公式資料をもとに整理
傷病手当金の支給要件・金額・期間
傷病手当金は、健康保険の被保険者が仕事以外の病気やけがの療養のために働けず、休み始めた日から3日を過ぎても休んでいるとき、その休んだ期間について、通算1年6か月まで支給される給付です。従業員が病気で休む電気工事業者と、会社員から独立して国民健康保険に入る人が、どこまで給付があるかを、健康保険法と国民健康保険法で確認します。
公開日: 2026-10-21 / 最終更新: 2026-10-21 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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先に結論:仕事以外の病気やけがで、健康保険の被保険者が対象
健康保険法第99条第1項は、被保険者が療養のため労務に服することができないときは、労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、労務に服することができない期間、傷病手当金を支給すると定めています(e-Gov法令検索「健康保険法」)。任意継続被保険者は、この条文では対象から除かれています。
- 健康保険法第1条は、この法律の保険給付を、業務災害以外の疾病、負傷、死亡または出産に関するものと定めています。現場でのけがのような仕事上の災害は、労災保険の休業補償の側で確認します(労災の休業補償のガイド)。
- 電気工事業の従業員を社会保険に入れる手続は事業主の健康保険・厚生年金のガイド、保険給付の全体像は健康保険法の概要で整理しています。
1日あたりの支給額と計算例
同条第2項は、1日あたりの額を、支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に当たる額の3分の2と定めています。30分の1にした額と3分の2にした額のそれぞれに、同項の端数処理(切り捨てと切り上げ)の定めがあります。
| 手順 | 計算 |
|---|---|
| 1. 平均の30分の1 | 30万円 ÷ 30 = 1万円 |
| 2. その3分の2 | 1万円 × 2/3 = 約6,667円(1円未満は条文の端数処理に従う) |
被保険者の期間が12か月に満たない場合は、第99条第2項ただし書の各号のうち、いずれか少ない額の3分の2になります。各号は、加入していた各月の標準報酬月額の平均と、前年度の9月30日における全被保険者の標準報酬月額の平均を基にした額です。実際の金額は、加入している保険者(協会けんぽや健康保険組合)が決定します。
給料が出ているときの調整
第108条第1項は、疾病や負傷で休んでも報酬の全部または一部を受けることができる人には、受けることができる期間は傷病手当金を支給しないと定めています。ただし、受けられる報酬の額が第99条第2項で計算した額より少ないときは、その差額が支給されます。
- 受けられる報酬の額が、第99条第2項で計算した額以上なら、その期間の傷病手当金は出ません。
- 受けられる報酬の額が計算した額より少ないときは、差額が支給されます。
- 同じ病気やけがで障害厚生年金を受けられるときも、第108条第3項により調整があります。
支給期間と請求の期限
第99条第4項は、同一の疾病または負傷とこれにより発した疾病について、支給を始めた日から通算して1年6か月間を支給期間としています。期間の数え方は、支給を始めた日が起点です。
保険給付を受ける権利は、行使できる時から2年を経過すると時効で消滅します(第193条)。いつから2年を数えるかは、加入している保険者に確認してください。
退職したあとも続く場合
第104条は、資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者であった人が、資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けているときは、被保険者として受けることができるはずであった期間、同じ保険者から継続して給付を受けられると定めています。従業員が辞めるときの手続は退職時の賃金と証明書のガイドで整理しています。
独立して国民健康保険に入った場合
国民健康保険法第58条第2項は、市町村と国民健康保険組合が、条例や規約の定めるところにより、傷病手当金の支給その他の保険給付を行うことが「できる」と定めています。つまり、国民健康保険では傷病手当金が法律で義務づけられた給付ではなく、あるかどうかは市町村や組合ごとの条例・規約で決まります。
独立開業して国民健康保険に入る人は、住んでいる市区町村や加入する組合の窓口で、傷病手当金の有無を確認してください。国民健康保険と社会保険の違いは一人親方・個人事業主の健康保険と年金のガイドで比べています。
この整理で言えないこと
- 個別の病気や休業が支給の対象になるか、金額がいくらになるかは判定しません。保険者が決定します。
- 申請書の書き方、医師や事業主が記入する欄、添付書類は扱いません。
- 出産手当金、産前産後の休業、育児休業は扱いません。
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。支給の可否と金額は、加入している保険者(協会けんぽ、健康保険組合、市区町村など)で最終確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。
次に知りたいことは、仕事中のけがの休業補償は労災の休業補償のガイド、社会保険の加入手続は事業主の健康保険・厚生年金のガイド、個人事業主の国民健康保険は健康保険と年金のガイドです。