労働安全衛生法第59条・労働安全衛生規則第35条
電気工事業の雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育
電気工事業者が労働者を雇い入れたとき、または作業内容を変更したときは、その業務に必要な安全衛生教育を遅滞なく行います。安全衛生教育は8項目が基本です。低圧・高圧の充電電路を扱う業務の特別教育や、職長へ就く人の職長教育とは別の義務として確認します。
公開日: 2026-10-11 / 最終更新: 2026-10-11 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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教育を行う2つの時点
労働安全衛生法第59条第1項は労働者を雇い入れたとき、第2項は労働者の作業内容を変更したときを、安全衛生教育の時点として分けています。どちらも、事業者が労働者に対して教育を行う義務です(e-Gov法令検索「労働安全衛生法」)。
雇用契約で明示する賃金や労働時間は労働条件通知書のガイドで扱っています。本記事の安全衛生教育は、契約条件の明示ではなく、実際に従事する業務の危険や作業手順を伝えるための制度です。
安全衛生教育の8項目
労働安全衛生規則第35条は、次の8項目のうち、労働者が従事する業務の安全または衛生のために必要な事項を教育するよう定めています。項目を一律に読み上げるのではなく、担当する業務に関係する内容を選んで実施する条文です(e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第35条)。
| 項目 | 教育する内容 |
|---|---|
| 1 | 機械、原材料などの危険性・有害性と取扱方法 |
| 2 | 安全装置、有害物抑制装置、保護具の性能と取扱方法 |
| 3 | 作業手順 |
| 4 | 作業開始時の点検 |
| 5 | 業務により発生するおそれがある疾病の原因と予防 |
| 6 | 整理、整頓、清潔の保持 |
| 7 | 事故時などの応急措置と退避 |
| 8 | そのほか、業務の安全または衛生に必要な事項 |
電気工事の現場では、使用する機械や保護具、作業手順、作業開始時の点検、事故時の退避など、担当業務に関係する項目を具体化します。どの内容が必要かは、実際の設備・材料・作業方法に合わせて事業者が確認します。
知識・技能がある場合に省略できる項目
労働者が8項目の全部または一部について十分な知識・技能を持つと認められる場合、事業者はその項目の教育を省略できます。これは規則第35条第2項の定めです。教育全体を人数や経験年数だけで自動的に不要とする規定ではなく、十分な知識・技能があると認めた項目が省略の対象です。
個々の免状や経験でどの項目を省略できるかは、この記事では判定しません。省略を検討するときは、従事する業務と既に持っている知識・技能を整理し、労働基準監督署へ確認してください。
雇入れ時等の教育・特別教育・職長教育の違い
雇入れ時等の教育を行っても、危険・有害な業務の特別教育や、新たに職長などの職務につく人への職長教育が不要になるわけではありません。労働安全衛生法は3つを別の項・条で定めています。
| 教育 | 行う時点・対象 | 根拠 |
|---|---|---|
| 雇入れ時・作業内容変更時の教育 | 労働者を雇い入れたとき、作業内容を変更したとき | 法第59条第1項・第2項、規則第35条 |
| 特別教育 | 規則第36条が定める危険・有害な業務につかせるとき | 法第59条第3項、規則第36条 |
| 職長教育 | 建設業などで、新たに職長その他の作業中の労働者を直接指導・監督する人(作業主任者を除く)になるとき | 法第60条、施行令第19条 |
低圧・高圧の充電電路を扱う業務の範囲と科目は低圧・高圧の特別教育のガイド、職長教育の対象と時間は電気工事業の職長教育のガイドで確認できます。
教育時間と記録の確認点
規則第35条は8項目と省略条件を定めていますが、同条には一律の教育時間数や記録の保存期間は書かれていません。一方、特別教育は、厚生労働省「安全衛生特別教育規程」に科目と時間があり、規則第38条が受講者・科目などの記録を作成して3年間保存するよう定めています。
雇入れ時等の教育と特別教育を同じ日に行う場合でも、どの義務に基づく教育かを混同しないようにします。教育時間や記録の残し方に迷う場合は、所轄の労働基準監督署へ確認してください。
教育を行わなかった場合の罰則
労働安全衛生法第59条第1項または第2項に違反した場合は、50万円以下の罰金の対象として第120条第1号に列挙されています。実際の違反や罰則の適用は個別の事実関係で判断されます。罰則の有無だけでなく、担当業務に必要な8項目を雇入れ時・変更時に確認することが先です。
この整理で言えないこと
- 個々の配置変更が法第59条第2項の「作業内容を変更したとき」に当たるかは判定しません。
- 個々の労働者について、規則第35条第2項により省略できる教育項目は判定しません。
- 個々の電気工事が特別教育・技能講習・作業主任者のどの区分に当たるかは、作業内容と設備の条件で確認が必要です。
- 従業員を雇わない一人親方本人への適用や、元請が行う新規入場者教育との関係は扱いません。
- 特定の教育機関や講座を推奨するものではありません。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。教育を行う時点、必要な内容、省略の可否、特別教育などを追加する必要があるかは、所轄の労働基準監督署または都道府県労働局に確認してください。
従業員を雇った事業場の安全衛生担当者は安全衛生管理体制の人数基準で確認できます。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。