労働災害の防止と事業者の義務

労働安全衛生法とは(責務・教育・健康診断の条文)

労働安全衛生法は、労働災害を防ぐための基準、責任体制、事業者の自主的な活動を定め、職場で働く人の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促す法律です。電気工事業で人を雇う事業者や、元請・下請として現場に入る事業者にとっては、感電や墜落の防止措置、安全衛生教育、健康診断の根拠になる法律です。 この記事では、目的、用語、管理体制から教育、就業制限、健康診断、罰則までの主な条文と、詳しいガイドへの行き先を一覧にします。

公開日: 2026-10-13 / 最終更新: 2026-10-13 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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法律の目的と、電気工事業の他の法律との役割の違い

第1条は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化、自主的活動の促進の措置を講じ、総合的計画的な対策を推進することで、職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進することを目的と定めています (e-Gov法令検索「労働安全衛生法」)。

電気工事の資格や登録を定める法律と違い、この法律は、人を使って仕事をする事業者が、働く人の安全と健康を守るために講じる措置を定めています。電気工事士法は工事をする人の免状、電気工事業法は事業者の登録・通知、電気用品安全法は使う製品の表示が対象です。 労働安全衛生法は、同じ現場で働く人の災害防止の側から、教育・資格・健康管理を決めています。

それぞれの全体像は電気工事士法とは、電気工事業法とは、電気用品安全法とはで整理しています。

「事業者」と「労働者」の意味

第2条は、事業者を「事業を行う者で、労働者を使用するもの」と定めています。労働者は、労働基準法第9条の労働者を指し、同居の親族のみを使用する事業や家事使用人は含みません。 労働災害は、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じんなどにより、または作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、または死亡することです。

労働安全衛生法第2条の主な用語
用語意味条文
労働災害労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、または作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、または死亡すること第2条第1号
労働者労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業または事務所に使用される者と家事使用人を除く)第2条第2号
事業者事業を行う者で、労働者を使用するもの第2条第3号

労働者を使わない一人親方の電気工事業者は、この法律の「事業者」には当たりません。ただし、元請など他の事業者の現場で働く場合は、その現場の事業者が講じる措置の対象に、労働者以外の作業従事者として含まれることがあります(第30条第1項)。 人を雇ったときの手続きは電気工事業者の安全衛生管理体制で扱っています。

条文ごとの内容と詳しいガイド

主な条文を、責務・管理体制・危険防止・元請下請・教育・就業制限・健康診断の順に並べました。右端の列から、その条文を掘り下げたガイドへ進めます。

労働安全衛生法の主な条文と、このサイトの詳しいガイド
項目条内容の要点詳しいガイド
事業者の責務第3条事業者は、最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、労働者の安全と健康を確保する。建設工事の注文者などは、安全で衛生的な作業を損なうおそれのある条件を付さないよう配慮する電気工事業者の安全衛生管理体制(10人・50人・100人)
管理体制(総括安全衛生管理者・衛生管理者)第10条・第12条政令で定める規模の事業場ごとに、総括安全衛生管理者や衛生管理者を選任する電気工事業者の安全衛生管理体制(10人・50人・100人)
作業主任者第14条高圧室内作業など、政令で定める作業ごとに、免許を受けた者または技能講習を修了した者から作業主任者を選任し、作業の指揮などをさせる足場の作業主任者・特別教育・点検の決まり(電気工事)
危険を防止する措置第20条事業者は、機械等による危険、爆発性・発火性・引火性の物による危険、電気・熱その他のエネルギーによる危険を防止するため、必要な措置を講じる停電作業・活線作業・活線近接作業の安全措置と作業指揮
統括安全衛生責任者・安全衛生責任者第15条・第16条建設業などの特定元方事業者は、統括安全衛生責任者を選任する。統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人は、安全衛生責任者を選任して連絡を行わせる統括安全衛生責任者と安全衛生責任者の選任基準
元方事業者の措置第30条特定元方事業者は、協議組織の設置・運営、作業間の連絡調整、作業場所の巡視、関係請負人の教育の指導・援助などの措置を講じる統括安全衛生責任者と安全衛生責任者の選任基準
雇入れ時などの安全衛生教育・特別教育第59条労働者の雇入れ時と作業内容の変更時に安全衛生教育を行う。危険または有害な業務で厚生労働省令が定めるものには、特別の教育を行う電気工事業の雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育
職長などの教育第60条政令で定める業種の事業場では、新たに職務につく職長など、作業中の労働者を直接指導または監督する者に、安全衛生教育を行う職長教育の対象・12時間・5年ごとの再教育
就業制限第61条クレーンの運転など政令で定める業務は、免許を受けた者や技能講習を修了した者などでなければ就かせることも、行うこともできない。資格を証する書面の携帯も必要移動式クレーンの運転・玉掛けの資格区分(1トン・5トン)
健康診断第66条事業者は、労働者に医師による健康診断を行う。有害な業務で政令で定めるものに従事する労働者には、特別の項目の健康診断を行う電気工事業者が従業員に行う健康診断(雇入れ時・定期・深夜業)

電気工事に直接関わるのは、第20条第3号の「電気、熱その他のエネルギーによる危険」を防止する措置です。具体的な停電作業や活線作業の措置は、この法律ではなく厚生労働省令に定められています。 選任が必要になる規模、教育の時間、健康診断の項目も、政令や省令で定められています。

ここに挙げたのは主な条文で、安全委員会・衛生委員会、機械等の検査、作業環境測定、計画の届出は省いています。

主な罰則

違反したときの罰則は、第119条と第120条に定められています。雇入れ時の教育や健康診断を行わないことも、第120条の50万円以下の罰金の対象です。

労働安全衛生法の主な罰則
条罰則主な違反行為
第119条6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金第14条(作業主任者)、第20条〜第25条(危険防止の措置)などの違反、一定の命令への違反など
第120条50万円以下の罰金第10条〜第12条(管理者の選任)、第15条(統括安全衛生責任者)、第16条(安全衛生責任者)、第30条(元方事業者の措置)、第59条第1項(雇入れ時の教育)、第61条第2項(資格のない者の就業)、第66条第1項(健康診断)などの違反、検査の拒否、報告をしないことなど

法人の代表者や従業者が業務に関して違反した場合は、行為者に加えて、その法人または人にも罰金刑が科されます(第122条)。 罰則の対象になる条文の全体は、e-Govの本文で確認してください。

この整理で言えないこと

この記事は条文の見取り図です。自社の事業場で、どの管理者の選任が必要か、どの作業が特別教育や就業制限の対象かは、政令・省令の規模や作業の区分で決まり、この記事では判定できません。 一人親方が加入できる労災保険の特別加入は一人親方の労災保険の特別加入で扱っています。

次に知りたいこと:電気工事業者の安全衛生管理体制、雇入れ時の安全衛生教育、統括安全衛生責任者と安全衛生責任者。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。選任や教育の要否は、都道府県労働局または所轄の労働基準監督署に確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。