労働安全衛生規則第194条の9〜第194条の27

高所作業車の事業者の義務(作業計画・指揮者・自主検査)

高所作業車を使う電気工事では、運転資格とは別に、事業者が作業計画を定めて周知し、作業の指揮者を定める必要があります(労働安全衛生規則第194条の9・第194条の10)。機械そのものについては、1年以内ごとの定期自主検査、1月以内ごとの定期自主検査、その日の作業を始める前の点検の3つが決められています。 街路灯の交換や外壁側の配線で高所作業車を借りる、買う、使うときに、事業者が決めておく事項を条文順に整理します。

公開日: 2026-10-23 / 最終更新: 2026-10-23 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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運転資格と事業者の義務は別の条文

高所作業車を使う事業者には、運転する人の資格とは別に、第194条の9から第194条の27までの義務があります。作業床の高さが10m未満の高所作業車の運転(道路上を走行させる運転を除く)は、特別教育の対象です(労働安全衛生規則第36条第10号の5)。

運転資格の区分は電気工事の高所作業で必要な特別教育と技能講習で整理しているため、この記事では事業者の義務の側を扱います。条文はe-Gov法令検索「労働安全衛生規則」で確認できます。

高所作業車を使う事業者の義務(労働安全衛生規則、要約)
場面内容条
作業の前作業計画を定め、作業の方法を関係労働者に周知する第194条の9
作業の前作業の指揮者を定め、作業計画に基づき指揮させる第194条の10
毎日の作業開始前制動装置・操作装置・作業装置の機能を点検する第194条の27
作業中アウトリガーの張出し、地盤・路肩の崩壊防止など転倒・転落の防止措置第194条の11
作業中作業床上の人と操作する人の間で、一定の合図を定め、行う人を指名する第194条の12
作業中作業床上の労働者に要求性能墜落制止用器具等を使用させる(垂直にのみ昇降する構造のものを除く)第194条の22
1月以内ごと制動装置・クラッチ・操作装置、作業装置・油圧装置、安全装置の自主検査第194条の24
1年以内ごと原動機から安全装置まで9項目の自主検査第194条の23
検査の後記録を3年間保存し、検査標章を機械の見やすい箇所に貼る第194条の25・第194条の26

作業計画と作業指揮者(第194条の9・第194条の10)

事業者は、高所作業車を用いて作業を行うときは、あらかじめ、作業場所の状況、高所作業車の種類と能力などに合った作業計画を定め、その計画どおりに作業しなければなりません(第194条の9第1項)。計画には作業の方法が示されている必要があり(第2項)、示した事項は関係労働者に周知させます(第3項)。道路上を走行する作業は、この条文の「作業」から除かれています。

作業の指揮者は、作業計画(第194条の9第1項)に基づいて作業を指揮する役です(第194条の10)。条文は計画の書式や記載項目を決めておらず、作業の場所、機械の種類と能力、作業の方法を示せる内容であることが求められています。

作業中に守る措置(転倒防止・合図・搭乗・墜落制止用器具)

作業中の措置として、条文は転倒・転落の防止、合図、搭乗の制限、墜落制止用器具の使用、ブームの下での作業の安全支柱の使用などを決めています。電気工事で関わりやすい順に、条文に書かれている内容を挙げます。

フルハーネス型と胴ベルト型の選び方は使い分けのガイド、フルハーネス型を使う作業の特別教育は高所作業の特別教育と技能講習のガイドで扱っています。

点検と自主検査の3段階

高所作業車の点検は、年次・月次の自主検査と、その日の作業開始前の点検の3段階です。自主検査の記録は3年間保存します(第194条の25)。

高所作業車の点検・自主検査の違い
区分頻度見る範囲根拠
作業開始前の点検その日の作業を始める前制動装置、操作装置、作業装置の機能第194条の27
月次の自主検査1月以内ごとに1回制動装置・クラッチ・操作装置、作業装置・油圧装置、安全装置の異常の有無第194条の24
年次の自主検査(特定自主検査)1年以内ごとに1回原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、作業装置、油圧装置、電気系統、車体・安全装置等の9項目第194条の23・第194条の26

記録に残す事項は、検査年月日、検査方法、検査箇所、検査の結果、検査を実施した者の氏名、結果に基づいて補修等をしたときはその内容の6つです(第194条の25)。検査業者に特定自主検査を実施させたときは、「検査を実施した者の氏名」は「検査業者の名称」に読み替えます(第194条の26第4項)。 この3年の保存は労働安全衛生規則の定めで、電気工事業法の帳簿の保存(電気工事業の帳簿のガイド)とは別の義務です。

架空電線の近くで作業するとき(第349条)

架空電線や充電電路に近接する場所での点検・修理等の作業で、感電の危険が生ずるおそれのあるときは、移設、囲い、絶縁用防護具のいずれかの措置が必要です(労働安全衛生規則第349条)。これらが著しく困難なときは監視人を置きます。

この条文は高所作業車に限らず、工作物の建設、解体、点検、修理、塗装等の作業一般が対象です。

ブームや作業床が架空電線に近づくおそれのある現場では、作業計画を定める段階で、この条文の移設・囲い・絶縁用防護具・監視人のどれを取るかを決めておきます。停電作業と活線作業の組み立て方は、活線作業・停電作業の安全のガイドで扱っています。

この整理で言えないこと

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。作業計画に入れる事項、自主検査の実施者や検査標章の扱い、架空電線の近くでの措置は、所轄の労働基準監督署または都道府県労働局で確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。