工事が終わってから引き渡すまでの確認

電気工事の竣工時に測る項目と残す記録

竣工時に測るのは、低圧電路の絶縁抵抗と接地工事の接地抵抗(高圧・特別高圧は絶縁耐力の試験)で、残す記録は、測った値、帳簿の「検査結果」、完成した配線図の3つに分けて考えると整理できます。法令が基準値を定めているのは測定値の側で、電気工事業法第26条が帳簿の備付けと記載を定め、施行規則第13条が検査結果の記載を求めています。施主への説明の方法を定めた条文は、この記事で確認した範囲には見当たらないため、説明の部分は実務上の整理として扱います。

公開日: 2026-10-15 / 最終更新: 2026-10-15 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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引渡しまでの順番

電気工事の完了から引渡しまでを、確認する対象ごとに並べると次の順になります。順番そのものを定めた条文はなく、下の表は測定値と記録の関係を整理するための並べ方です。

  1. 施工した電路の絶縁抵抗を、開閉器または過電流遮断器で区切れる電路ごとに測る
  2. 接地工事を施した箇所の接地抵抗を測る
  3. 高圧・特別高圧の電路を扱った場合は、絶縁耐力の試験の要否を確かめる
  4. 測定日・電路・値・使った器具を工事の記録に書き、帳簿の「検査結果」と配線図を工事番号で結ぶ
  5. 変更した配線を完成した配線図に反映し、施主に結果を伝えて引き渡す

測った値を照らす基準

測定の結果は、e-Gov法令検索「電気設備に関する技術基準を定める省令」と、その解釈(経済産業省)の値に照らして判断します。絶縁抵抗の3段階の値と対地電圧の見方は低圧の絶縁抵抗の基準値で扱っているため、ここでは竣工時に使う形に絞って並べます。

竣工時に測る項目と、値の出どころ
測る項目基準出どころ
低圧電路の絶縁抵抗電圧の区分に応じて0.1MΩ・0.2MΩ・0.4MΩ以上。電路ごとに適用省令第58条
絶縁抵抗を測れない低圧電路使用電圧が加わった状態の漏えい電流が1mA以下解釈第14条第1項第二号
D種接地工事の接地抵抗100Ω以下。低圧電路で地絡時に0.5秒以内に自動で遮断する装置を施設するときは500Ω以下解釈第17条第4項
D種接地工事を施す金属体と大地の間電気抵抗値が100Ω以下ならD種接地工事を施したものとみなす解釈第17条第6項
高圧・特別高圧の電路の絶縁性能試験電圧を電路と大地の間に連続10分間加えて耐える性能など。試験電圧は表で区分される解釈第15条

接地抵抗の100Ωと500Ωの使い分けは、地絡時に0.5秒以内に自動で遮断する装置があるかで決まります。分電盤の漏電遮断器の有無を確かめずに、現場で値だけを見て合否を決めると読み違えます。接地工事の種類は接地工事のA種からD種で整理しています。

高圧の電路の絶縁耐力の試験は、解釈第15条の試験電圧の表と方法で決まります。具体の電圧や機器の扱いは工事の内容で変わるため、この記事では値を示さず、解釈の原文と電気主任技術者などの担当者に照らして確かめてください。測定に使う器具の備付け義務は営業所に備える測定器具、器具の校正は絶縁抵抗計・接地抵抗計の校正周期と校正書類で扱っています。

帳簿の「検査結果」との関係

e-Gov法令検索「電気工事業法」の第26条と、同施行規則の第13条は、工事ごとに帳簿へ検査結果を記載し、記載の日から5年間保存することを求めています。6項目の全体と記入例は電気工事の帳簿の記載事項と保存に整理があるため、ここでは繰り返しません。

この記事の見る点は、帳簿の「検査結果」の欄に何を結びつけるかです。条文は検査結果としか書かず、測定値の書式までは定めていません。そのため、絶縁抵抗と接地抵抗を測ったときは、測った電路や接地箇所を識別できる形で値を残し、工事番号で帳簿と結ぶと、後から1件の工事を追跡できます。

帳簿は営業所ごとに備える義務のため、工事を担当した営業所の帳簿に結ぶ点も確認します。

引渡し時に渡すものと事業者に残すもの

次の表は、法令で形が決まっているものと、実務上の整理として分けて持つものを区別しています。「法令の定め」の欄が空欄の項目は、この記事で確認した範囲では書式や交付を定める条文が見当たらないという意味です。

竣工時の記録と置き場所の整理
記録法令の定め置き場所の考え方
帳簿の検査結果電気工事業法第26条・施行規則第13条(営業所に備え、記載の日から5年保存)事業者側の帳簿として営業所に残す
配線図同上(帳簿の記載事項の一つ)帳簿と結ぶ控えを事業者に残す。施主への写しの交付は、契約の取り決めで決める
測定値の記録(絶縁・接地)値の基準は省令・解釈。記録の書式の定めは確認できず帳簿の検査結果から参照できるようにして残す
施主への結果の説明契約書や注文書で、何を渡すか先に決めておく

施主へ写しを渡すか、どの範囲を説明するかは、法令ではなく工事の契約の問題です。渡した内容は日付とともに工事の記録へ残すと、後から何を伝えたかを確かめられます。

記録が必要になる場面:危険等防止命令

電気工事業法第27条は、登録電気工事業者または通知電気工事業者が、故意または過失により電気工事を粗雑にしたために危険及び障害が発生した、または発生するおそれが大であるとき、登録(通知)を受けた経済産業大臣または都道府県知事が必要な措置を命じられると定めています(同じ条は、器具の備付けや電気用品の使用制限に違反して営業しているときも命令の対象としています)。竣工時の測定記録は、この条文が前提にする場面で、施工が基準に沿っていたかを示す材料になります。

記録があれば処分を免れるという意味ではなく、確認の手がかりになるという位置づけです。処分と罰則の全体は電気工事業法の監督処分と罰則で整理しています。

竣工時のチェックリスト

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の工事の測定方法や基準値の適用は、省令・解釈の原文と、所轄の経済産業省の産業保安監督部または都道府県の窓口で確認してください。

次に知りたいことは、電気工事の帳簿の記載事項と保存、低圧の絶縁抵抗の基準値、絶縁抵抗計・接地抵抗計の校正周期と校正書類で確認できます。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。