小規模企業共済の共済金等」)。
| 受け取り方 | 税法上の扱い |
|---|---|
| 共済金(死亡を除く)または準共済金を一括で受け取る | 退職所得扱い |
| 共済金を分割で受け取る | 公的年金等の雑所得扱い |
| 共済金を一括と分割の併用で受け取る | 一括分は退職所得扱い、分割分は公的年金等の雑所得扱い |
| 遺族が共済金を受け取る | 相続税法上のみなし相続財産 |
| 法人成りで加入資格は残ったが解約する | 退職所得扱い |
| 65歳以上で任意解約する | 退職所得扱い |
| 65歳未満で任意解約する | 一時所得扱い |
| 12か月以上の滞納による機構解約で解約手当金を受け取る | 一時所得扱い |
分割受取りや併用を選べるのは、共済金AまたはB、死亡以外の請求事由、請求事由が生じた日に60歳以上などの要件をすべて満たす場合です。共済金の額は、分割のみなら300万円以上、併用なら330万円以上(一括分30万円以上・分割分300万円以上)が必要です。受け取る額に対する所得税と住民税の計算は、この記事では行いません。
この整理で言えないこと
- 加入すべきか、掛金をいくらにするかは、この記事では判断できません。
- 自分の所得での節税額、受け取る時の税額は計算していません。公式の一覧表と税務署の案内で確認してください。
- 共同経営者、会社等の役員として加入する場合の条件と、法人化後の取扱いは扱いません。
- 契約者貸付、掛金の減額・免除、付加共済金の率は扱いません。
- 建退共と小規模企業共済を、立場が変わる時期にどう切り替えるかの個別事情は扱いません。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の税務判断や金融商品の勧誘も行いません。加入資格、掛金、受取額と税の扱いは、中小機構または委託機関、所轄税務署または税理士へ確認してください。
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