公式資料をもとに整理

従業員を雇う電気工事業者の健康診断(雇入れ時・年1回の定期・深夜業は6か月ごと)

労働者を常時使用する事業者は、雇い入れるときに1回、その後は1年以内ごとに1回、医師による健康診断を行う義務があります。従業員が1人でも対象で、50人未満の事業場でも変わりません。ここでは、電気工事業者が従業員を雇ったときに必要な健康診断の種類と項目、夜間工事など特定の業務の6か月ごとの健診、結果の記録・通知・医師の意見聴取、労働基準監督署への報告が必要になる人数を、労働安全衛生法令から整理します。

公開日: 2026-10-09 / 最終更新: 2026-10-09 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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雇入れ時と定期の健康診断

事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより医師による健康診断を行わなければなりません(労働安全衛生法第66条第1項)。省令の労働安全衛生規則は、常時使用する労働者を雇い入れるときの健康診断(第43条)と、1年以内ごとに1回の定期健康診断(第44条)を定めています(労働安全衛生法、労働安全衛生規則)。

電気工事業者が従業員に行う主な健康診断(労働安全衛生規則)
種類時期条文
雇入れ時の健康診断常時使用する労働者を雇い入れるとき第43条
定期健康診断常時使用する労働者に、1年以内ごとに1回第44条
特定業務従事者の健康診断特定の業務への配置替えの際と、6か月以内ごとに1回第45条

雇入れ時の健康診断には例外があります。医師による健康診断を受けてから3か月を経過しない人を雇い入れる場合に、その人が結果を証明する書面を提出したときは、書面で証明された項目に相当する項目は雇入れ時の健康診断で不要です(第43条ただし書)。

定期健康診断の項目と省略できる場合

定期健康診断の項目は、既往歴・業務歴の調査から心電図検査までの11項目です。自覚症状と他覚症状の検査、身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査、胸部エックス線検査と喀痰検査、血圧の測定、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、尿検査が含まれます(第44条第1項)。

身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査、胸部エックス線検査・喀痰検査、貧血・肝機能・血中脂質・血糖の各検査、心電図検査は、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときに省略できます(第44条第2項)。省略できる基準の中身は告示で定められているため、実施前に健診機関の医師に確認してください。

雇入れ時の健康診断などを受けた人は、その実施日から1年間に限り、受けた項目に相当する項目を定期健康診断で省略できます(第44条第3項)。

夜間工事などの特定業務は6か月ごとになる場合

労働安全衛生規則第13条第1項第3号に掲げる業務に常時従事する労働者には、その業務への配置替えの際と、6か月以内ごとに1回の健康診断が必要です(第45条第1項)。同号の業務には、深夜業を含む業務、著しく暑熱な場所における業務、重量物の取扱い等の重激な業務、強烈な騒音を発する場所における業務などが並んでいます。

電気工事では、夜間の停電工事などで深夜業を含む勤務が常態になっている従業員や、著しく暑熱な場所での作業に常時従事する従業員が、これに当たるかどうかの確認対象になります。当たるかどうかは勤務の実態で決まるため、この記事では判定できません。熱中症の予防は電気工事の熱中症対策で整理しています。

結果の記録・通知・医師の意見聴取・報告

健康診断を行ったら、健康診断個人票(様式第5号)を作成して5年間保存し、結果を受けた労働者に遅滞なく通知します。記録の作成と保存は第51条、結果の通知は第51条の4に定めがあります。

健康診断のあとに必要な対応(労働安全衛生法令)
対応内容根拠
個人票の保存健康診断個人票(様式第5号)を作成し、5年間保存規則第51条
結果の通知健康診断を受けた労働者に、遅滞なく結果を通知法第66条の6、規則第51条の4
医師の意見聴取異常の所見があると診断された労働者について、必要な措置を医師または歯科医師から聴く。健康診断の実施日から3か月以内に行い、意見を個人票に記載法第66条の4、規則第51条の2
労働基準監督署への報告常時50人以上の労働者を使用する事業者は、定期の健康診断を行ったとき遅滞なく、電子情報処理組織で報告規則第52条

従業員が50人未満の電気工事業者は、労働基準監督署への報告は求められません。報告義務がなくても、健康診断の実施・個人票の保存・結果の通知・医師の意見聴取は必要です。

パート・短時間の従業員は対象になるか

労働局の案内では、1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上のパートタイム労働者には、健康診断を実施する義務があります。正社員の2分の1以上4分の3未満の人には、実施が望ましいとされています(新潟労働局「パートタイム労働者の健康診断を実施しましょう」)。

同じ資料は、労働安全衛生法に基づいて実施される健康診断の費用は事業者が負担すべきものと説明しています。条文は「常時使用する労働者」としか書いていないため、個々の従業員が対象かどうかは、契約期間や所定労働時間を伝えて労働基準監督署に確認するのが確実です。

義務に違反したときの罰則

労働安全衛生法第66条第1項から第3項までの健康診断を行わなかった場合、50万円以下の罰金の対象になります(第120条第1号)。罰金の対象になるかどうかは、個別の事情で判断されます。

この整理で言えないこと

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。対象となる従業員の範囲、特定業務に当たるか、労働基準監督署への報告の要否と方法は、所轄の労働基準監督署で確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。

従業員を雇った後の保険の手続きは従業員を雇った電気工事業者の労災保険・雇用保険の加入手続き、従業員の数ごとに置く担当者は安全衛生管理体制のガイドで整理しています。