公式資料をもとに整理

出産手当金と出産育児一時金の支給要件・金額

出産手当金は、健康保険の被保険者が出産のために仕事を休んだ期間(出産の日以前42日から出産の日後56日まで)について支給される給付で、出産育児一時金は、出産したときに政令で定める金額が支給される給付です。従業員が出産する電気工事業者と、会社員から独立して国民健康保険に入る人が、どこまで給付があるかを、健康保険法・同法施行令・国民健康保険法で確認します。

公開日: 2026-10-21 / 最終更新: 2026-10-21 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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先に結論:出産手当金は休んだ期間、出産育児一時金は出産そのものへの給付

健康保険法第102条第1項は、被保険者が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の日後56日までの間で、労務に服さなかった期間について、出産手当金を支給すると定めています(e-Gov法令検索「健康保険法」)。第101条は、被保険者が出産したときに出産育児一時金を支給すると定めています。

出産手当金と出産育児一時金の違い
項目出産手当金(第102条)出産育児一時金(第101条)
何への給付か出産のために労務に服さなかった期間出産したこと
金額1日あたり、傷病手当金と同じ計算(第99条第2項・第3項を準用)政令(健康保険法施行令第36条)で定める金額
被扶養者の出産対象外(被保険者本人の出産)家族出産育児一時金(第114条)として被保険者に支給

出産手当金の対象期間と金額

対象になるのは、出産の日以前42日(多胎妊娠は98日)から出産の日後56日までの間で、実際に労務に服さなかった期間です。出産が予定日より後になったときは、出産の日ではなく予定日を基準に、その以前42日(多胎妊娠は98日)から数えます。

出産手当金の対象期間(条文の日数)
区分出産前出産後
単胎妊娠出産の日(予定日後の出産は予定日)以前42日出産の日後56日
多胎妊娠出産の日(予定日後の出産は予定日)以前98日出産の日後56日

第102条第2項は、第99条第2項と第3項を出産手当金に準用すると定めています。1日あたりの額は、支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に当たる額の3分の2で、計算の手順は傷病手当金のガイドの計算例と同じです。被保険者の期間が12か月に満たないときの扱いも、同じ第99条第2項ただし書によります。

実際の金額は、加入している保険者(協会けんぽや健康保険組合)が決定します。

対象になるのは被保険者です。第99条第1項の括弧書きは、被保険者から任意継続被保険者を除いたうえで「第百二条第一項において同じ」としているため、第102条第1項の被保険者にも任意継続被保険者は含まれません。

給料が出ているときと傷病手当金との調整

第108条第2項は、出産した場合に報酬の全部または一部を受けることができる人には、受けることができる期間は出産手当金を支給しないと定めています。ただし、受けることができる報酬の額が出産手当金の額より少ないときは、その差額が支給されます。

出産育児一時金の金額と家族出産育児一時金

第101条が「政令で定める金額」としている出産育児一時金は、健康保険法施行令第36条本文で48万8千円と定められています(e-Gov法令検索「健康保険法施行令」)。ただし書は、特定出産事故(出生した人が脳性麻痺になった事故)に備える保険契約が結ばれているなど、同条第1号・第2号の要件を満たす病院、診療所、助産所などによる医学的管理の下での出産だと保険者が認めるときは、48万8千円に、3万円を超えない範囲で保険者が定める金額を加えた額とすると定めています。

被保険者の被扶養者が出産したときは、第114条により、家族出産育児一時金として、同じ政令の金額が被保険者に支給されます。被扶養者の範囲と加入手続は事業主の健康保険・厚生年金のガイドの側で確認します。

保険給付を受ける権利は、行使できる時から2年を経過すると時効で消滅します(第193条)。いつから2年を数えるかは、加入している保険者に確認してください。

退職したあとも続く場合

第104条は、資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者であった人(任意継続被保険者や共済組合の組合員である被保険者を除く)が、資格を喪失した際に出産手当金の支給を受けているときは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同じ保険者から給付を受けられると定めています。従業員が辞めるときの手続は退職時の賃金と証明書のガイドで整理しています。

独立して国民健康保険に入った場合

国民健康保険法第58条第1項は、市町村と国民健康保険組合が、被保険者の出産に関して、条例や規約の定めるところにより出産育児一時金を支給するものとし、特別の理由があるときは全部または一部を行わないことができるとしています。一方、同条第2項は、傷病手当金の支給その他の保険給付を、条例や規約の定めるところにより行うことが「できる」としています。

出産手当金に当たる給付は法律で義務づけられたものではなく、あるかどうかは市町村や組合ごとの条例・規約で決まります。独立開業して国民健康保険に入る人は、住んでいる市区町村や加入する組合の窓口で、出産育児一時金の額と、出産で休んだ間の給付の有無を確認してください。国民健康保険と社会保険の違いは一人親方・個人事業主の健康保険と年金のガイドで比べています。

この整理で言えないこと

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。支給の可否と金額は、加入している保険者(協会けんぽ、健康保険組合、市区町村など)で最終確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

次に知りたいことは、仕事中のけがで休むときの給付は労災の休業補償のガイド、従業員の社会保険の加入手続は事業主の健康保険・厚生年金のガイド、妊産婦の就業制限は就業制限のガイドです。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。