公式資料をもとに整理

元請・発注者による不当な発注慣行の禁止(建設業法第19条の3〜第19条の6)

注文者・元請には、不当に低い請負代金・不当な資材購入強制・著しく短い工期を強いることを禁止する規定があります。建設業法第19条の3〜第19条の6を中心に、違反時の勧告・公表の仕組みと、通報した下請負人を守る規定を整理します。

公開日: 2026-09-24 / 最終更新: 2026-09-24 / 制度確認日: 2026-07-26

3つの禁止規定と保護の全体像

e-Gov法令検索「建設業法」第19条の3から第19条の6は、建設工事を注文する側(注文者)が取引上の優位な立場を利用して不当な条件を押し付けることを防ぐための規定です。「注文者」には施主のような発注者だけでなく、下請に工事を発注する元請の建設業者も含まれ、元請が注文者の立場で行う発注にも同じ禁止規定が及びます(第19条の3第2項・第19条の5第2項)。

禁止される行為は3種類です。不当に低い請負代金の禁止(第19条の3)、不当な使用資材等の購入強制の禁止(第19条の4)、著しく短い工期の禁止(第19条の5)。違反があった場合の対応として、行政庁による勧告・公表(第19条の6)と、通報した下請負人を保護する規定(第24条の5)が置かれています。

3つの禁止規定の対象条文と適用対象
禁止される行為条文適用対象
不当に低い請負代金の禁止第19条の31項:注文者/2項:建設業者(下請への発注時)
不当な使用資材等の購入強制の禁止第19条の4注文者
著しく短い工期の禁止第19条の51項:注文者/2項:建設業者(下請への発注時)

不当に低い請負代金の禁止(第19条の3)

注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金とする請負契約を締結してはなりません(第19条の3第1項)。

元請の建設業者が下請に発注する場合も同様で、建設業者は、自らが保有する低廉な資材を使えることなど国土交通省令で定める正当な理由がある場合を除き、通常必要な原価に満たない金額で請負契約を締結してはなりません(同条第2項)。

不当な使用資材等の購入強制の禁止(第19条の4)

注文者は、請負契約の締結後に、自己の取引上の地位を不当に利用して、使用する資材・機械器具やその購入先を指定し、請負人に購入させて請負人の利益を害してはなりません(第19条の4)。契約締結後に追加で資材・機械器具の購入先を一方的に指定される場合が対象です。

著しく短い工期の禁止(第19条の5)

注文者は、注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはなりません(第19条の5第1項)。元請の建設業者が下請に発注する場合も、請け負う建設工事を施工するために通常必要な期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはなりません(同条第2項)。

発注者への勧告・公表(第19条の6)

建設業者と請負契約を締結した発注者(独占禁止法上の「事業者」に該当する者を除く)が第19条の3第1項または第19条の4の規定に違反した場合、特に必要があると認めるときは、当該建設業者の許可をした国土交通大臣または都道府県知事が、その発注者に対して必要な勧告をすることができます(第19条の6第1項)。

請負代金の額が政令で定める金額以上の請負契約を締結した発注者が第19条の5第1項に違反した場合も、同様に勧告の対象になります(同条第2項)。勧告を受けた発注者が従わないときは、国土交通大臣または都道府県知事はその旨を公表することができます(同条第3項)。勧告のために必要な範囲で、発注者に報告・資料の提出を求めることもできます(同条第4項)。

通報した下請負人を守る仕組み(第24条の5・第42条・第42条の2)

元請負人は、自らに第19条の3第1項・第19条の4の規定に違反する行為があるとして下請負人が国土交通大臣等・公正取引委員会・中小企業庁長官へ通報したことを理由に、取引の停止その他の不利益な取扱いをしてはなりません(第24条の5)。対象条文は第19条の3第1項・第19条の4(および第24条の3第1項・第24条の4・第24条の6第3項・第4項)で、著しく短い工期の禁止(第19条の5)はこの対象条文に含まれていません。

国土交通大臣または都道府県知事は、許可を受けた建設業者に第19条の3第1項・第19条の4の違反事実があり、それが独占禁止法第19条の規定にも違反すると認めるときは、公正取引委員会に対して適当な措置をとるべきことを求めることができます(第42条第1項)。対象が中小企業者である下請負人との下請契約であるときは、遅滞なく中小企業庁長官にも通知します(同条第2項)。

中小企業庁長官も、中小企業者である下請負人の利益を保護するため特に必要があると認めるときは、元請負人・下請負人への報告徴収や立入検査を行うことができ(第42条の2第1項)、違反事実が独占禁止法に抵触すると認めるときは公正取引委員会に措置を求めることができます(同条第3項)。

建設業者自身が違反した場合の扱い(第28条との関係)

建設業者が注文者の立場で第19条の3第1項・第19条の4に違反した場合、これらの条文は建設業法第28条第1項が定める指示(通常の9号列挙の事由とは別ルート)の対象からは除外されています。この2条文は指示の対象からは除外される一方、前記の勧告・公表(第19条の6)や公正取引委員会への措置請求(第42条・第42条の2)の対象には明記されています。一方、著しく短い工期の禁止(第19条の5)はこの除外リストに含まれておらず、建設業者が違反した場合は第28条第1項による指示の対象になり得ます。

監督処分の全体像は建設業許可(電気工事業)の監督処分で整理しています。 なお、一括下請負の禁止など元請・下請間の他の取引規制は一括下請負の禁止と例外で確認できます。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。 不当な取引を受けている可能性がある場合は、契約書面と事実関係をもとに、許可を受けた国土交通大臣または都道府県知事の窓口、あるいは公正取引委員会・中小企業庁の窓口へ確認してください。

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