労働安全衛生法第10条〜第13条・第17条・第18条
従業員を雇う電気工事業者の安全衛生管理体制(常時10人・50人・100人の基準と選任する人・委員会)
従業員を雇う電気工事業者が置く安全衛生の担当者は、常時使用する労働者の数で決まります。10人以上50人未満は安全衛生推進者、50人以上は安全管理者・衛生管理者・産業医、100人以上は総括安全衛生管理者です。数えるのは自社の事業場で使用する労働者で、元請が現場で数える作業従事者の人数とは別の基準です。
公開日: 2026-10-08 / 最終更新: 2026-10-08 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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建設業の事業場は、常時10人・50人・100人を境に置く人が増える
e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第10条から第13条は、事業者に、事業場ごとに安全衛生を管理する人を選任する義務を課しています。必要な人数の境目は、法律ではなく政令と厚生労働省令が、業種と常時使用する労働者の数で決めています。
建設業は、これらの基準で名前が挙がる業種です。電気工事を請け負う事業が建設業に当たるかは事業の実態によるため、自社の扱いは所轄の労働基準監督署に確認してください。次の表は、建設業の事業場に当てはまる基準の一覧です。
| 常時使用する労働者 | 置く人・設ける会議 | 根拠 |
|---|---|---|
| 10人以上50人未満 | 安全衛生推進者 | 法第12条の2、規則第12条の2 |
| 50人以上 | 安全管理者、衛生管理者、産業医、安全委員会、衛生委員会 | 法第11条〜第13条・第17条・第18条、施行令第3条〜第5条・第8条・第9条 |
| 100人以上 | 総括安全衛生管理者 | 法第10条、施行令第2条 |
現場の安全衛生体制は、この表とは別の仕組みです。元請が現場で選任する統括安全衛生責任者や、下請が選任する安全衛生責任者は、一つの現場で働く人の数で決まります。これは統括安全衛生責任者と安全衛生責任者のガイドで整理しています。
10人以上50人未満の事業場は、安全衛生推進者を選任する
e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第12条の2は、安全衛生推進者を選任すべき事業場を、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場と定めています。法第12条の2のかっこ書きにより、安全管理者を置く業種以外の事業場では、同じ位置づけの人が衛生推進者になり、担当は衛生に係る業務に限られます。建設業は安全管理者を置く業種のため、安全衛生推進者です。
選任の方法は、規則第12条の3が次のとおり定めています。
- 選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任する
- その事業場に専属の者を選任する(労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントなどから選任する場合を除く)
- 資格は、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した者のほか、業務を担当するために必要な能力を有すると認められる者
選任したときは、規則第12条の4により、氏名を作業場の見やすい箇所に掲示するなどして関係労働者に周知します。この規定の条文上、選任したことを労働基準監督署へ報告する定めは見当たりません。安全管理者や衛生管理者には報告の定めがあるため、混同しないようにします。
安全衛生推進者が担当するのは、法第10条第1項各号の業務です。労働者の危険または健康障害を防止する措置、安全衛生教育の実施、健康診断の実施その他の健康の保持増進の措置、労働災害の原因の調査と再発防止対策などが挙がっています。
50人以上の事業場は、安全管理者・衛生管理者・産業医を選任する
施行令第3条は、安全管理者を選任すべき事業場を、第2条第1号または第2号に掲げる業種の事業場で、常時50人以上の労働者を使用するものと定めています。建設業は第2条第1号に挙がっているため、安全管理者の対象です。
e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第4条は衛生管理者を、第5条は産業医を、どちらも常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任すると定めています。この2つは業種を問いません。
衛生管理者の人数は、規則第7条第1項第4号の表が、常時50人以上200人以下で1人、200人を超え500人以下で2人と定めています。安全管理者も、規則第4条により、選任すべき事由が発生した日から14日以内に、その事業場に専属の者を選任します。衛生管理者を選任したときは、規則第7条第3項により、遅滞なく所轄労働基準監督署長へ報告します。
安全委員会・衛生委員会は50人以上、総括安全衛生管理者は100人以上
法第17条と施行令第8条は、安全委員会を設ける事業場を定めています。建設業は第8条第1号に挙がっており、常時50人以上の労働者を使用する事業場が対象です。衛生委員会は、法第18条と施行令第9条により、業種を問わず常時50人以上の事業場が対象です。
規則第23条第1項は、委員会を毎月1回以上開催するよう事業者に求めています。同条第3項は、開催のたびに、議事の概要を掲示や書面の交付などで労働者に周知することを求めています。
施行令第2条第1号は、総括安全衛生管理者を選任すべき建設業の事業場を、常時100人以上の労働者を使用するものと定めています。総括安全衛生管理者は、安全管理者や衛生管理者を指揮して、安全衛生の業務を統括管理する人です。
罰則の列挙と、10人未満の事業者の確認先
法第120条第1号は、罰金(50万円以下)の対象になる違反として、第10条第1項、第11条第1項、第12条第1項、第13条第1項、第17条第1項、第18条第1項などを列挙しています。2026年10月8日にe-Govで確認した本文では、安全衛生推進者の選任を定める第12条の2は、第119条にも第120条にも列挙されていません。
列挙に挙がっていないことは、選任しなくてよいという意味ではありません。法第12条の2は「選任しなければならない」と定めています。
常時使用する労働者が10人に満たない事業場は、上の表のどの基準にも当たりません。条文の下限が10人以上のため、10人未満の事業場に選任を求める定めは見当たりません。これは条文の下限からの読み方なので、自社に必要な措置は所轄の労働基準監督署に確認してください。
従業員を雇った後の保険の手続は労働保険のガイド、現場で作業員を指導する立場の人に行う教育は職長教育のガイドで確認できます。
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。自社の事業場に選任や委員会の設置が必要か、労働者の数をどう数えるかは、所轄の労働基準監督署に確認してください。
一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。