公式資料をもとに整理
住宅瑕疵担保履行法の保険・供託は電気工事業者に必要か
新築住宅を発注者から請け負って引き渡す建設業許可業者は、保険への加入か保証金の供託(資力確保措置)が義務です。下請の事業者は、元請が請負契約全体の責任を負うため、この措置を行う必要はありません。国土交通省のQ&Aと条文をもとに、電気工事業者が義務の対象になる場合とならない場合、義務を怠ったときの扱いを示します。
公開日: 2026-10-27 / 最終更新: 2026-10-27 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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義務があるのは誰か
資力確保措置を行わなければならないのは、新築住宅の請負人または売主のうち、建設業の許可を受けた建設業者と、宅地建物取引業の免許を受けた宅地建物取引業者です。国土交通省の住宅瑕疵担保履行法のQ&Aは、次のように整理しています。
| 立場 | 資力確保措置 | 理由・条件 |
|---|---|---|
| 新築住宅を発注者から直接請け負う建設業許可業者 | 必要 | 請負人としての瑕疵担保責任(住宅品質確保法第94条)を負うため |
| 下請の事業者 | 不要 | 発注者との関係では、元請が請負契約全体に関して責任を負うため |
| 軽微な工事のみで建設業許可が不要な業者 | 不要 | 任意で加入できる保険は用意されている |
| 発注者が宅地建物取引業者の工事 | 対象外 | 保険加入の義務はなく、供託の戸数にも数えない |
対象になるのは「新築住宅」です。法は、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことがないもの(建設工事の完了の日から1年を経過したものを除く)と定めています(住宅品質確保法第2条第2項)。 建設業許可が必要になる金額の線は軽微な建設工事の線(500万円)の考え方で整理しています。
電気工事業の許可業者は対象になるか
国土交通省は、建築工事業・大工工事業以外の許可を受けた建設業者でも、新築住宅の構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分を施工する場合は、資力確保措置が必要としています(Q1-4)。電気工事業の許可を持っていること自体は、義務の有無を決めません。見るのは、新築住宅の請負人として、これらの部分を施工する契約かどうかです。
この2つの部分は、住宅品質確保法施行令第5条が定めています。
| 区分 | 対象となる部分 |
|---|---|
| 構造耐力上主要な部分 | 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい・方づえ・火打材など)、床版、屋根版、横架材(はり・けたなど)で、住宅の自重や積載荷重、積雪、風圧、地震などを支えるもの |
| 雨水の浸入を防止する部分 | 屋根、外壁、これらの開口部に設ける戸・わくなどの建具。雨水を排除するために設ける排水管のうち、屋根・外壁の内部または屋内にある部分 |
条文の列挙に、配線・分電盤・照明器具などの電気設備は含まれていません。電気工事だけを請け負う契約が措置の対象になるかは、契約の範囲を確認したうえで許可行政庁に確認してください。
新築住宅の電気工事を下請として受けるだけなら、自社に措置の義務はありません。ただし、引き渡し後の不具合の責任の考え方は別です。元請との間の責任は電気工事の契約不適合責任(民法の通知期間と標準約款の請求期間)で整理しています。
保険と供託の中身
保険は、保険金額が2,000万円以上で、新築住宅を発注者に引き渡した時から10年以上有効であることなどが要件です(住宅瑕疵担保履行法第2条第6項)。保険料は建設業者が支払い、瑕疵が見つかって建設業者が補修を履行したときや、相当の期間を経ても履行しないときに、損害が塡補されます。
| 確認する点 | 保険に加入する | 保証金を供託する |
|---|---|---|
| 根拠 | 第2条第6項 | 第3条 |
| 対象の期間・戸数 | 引渡しから10年以上有効な契約 | 毎年3月31日(基準日)前10年間に引き渡した新築住宅の戸数が基礎 |
| 時期・場所 | 契約を締結し、発注者に保険証券(または電磁的記録)を交付する | 基準日から3週間を経過する日までに、主たる事務所の最寄りの供託所へ |
| 届出 | 基準日ごとに、供託と保険契約の締結の状況を、許可を受けた国土交通大臣または都道府県知事に届け出る(第4条) | |
供託の額は、戸数に応じて法の別表の範囲内で政令が定める基準額以上です。床面積が政令で定める面積以下の住宅は2戸を1戸と数える扱いがあります(第3条第2項・第3項)。具体的な額は、許可行政庁や保険法人の案内で確認してください。
怠ったときの契約締結の制限と罰則
供託をせず、または届出をしなければ、その基準日の翌日から50日を経過した日以後は、新たに住宅を新築する建設工事の請負契約を締結できません(第5条)。保険に加入している住宅は供託の対象から除かれます(第3条第2項)。基準日後に不足額を供託し、許可行政庁の確認を受けたときは、その確認日以後は制限されません(第5条ただし書き)。
| 違反 | 罰則 | 根拠 |
|---|---|---|
| 制限期間に新築住宅の請負契約を締結した | 1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその併科 | 第40条第1号 |
| 基準日の届出をしない、または虚偽の届出をした | 50万円以下の罰金 | 第42条 |
建設業法の罰則と監督処分は建設業法の罰則と監督処分で整理しています。任意で入る賠償責任保険は電気工事業者が入る保険の種類で確認できます。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。自社の契約が新築住宅の請負にあたるか、措置が必要か、供託の額や届出の方法は、許可を受けた国土交通大臣または都道府県知事(許可行政庁)の窓口と、国土交通省の住宅瑕疵担保履行法のページで確認してください。条文はe-Gov法令検索「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」で読めます。
契約書の記載事項は請負契約書に書く16項目と変更時の書面交付で整理しています。
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