請負契約の工期を決めるとき
電気工事の工期が短すぎるときの法律と工期の基準
建設業法第19条の5は、注文者にも建設業者にも、通常必要と認められる期間に比べて著しく短い工期での請負契約を禁止しています。何日なら短すぎるかを決める日数の表はありません。中央建設業審議会の「工期に関する基準」が、工期を決めるときに考える事項を並べています。
公開日: 2026-10-19 / 最終更新: 2026-10-19 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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先に結論:禁止の対象と基準の位置づけ
建設業法第19条の5は、第1項で注文者に、第2項で建設業者に、その建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比べて著しく短い期間を工期とする請負契約の締結を禁じています。発注する側だけでなく、受ける側の建設業者も対象です。
「工期に関する基準」は、工期の設定や見積りで受発注者が考えるべき事項の集まりです。日数の計算式ではありません。
令和2年7月20日に中央建設業審議会が決定し、令和6年3月27日に最終改定されました(建設業法第34条)。公共工事・民間工事を問わず、あらゆる建設工事と、下請を含む発注者・受注者が対象です。
著しく短いかどうかは、基準に加え、過去の同種類似工事の実績との比較や建設業者の工期の見積りの内容を調べて、許可行政庁が工事ごとに個別に判断します。工期を契約書に書く項目の一つとして押さえる場合は、請負契約書に書く16項目と変更時の書面交付をあわせて確認してください。
発注者への勧告と公表、対象になる金額
建設業者と請負契約を結んだ発注者が第19条の5第1項に違反し、特に必要があると認められるときは、その建設業者の許可をした国土交通大臣または都道府県知事が、発注者に必要な勧告をできます(第19条の6第2項)。発注者が従わなければ、その旨を公表できます(同条第3項)。行政庁は、勧告のために必要があれば発注者に報告や資料の提出を求められます(同条第4項)。
| 工事の種類 | 請負代金の下限 |
|---|---|
| 建築一式工事以外(電気工事を含む) | 500万円 |
| 建築一式工事 | 1,500万円 |
注文者が建設業者の場合、基準は、国土交通大臣等が建設業法第41条に基づく勧告や第28条に基づく指示を行える場合があるとしています。この2つの条文の中身までは本記事で扱っていません。
基準が挙げる工期に入れる事項
基準は、公共工事の発注者が工期を設定するときに考慮する事項として、次を挙げています。基準は民間工事も対象にしているため、民間工事の見積りの確認にも使えます。
- 工事に従事する者の休日(週休2日に加え、祝日、年末年始、夏季休暇)
- 労務・資機材の調達、現地調査、現場事務所の設置などの準備期間
- 工事完成後の自主検査、清掃などの後片付け期間
- 降雨日、降雪・出水期などの作業不能日数
- 用地取得や建築確認、道路管理者との調整など、着手前に発注者が対応する手続の期間
- 過去の同種類似工事で当初の見込みより長い工期を要した実績
自然要因として、夏期の暑さ指数(WBGT)が31以上の猛暑日の不稼働も、工期の設定や見積りで考慮する事項に入っています。令和6年3月の最終改定を経た版です。
時間外労働については、労働基準法の上限(原則として月45時間・年360時間、臨時的な特別の事情があっても年720時間・単月100時間未満・複数月平均80時間以内(この2つは休日労働を含む)、限度時間を超えられるのは年6回まで)を守ることを前提に工期を決める、と基準は書いています。協定の中身は電気工事業者の残業の上限規制と36協定で整理しています。
元請・下請それぞれの責務と設備工事の扱い
基準は、受注者(元請負人)に、時間外労働規制を守れる工期での見積りを発注者へ出すよう努めることを求めています。下請に出すときは、下請が規制を守って工期を決められるよう協力することも求めています。
基準は、内装などの仕上工事や設備工事の下請契約は前工程のしわ寄せを受けやすく、竣工日優先で発注され、納期が延びないまま短縮工期になっても費用増が認められない場合がある、と指摘しています。電気設備工事でも、この指摘が当てはまる場面があります。
| 場面 | 基準が求めること |
|---|---|
| 元請が下請の見積りを受けるとき | 時間外労働規制を守る前提で、下請が出した人員・工程ごとの工期の見積りを尊重して工期を決める |
| 前工程が遅れたとき | 後工程がしわ寄せを受けないよう、工期を適切に延ばす |
| 竣工日を動かせないとき | 元請と下請が協議して合意し、突貫工事などに必要な掛かり増し費用を含めて変更契約を結ぶ |
設備工事を別に分けて発注・契約する場合も、基準を使って適正な工期を決める必要がある、と適用範囲に書かれています。契約前に与えられる見積りの期間は建設工事の見積期間で確認できます。
短すぎると感じたときの相談先
基準は、建設業に係る法令違反の疑義情報を受け付ける「駆け込みホットライン」が各地方整備局等に置かれていると書いています。締結済みの請負契約が著しく短い工期に当たると考えられる場合は、発注者・受注者・元請・下請を問わず相談できます。
工期の押しつけが代金や取引全体に及ぶ場合は、元請・発注者による不当な発注慣行の禁止も確認してください。具体的な契約が違反に当たるかは、許可行政庁などの窓口に確認します。
工期を決める前のチェックリスト
- 工程ごとの作業日数と準備に要する日数を、見積りに書いたか
- 休日、天候による作業不能日、猛暑日の不稼働を日数に入れたか
- 後片付けと自主検査の期間を、完成日までに確保したか
- 時間外労働の上限を守れる人員で組んだ工期になっているか
- 前工程が遅れたときに工期を延ばす、または掛かり増し費用を払う取り決めを、契約書に書いたか
- 元請の場合、下請の見積りの工期を尊重して下請契約の工期を決めたか
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。契約書の作成や工期の算定も行いません。
2026年10月19日に確認した以下の資料に基づきます。具体的な契約への当てはめは、許可行政庁や各地方整備局等の窓口に確認してください。
次に知りたいこと:下請代金の支払期限、建設業法の改正と施行日の一覧
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