労働安全衛生法・労働安全衛生規則

電気工事の高所作業で必要な特別教育と技能講習(高所作業車・フルハーネス)

電気工事の現場で高所作業車を運転するときは、作業床の高さが10m未満なら特別教育、10m以上なら技能講習などの資格が必要です。フルハーネス型の墜落制止用器具を使う作業にも特別教育があります。電気工事士の免状とは別の労働安全衛生法令の決まりで、条文の区分と事業者が確認する点を整理します。

公開日: 2026-10-06 / 最終更新: 2026-10-06 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

高所作業で確認する3つの決まり

高さ2m以上の作業では、まず作業床を設ける決まりがあり、設けられないときに墜落制止用器具などの措置を取ります。労働安全衛生規則第518条は、高さ2m以上の箇所で墜落の危険があるときは足場を組み立てるなどして作業床を設けるよう定め、設けることが困難なときは防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使わせるなどの措置を求めています (e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」)。

高所作業に関わる教育・資格の区分(条文の要約)
作業・業務必要なもの根拠
作業床の高さが10m未満の高所作業車の運転(道路上を走行させる運転を除く)特別教育安衛則第36条第10号の5
作業床の高さが10m以上の高所作業車の運転(道路上を走行させる運転を除く)技能講習の修了などの就業制限の資格安衛法第61条、安衛法施行令第20条第15号
高さ2m以上で作業床を設けることが困難な箇所での、フルハーネス型の墜落制止用器具を用いる作業特別教育安衛則第36条第41号

電気の取扱い自体の特別教育は電気工事の特別教育(低圧・高圧の科目と時間)で整理しています。この記事は、その記事が対象外とする高所作業の部分です。充電電路や停電作業での感電防止の措置は停電作業・活線作業・活線近接作業の安全措置のガイドで整理しています。

高所作業車の運転(10m未満と10m以上)

高所作業車の運転は、作業床の高さが10mを境に、特別教育と技能講習などに分かれます。安衛則第36条第10号の5は、作業床の高さが10m未満の高所作業車の運転の業務を特別教育の対象にしています。道路上を走行させる運転は含まれません。

10m以上の高所作業車の運転(道路上を走行させる運転を除く)は、安衛法施行令第20条第15号が就業制限の業務に挙げています。安衛法第61条第1項は、この業務を、免許を受けた者、登録を受けた者が行う技能講習を修了した者などでなければ行ってはならないと定めています (e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」)。

高所作業車を用いて作業するときは、作業床が垂直にのみ上昇下降する構造のものを除き、作業床上の労働者に要求性能墜落制止用器具等を使用させる決まりもあります(安衛則第194条の22)。運転する資格とは別に、作業床上で作業する人への決まりです。

フルハーネス型を使う作業の特別教育

安衛則第36条第41号は、高さ2m以上で作業床を設けることが困難な箇所で、フルハーネス型の墜落制止用器具を用いて行う作業を、特別教育の対象にしています。条文は「フルハーネス型のもの」と書いており、作業床を設けて行う作業は、この号の対象として書かれていません。ロープ高所作業は別の号にあたり、この号からは除かれています。

作業ごとにこの号に当たるかは、作業の高さ、作業床を設けることが困難かどうか、使う器具の種類を確認したうえで、労働基準監督署で確認してください。

特別教育の記録と資格の携帯

特別教育を行った事業者は、受講者と科目などの記録を作成して、3年間保存します(安衛則第38条)。特別教育は、危険または有害な業務に労働者をつかせるときに事業者が行う義務で、安衛法第59条第3項に定められています(e-Gov法令検索「労働安全衛生法」)。

技能講習などの資格が必要な業務につく人は、業務に従事するときに、免許証その他その資格を証する書面を携帯します(安衛法第61条第3項)。

この整理で言えないこと

この記事は条文の区分の整理にとどまり、特別教育の科目や時間数、技能講習の実施機関、墜落制止用器具の規格や選び方は扱っていません。足場の組立てや玉掛けなど、ほかの業務の資格も扱っていません。

従業員を雇ったときの労災保険・雇用保険の手続きは従業員を雇った電気工事業者の労災保険・雇用保険の加入手続きで整理しています。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。作業が特別教育や技能講習の対象に当たるかは、労働基準監督署または都道府県労働局で確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。