公式資料をもとに整理
停電作業・活線作業・活線近接作業の安全措置と作業指揮
電気工事の感電防止の措置は、「電路を開路して行う作業(停電作業)」「充電電路を扱う作業(活線作業)」「充電電路に近づく作業(活線近接作業)」のどれに当たるかで条文が分かれ、さらに低圧・高圧・特別高圧で内容が変わります。労働安全衛生規則第339条から第351条の措置を、事業者の義務として整理します。
公開日: 2026-10-06 / 最終更新: 2026-10-06 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
作業の種類と電圧別の条文の早見表
e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」の第339条から第351条は、電気工事の感電防止の措置を事業者に義務づける規定です。作業の種類と電圧の組み合わせで、該当する条文が決まります。
| 作業の種類 | 低圧 | 高圧 | 特別高圧 |
|---|---|---|---|
| 電路を開路して行う作業(停電作業) | 第339条(電圧を問わず。高圧・特別高圧は短絡接地まで必要) | ||
| 充電電路を取り扱う作業(活線作業) | 第346条 | 第341条 | 第344条 |
| 充電電路に近接して行う作業(活線近接作業) | 第347条 | 第342条 | 第345条 |
このほか、架空電線や電気機械器具の充電電路に近接する場所での工作物の建設・解体・修理などの作業は、第349条が定めています。作業の主体を問わず、近接する場所での建設・解体・修理などの作業やクレーン等を使う作業が対象で、措置の選択肢は充電電路の移設・囲い・絶縁用防護具の装着、これらが著しく困難なときの監視人です。
停電作業の措置(第339条・第340条)
第339条第1項は、電路を開路して電気工事の作業を行うときは、開路した後に次の措置を講じなければならないと定めています。近接する電路の作業や、近接する工作物の建設・解体・修理なども同じ扱いです。
- 開路に用いた開閉器に、作業中は施錠するか、通電禁止の表示をするか、監視人を置く
- 電力ケーブルや電力コンデンサーなど残留電荷の危険がある電路は、安全な方法で確実に放電させる
- 高圧または特別高圧の電路は、検電器具で停電を確認し、短絡接地器具で確実に短絡接地する
同条第2項は、作業中または作業終了後に開路した電路へ通電しようとするとき、感電のおそれがないことと短絡接地器具を取りはずしたことを確認した後でなければ通電してはならないと定めています。第340条は、高圧または特別高圧の断路器など負荷電流を遮断できない開閉器を開くときの誤操作防止(無負荷であることの確認)を定めています。
高圧の活線作業・活線近接作業(第341条・第342条)
第341条第1項は、高圧の充電電路を取り扱う作業で感電のおそれがあるときは、次のいずれかの措置を講じなければならないと定めています。
- 絶縁用保護具を着用させ、取り扱っている部分以外で接触・接近のおそれがある充電電路に絶縁用防具を装着する
- 活線作業用器具を使用させる
- 活線作業用装置を使用させる(身体や工具が電位の異なる物に接触・接近しないようにする)
第342条第1項は近接作業の規定です。充電電路に接触するか、頭上は30センチメートル以内、側方または足下は60センチメートル以内に接近して感電のおそれがあるときは、充電電路に絶縁用防具を装着しなければなりません。絶縁用保護具を着用させ、着用部分以外が接触・接近するおそれがない場合は、この限りではありません。
絶縁用防具を装着したり取りはずしたりする作業を労働者に行わせるときは、第343条により、絶縁用保護具の着用か、活線作業用器具・活線作業用装置の使用が必要です。労働者は、事業者から命じられたときは、着用・装着・使用しなければなりません(第341条第2項、第342条第2項、第343条第2項)。
低圧と特別高圧の場合(第344条〜第347条)
低圧の活線作業(第346条)では、感電のおそれがあるときに絶縁用保護具を着用させるか活線作業用器具を使用させることが必要です。低圧の活線近接作業(第347条)では、充電電路に接触するおそれがあるとき絶縁用防具を装着します。高圧のような頭上30センチメートル・側方60センチメートルという距離の定めはなく、「接触することにより」と書かれています。
特別高圧の活線作業(第344条)は、活線作業用器具または活線作業用装置の使用が必要で、器具の場合は電圧に応じた接近限界距離を保つ必要があります(距離は同条の表で定められています)。特別高圧の活線近接作業(第345条)は、活線作業用装置を使うか、接近限界距離を保ち、標識の設置か監視人の配置を行います。
作業指揮者と周知(第350条)
第350条は、第339条、第341条第1項、第342条第1項、第344条第1項、第345条第1項の作業を行うとき、労働者に作業の期間・内容と、取り扱う電路および近接する電路の系統を周知させ、作業の指揮者を定めて次のことを行わせなければならないと定めています。
- 作業の方法と順序をあらかじめ周知させ、作業を直接指揮する
- 特別高圧の近接作業で標識・監視人の措置を取るときは、その状態を確認してから着手を指示する
- 電路を開路して行う作業では、停電の状態、開閉器の施錠・表示・監視人の状態、短絡接地器具の取付け状態を確認してから着手を指示する
第350条が列挙する条文に、低圧の活線作業(第346条)と低圧の活線近接作業(第347条)は含まれていません。ただし、これは第350条の作業指揮者の規定が条文上かからないという意味にとどまり、低圧で措置が不要という意味ではありません。
保護具の適合と定期自主検査(第348条・第351条)
第348条第1項は、絶縁用保護具・絶縁用防具・活線作業用装置・活線作業用器具について、使用の目的に適応する種別・材質・寸法のものを使用しなければならないと定めています。低圧の作業用(第346条・第347条)のもののうち、直流750ボルト以下または交流300ボルト以下の充電電路に使うものは、電圧に応じた絶縁効力が必要です(同条第2項)。
第351条は、これらの絶縁用保護具等について、6月以内ごとに1回、絶縁性能の自主検査を行うことを義務づけています。結果と、検査年月日・方法・箇所・実施者・補修内容などを記録し、3年間保存しなければなりません。
低圧の作業用(第346条・第347条)のものは、交流300ボルトを超える低圧の充電電路に使うものだけが対象です。6月を超えて使わない期間は検査の対象外で、使用を再開する際に検査します。
これらの作業に労働者を就かせる前に必要な特別教育は、低圧・高圧の電気取扱業務の特別教育のガイドで整理しています。高所での作業が伴う場合は高所作業の特別教育・技能講習のガイドも確認してください。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。安全管理の個別の助言もしていません。現場ごとの措置が条文に適合するかは、所轄の労働基準監督署や、事業場の安全衛生担当者・専門家に確認してください。
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