石綿障害予防規則第3条・第4条の2・第5条・第8条
石綿の事前調査(改修・配線工事の前の義務・3年間の記録保存・報告の対象)
建築物などの解体または改修の作業を行う事業者は、作業の前に石綿(アスベスト)の使用の有無を調べる事前調査を行い、結果の記録を3年間保存します。一定規模以上の工事では、結果を労働基準監督署へ電子で報告する義務もあります。
公開日: 2026-10-07 / 最終更新: 2026-10-07 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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解体または改修の作業の前に、全ての材料を調べる
e-Gov法令検索「石綿障害予防規則」第3条第1項は、事業者が建築物・工作物・船舶(鋼製に限る)の解体または改修(封じ込めまたは囲い込みを含む)の作業を行うときは、あらかじめ石綿等の使用の有無を調査しなければならないと定めています。
同条第2項により、調査は解体等の対象となる部分の全ての材料について、次の2つの方法で行います。
- 設計図書などの文書(電磁的記録を含む)を確認する(文書が存在しないときを除く)
- 目視で確認する(構造上、目視で確認することが困難な材料を除く)
目視が困難な材料は、目視で確認できるようになったときに事前調査を行います(第9項)。調べても石綿の使用の有無が分からないときは、分析による調査を行います。ただし、石綿が使用されているものとみなして必要な措置をとる場合は分析調査を省けます(第5項)。
第3項は、すでに同等の調査が行われている場合や、新築工事の着工日が平成18年9月1日以降であることを設計図書などで確認できる建築物・工作物の場合に、調査の方法を簡略にできると定めています。
事前調査は厚生労働大臣が定める者に行わせる
第3条第4項は、前項各号(調査の方法を簡略にできる場合)に当たるときを除き、事前調査を、適切に調査するために必要な知識を持つ者として厚生労働大臣が定めるものに行わせなければならないとしています。分析調査も、必要な知識と技能を持つ者として厚生労働大臣が定めるものに行わせます(第6項)。どの講習の修了者が当たるかは、条文ではなく告示で定められています。
厚生労働省が令和2年6月10日に示した資料「石綿障害予防規則の一部を改正する省令案に係る告示について」は、告示の案として、建築物(一戸建ての住宅と共同住宅の住戸の内部を除く)は一般建築物石綿含有建材調査者・特定建築物石綿含有建材調査者またはこれらと同等以上の能力があると認められる者、一戸建ての住宅と共同住宅の住戸の内部はこれらの者または一戸建て等石綿含有建材調査者と記しています。厚生労働省の当該資料(PDF)は告示の公布前の案を示したものなので、実際に必要な資格は、現行の告示を厚生労働省の石綿の案内で確認してください。
結果は記録に残し、調査終了日から3年間保存する
第3条第7項は、事前調査または分析調査を行ったときに、次の事項の記録を作成し、事前調査を終了した日(分析調査を行った場合は、全ての事前調査を終了した日または分析調査を終了した日のうち遅い日)から3年間保存すると定めています。
| 区分 | 項目 |
|---|---|
| 事業者・工事 | 事業者の名称・住所・電話番号、作業場所の住所、工事の名称と概要、調査終了日、着工日等 |
| 調査の内容 | 調査した建築物などの構造、調査した部分、調査の方法、材料ごとの石綿使用の有無(使用なしと判断した材料はその根拠)、目視が困難な材料の有無と場所 |
| 調査した人 | 調査を行った者の氏名と、必要な知識を持つ者であることを証明する書類の写し(分析調査を行った場合は分析者についても同様) |
第8項は、解体等の作業場の見やすい箇所に、調査終了日と、調査した部分・材料ごとの使用の有無の概要を掲示するよう定めています。第4条第1項の作業を行う作業場には、記録の写しも備え付けます。
一定規模以上の工事は、あらかじめ労働基準監督署へ電子で報告する
第4条の2第1項は、次のいずれかの工事を行おうとするときに、事前調査の結果などを電子情報処理組織で所轄労働基準監督署長へあらかじめ報告するよう定めています。
| 号 | 工事 |
|---|---|
| 第一号 | 建築物の解体工事(工事に係る部分の床面積の合計が80平方メートル以上) |
| 第二号 | 建築物の改修工事(請負代金の額が100万円以上) |
| 第三号 | 厚生労働大臣が定める工作物の解体工事または改修工事(請負代金の額が100万円以上) |
| 第四号 | 総トン数20トン以上の船舶の解体工事または改修工事 |
同じ事業者が工事を2以上の契約に分割して請け負う場合は、1つの契約で請け負ったものとみなして判断します(第4項)。工事の一部を下請に出している場合は、最も先次の請負契約の注文者である事業者が、作業の全部について報告します(第5項)。報告書の提出でも代えられます(第3項)。
解体等の作業を行う仕事の発注者は、請負人に石綿等の使用状況などを通知するよう努め、請負人の事前調査や記録が適切に行われるよう配慮しなければなりません(第8条)。
電気設備の工事で穴をあける前に確認すること
配線や機器の取付けのために壁・天井・床へ穴をあける工事が、条文の「解体又は改修」に当たるかは、作業の内容や範囲で変わります。条文だけで一律に判断できないため、次の順で確認します。
- 工事の対象部分の設計図書で、建築の着工日と使われている材料を確認する
- 着工日を確認できない場合や、材料が不明な場合は、目視と分析調査の要否を、調査資格を持つ者に確認する
- 請負代金の額と対象の種類から、労働基準監督署への報告の対象かを確認する
- 調査の記録を調査終了日から3年間保存し、作業場に調査終了日と結果の概要を掲示する
建設業の許可や電気工事業の登録・通知の手続は別の制度です。区分の違いは登録が必要かどうかのガイド、事業者が工事の現場で守る安全面の制度は高所作業の特別教育のガイドで確認できます。
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の工事が事前調査や報告の対象に当たるかは、所轄の労働基準監督署に確認してください。
一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。