公式資料をもとに整理
電気工事業者が検討する賠償責任保険の種類と、加入前に確認すること
電気工事業法は、賠償責任保険への加入を登録の要件にも義務にもしていません。工事の事故で第三者に損害を与えた場合の賠償は、民法で事業者が負うため、備える保険の種類と、契約前に確認する点を日本損害保険協会の説明と条文で整理します。特定の保険商品の推奨や勧誘はしません。
公開日: 2026-10-14 / 最終更新: 2026-10-14 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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保険が必要になる法律上の理由
電気工事で感電・火災・物の損壊などを起こすと、民法の規定で賠償責任が生じえます(e-Gov法令検索「民法」、2026年10月14日確認)。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 第709条 | 故意または過失で他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者は、生じた損害を賠償する責任を負う |
| 第715条第1項 | 事業のために他人を使用する者は、被用者が事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う(選任・監督に相当の注意をしたときなどは除く) |
| 第637条第1項 | 仕事の目的物の種類・品質の不適合は、注文者が知った時から1年以内に通知しないと、追完請求・報酬減額・損害賠償請求・解除ができなくなる |
従業員が現場で起こした事故は、第715条により事業者側が責任を負う場面があります。保険は法律の義務ではなく、こうした賠償金を自己負担にしないための任意の備えです。電気工事業法の義務は登録後に守る義務の一覧で確認できます。
検討する保険の種類
日本損害保険協会は、事業者向けの賠償責任保険を次のように説明しています。補償内容・保険料・支払限度額は保険会社ごとに異なります(日本損害保険協会「賠償責任のリスク」)。
| 保険 | 補償の対象(協会の説明) | 電気工事での想定場面 |
|---|---|---|
| 請負業者賠償責任保険 | 請負作業に起因する偶然な事故、または請負作業のために所有・使用・管理する施設の欠陥・管理の不備による事故で、法律上の賠償責任を負った場合 | 施工中の事故で、他人の物を壊した・人にけがをさせた |
| 生産物賠償責任保険(PL保険) | 製造・販売した製品の欠陥、または行った工事・サービスの結果が原因で、法律上の賠償責任を負った場合 | 引渡し後の工事の結果が原因で火災などが起きた |
| 施設賠償責任保険 | 所有・使用・管理する施設の欠陥や、従業員等の仕事の遂行で、法律上の賠償責任を負った場合 | 事務所・資材置場への来訪者のけが |
請負業者賠償責任保険には、工事・作業ごとに契約する方法(スポット契約方式)と、保険期間中のすべての工事を包括して契約する方法(年間包括契約方式)があると協会は説明しています。件数の多い事業者は、後者の方が付け忘れを防げるとされています。どの工事が対象になるかは、保険会社の契約内容で決まります。
自社の工事で壊した材料や工事目的物そのものの損害が、賠償責任保険の対象かどうかは、約款で別に確認する必要があります。協会の説明は、第三者に対する賠償責任を中心にしており、自社の工事物や工具の損害を補償する保険の種類は、今回確認した範囲では項目を特定していません。
従業員・自分のけがへの備えとの違い
賠償責任保険は、第三者への賠償が対象で、従業員自身のけがは別の仕組みです。従業員のけがには政府の労災保険があり、手続きは従業員を雇う電気工事業者の労働保険の手続きで整理しています。日本損害保険協会は、労災保険の上乗せ給付や、労災保険を超える賠償責任を補償する民間保険として、労働災害総合保険を挙げています(日本損害保険協会「従業員のリスク」)。
| 守る対象 | 主な備え |
|---|---|
| 第三者への賠償 | 請負業者賠償責任保険・生産物賠償責任保険・施設賠償責任保険 |
| 従業員の業務上のけが | 政府の労災保険(加入手続きは法令上の義務)、上乗せとして労働災害総合保険 |
| 取引先の倒産・支払遅延 | 別の仕組み(経営セーフティ共済の整理) |
契約前に確認すること
- 元請・取引先が、契約や現場入場の条件として、加入する保険の種類や支払限度額を求めていないか。
- 電気工事(高所作業・停電作業・引渡し後の不具合など)が、補償の対象に含まれるか。対象外の工事の種類がないか。
- 保険金が支払われない場合(免責事由)と、自己負担額(免責金額)。
- スポット契約か年間包括契約か。年間の工事件数・売上高によって保険料が変わる点。協会は、保険料は施設や仕事の種類、売上高、支払限度額などで異なるとしています。
- 従業員、下請の一人親方、アルバイトが被保険者に含まれるか。
- 引渡し後の事故が対象になるか(生産物賠償)。対象となる期間や条件。
補償の範囲は保険会社・プランごとに異なるため、約款と重要事項説明書の確認が必要です。申し込み前に、複数の会社で同じ条件の見積りを取って比べます。
公式窓口・保険会社で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。特定の保険商品の推奨・勧誘や、保険の要否・補償範囲の個別判断もしません。加入する保険は、保険会社・代理店の契約内容と約款で確認してください。
電気工事業法上の登録・届出については、登録または通知をした経済産業大臣・都道府県知事の窓口で最新の案内を確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。