公式資料をもとに整理
電気工事業の取引先の倒産に備える経営セーフティ共済(加入資格・掛金・借入条件・解約手当金)
経営セーフティ共済は、取引先が倒産して売掛金などが回収できなくなったとき、納めた掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで無担保・無保証人で借りられる制度です(審査があります)。個人事業主の建設業は常時使用する従業員が300人以下、会社は資本金3億円以下または従業員300人以下が目安です。ここでは中小機構の公式ページから、電気工事の事業者が確認する加入資格、掛金と必要経費の扱い、借りられる条件、借りられない場合、解約手当金の支給率を整理します。
公開日: 2026-10-12 / 最終更新: 2026-10-12 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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加入できる人(建設業は従業員300人以下)
加入できるのは、個人事業主または会社で、従業員数や資本金が条件に当てはまる中小企業者です(中小機構「経営セーフティ共済の加入資格」)。個人事業主は、1年以上事業を継続していて、事業所得で確定申告をしていることなどが判断基準です。
個人事業主の建設業は、常時使用する従業員が300人以下であることが条件です。会社の場合は、資本金(出資総額)3億円以下または従業員300人以下のどちらかです。 「常時使用する従業員」は原則として2か月を超えて雇用される人で、事業主、家族従業員、雇用期間が2か月以下の人は数えません。
加入できない人も定められていて、例は、経理内容が不明の人、所得税を滞納している人、掛金を12か月以上滞納して解除されてから12か月を経過していない人、すでに共済契約者である人(重複加入はできません)などです。個人で独立して働く一人親方の電気工事業者は、電気工事業の登録や通知の手続きと別に、この制度の資格を確認します。
掛金(月5,000円から20万円・必要経費にできる)
掛金は月額5,000円から20万円までを5,000円単位で設定し、掛金の残高が800万円に達するまで納められます(中小機構「経営セーフティ共済の掛金」)。納付は毎月27日(土・日・祝日の場合は翌営業日)の口座振替で、契約の途中で増額も減額もできます。ただし減額には一定の理由が必要です。
個人の場合、掛金は事業所得の必要経費に入れられます。1年以内の前納掛金は、支払った年の必要経費です。確定申告書には「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」を添付します。
不動産所得など事業所得以外の収入の必要経費にはできません。令和6年10月1日以降に解約して再加入する場合は、解約の日から2年を経過する日までに支出する掛金を、必要経費にも損金にも入れられません。
一人親方が自分の退職金を準備する小規模企業共済は、掛金が必要経費ではなく所得控除になる点が違います。青色申告での経費処理は青色申告承認申請のガイドで整理しています。
借りられる条件と上限(掛金の10倍・8,000万円)
借りられるのは、直接の取引先が倒産して、売掛金債権や前渡金返還請求権が回収困難になったときです(中小機構「経営セーフティ共済の共済金の借入れ」)。上限は「回収困難になった売掛金債権等の額」と「納付した掛金総額の10倍(最高8,000万円)」の少ないほうで、無担保・無保証人です(中小機構「制度の概要」)。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 加入からの期間 | 取引先の倒産が、加入してから6か月以上たった後に生じたこと |
| 掛金 | 倒産が生じるまでに6か月分以上の掛金を納付していること |
| 手続きの期限 | 倒産が生じてから6か月以内に借入れの手続きをすること |
| 契約者の立場 | 借入れ時に共済契約者が中小企業者であること |
対象になる「倒産」は、破産・再生・更生・特別清算の申立て、手形交換所やでんさいネットの取引停止処分、弁護士等による支払停止の通知、災害による不渡りなどです。夜逃げは対象に含まれません。申立てがされた日、取引停止処分の日などが倒産日で、そこから6か月を過ぎると請求できません。
電気工事で借りられない場合に注意する点
この制度は、取引先事業者への売掛金債権等が生じる事業を前提にしています。中小機構は、一般消費者を取引先とする事業者などは貸付けの対象にならない場合があると注意しています。住宅の電気工事を個人のお客さまから直接請け負う事業者は、対象になるかを事前に確認する必要があります。
反対に、元請の工務店や設備会社から工事を請け負う下請の電気工事業者は、元請の倒産で工事代金が回収できなくなる場面を想定しますが、対象になるかは中小機構の審査で決まります。下請代金の支払期限の決まりは下請代金の支払期限のガイド、代金が支払われないときの時効と回収は工事代金の未払いのガイドで整理しています。
要件を満たしていても、次の場合は借りられません。貸付請求額が少額で、50万円(掛金月額5,000円で加入後6か月以上10か月未満の場合は例外あり)と「月間の総取引額の20%」のどちらにも達しないとき、すでに借りた共済金の返済を怠っているとき、倒産を予知したうえで売掛金を増やすなど契約者に悪意または重大な過失があるとき、取引額や代金の支払方法が確認できないときなどです。審査があり、借りられない場合もあります。
解約手当金の支給率(40か月で全額)
解約手当金は、掛金納付月数に応じた支給率を掛金総額に掛けた額です(中小機構「経営セーフティ共済の解約」)。掛金総額は、納付した掛金から共済金貸付額の10分の1などを引いた額です。
| 掛金を納付した月数 | 任意解約 | みなし解約 | 機構解約 |
|---|---|---|---|
| 1〜11か月 | 0% | 0% | 0% |
| 12〜23か月 | 80% | 85% | 75% |
| 24〜29か月 | 85% | 90% | 80% |
| 30〜35か月 | 90% | 95% | 85% |
| 36〜39か月 | 95% | 100% | 90% |
| 40か月以上 | 100% | 100% | 95% |
自己都合の任意解約でも、12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上、40か月以上なら全額が戻ります。12か月未満で解約すると掛け捨てです。みなし解約は共済契約者の死亡、会社の解散などで、機構解約は12か月分以上の掛金を滞納したときなどに中小機構が行います。
解約月分の掛金の扱いは、掛金振替日(27日)との前後で変わります。未充当の前納金は掛金として扱われず、過払い金として返金されます。
この整理で言えないこと
- 加入すべきか、掛金をいくらにするかは、この記事では判断できません。
- 自分の取引が「売掛金債権等」に当たり借入れの対象になるかは、判定できません。
- 解約手当金を受け取った年の税の扱い、法人の場合の損金処理と適用額明細書は扱いません。
- 一時貸付金、共済金の償還期間と違約金、組合が加入する場合の資格は扱いません。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の税務判断や金融商品の勧誘も行いません。加入資格、借入れの可否、必要経費の扱いは、中小機構または登録取扱機関、所轄税務署や税理士へ確認してください。
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