廃棄物処理法第12条の3・第21条の3・第27条の2
建設工事で出る廃棄物の処理責任(元請が排出事業者・下請が運搬できる条件・産業廃棄物管理票の5年保存)
建設工事が数次の請負で行われるとき、その工事で出る廃棄物の処理では、注文者から直接工事を請け負った元請業者が事業者(排出事業者)になります。電気工事の下請は、原則として排出事業者ではありませんが、保管・運搬を行う場合や、運搬・処分を他人に委託する場合には例外があります。
公開日: 2026-10-08 / 最終更新: 2026-10-08 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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注文者から直接請け負った元請業者が、廃棄物の事業者になる
e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第21条の3第1項は、建設工事が数次の請負によって行われる場合、その工事に伴い生ずる廃棄物の処理について、注文者から直接建設工事を請け負った建設業を営む者(元請業者)を事業者とすると定めています。
電気工事業者は、自社が元請になる工事と、設備工事の下請として入る工事のどちらもあります。工事で出る配線の切れ端や撤去した機器などの廃棄物は、元請の立場なら自社の責任、下請の立場なら元請の責任が原則です。
廃棄物が産業廃棄物か一般廃棄物か、品目が何に当たるかは、本記事では扱いません。区分は廃棄物の種類や排出の状況で変わるため、自治体の廃棄物の担当窓口に確認してください。
下請が産業廃棄物を保管するときは、下請も事業者とみなされる
第21条の3第2項は、建設工事に伴い生ずる産業廃棄物について、下請負人が行う保管に関しては、その下請負人もまた事業者とみなして、第12条第2項、第12条の2第2項、第19条の3の規定を適用すると定めています。現場の一角に廃材を置いておく場合など、保管している下請にも、保管の基準(第12条第2項)や措置命令(第19条の3)が直接かかります。
下請が自分で運ぶのは、条件を満たす少量の廃棄物に限られる
第21条の3第3項は、書面による請負契約で定めるところにより下請負人が自ら運搬を行う場合は、その下請負人を事業者とみなし、その廃棄物を下請負人の廃棄物とみなすと定めています。この例外の対象は、環境省令で定める廃棄物に限られます。
e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」第18条の2は、次の第1号と第2号の全てに当たる廃棄物を挙げています。
| 区分 | 条件 |
|---|---|
| 工事の種類(第1号) | 解体工事と新築・増築を除く建設工事で請負代金500万円以下、または引渡し後の瑕疵の修補工事で適正な請負代金相当額が500万円以下(特別管理廃棄物は除く) |
| 運搬の量(第2号イ) | 1回に運ぶ量が1立方メートル以下と明らかに区分して運搬する |
| 運搬先(第2号ロ) | 排出する事業場のある都道府県か隣接する都道府県にある、元請業者が所有権または使用する権原を持つ施設(積替え・保管の場所を含む) |
| 運搬途中(第2号ハ) | 運搬の途中で保管をしない |
建設工事を同一の者が2以上の契約に分割して請け負う場合は、1つの契約で請け負ったものとみなして500万円以下かを判断します。正当な理由に基づいて分割したときは、この限りではありません(同条第2項)。
つまり、書面の請負契約に定めたうえで、小規模な修繕工事で出た少量の廃材を、元請が使う施設へ運ぶ場合などに限り、下請が自ら運べます。条件の一つでも欠けるときは、許可を受けた運搬業者への委託などを検討します。
下請が運搬・処分を他人に委託するときは、下請が事業者になる
第21条の3第4項は、下請負人が廃棄物の運搬または処分を他人に委託する場合を定めています。この場合は、第12条の3(産業廃棄物管理票)などの規定について、その下請負人を事業者とみなし、その廃棄物を下請負人の廃棄物とみなします。
ただし、廃棄物が産業廃棄物で、下請負人自身が産業廃棄物収集運搬業者や処分業者であり、元請から委託を受けた運搬や処分を他人に委託するときは、この扱いから除かれています。電気工事の下請が自ら委託先を探して処理を頼む形になるときは、元請との契約で役割がどう決まっているかを先に確認します。
産業廃棄物の運搬・処分を委託するときは管理票を交付し、写しを5年間保存する
第12条の3第1項は、事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者が、その運搬または処分を他人に委託する場合には、産業廃棄物の引渡しと同時に、運搬を受託した者へ産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付しなければならないと定めています。管理票には、産業廃棄物の種類と数量、受託した者の氏名または名称などを記載します。
- 交付した管理票の写しは、交付日から5年間保存する(第12条の3第2項、施行規則第8条の21の2)
- 運搬や処分が終わったことを管理票の写しで確認し、送付を受けた日から5年間保存する(同条第6項、施行規則第8条の26)
- 管理票に関する報告書を作成して都道府県知事に提出する(同条第7項)
- 期限内に写しが届かないときなどは、速やかに運搬や処分の状況を把握し、適切な措置を講ずる(同条第8項)
管理票を交付しない、写しを保存しないなどは1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
第27条の2は、管理票を交付しなかった者、管理票の写しの送付を受けて保存しなかった者などを、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処すると定めています。実際に処罰されるかは個別の事案によるため、一般論として義務の重さを示すものです。
現場の安全衛生の体制は統括安全衛生責任者と安全衛生責任者のガイド、改修工事の前に確認する石綿は石綿の事前調査のガイド、下請として入るときの書類は施工体制台帳のガイドで確認できます。
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の工事で誰が排出事業者に当たるか、廃棄物の区分や委託先の選び方は、都道府県または政令市の廃棄物担当窓口に確認してください。
一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。