公式資料をもとに整理
一般用電気工作物の調査の頻度(4年・5年)と調査員の要件(電気事業法第57条)
一般用電気工作物の調査は、原則として設置時と変更工事の完成時に行い、その後は4年に1回以上(登録点検業務受託法人が点検している場合は5年に1回以上)行うものと、電気事業法施行規則が定めています。調査をする人、調査員になれる人、通知と記録の決まりを、電気事業法第57条・第57条の2と同施行規則第96条・第103条から整理します。
公開日: 2026-10-07 / 最終更新: 2026-10-07 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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調査の義務を負う人と頻度の早見表
一般用電気工作物(住宅や小規模な店舗の受電設備など。定義は一般用と自家用の違いのガイドにあります)の調査義務は、設備の所有者ではなく、その設備とつながる電線路を維持・運用する側にあります。条文はe-Gov法令検索「電気事業法」とe-Gov法令検索「電気事業法施行規則」です。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 調査をする人 | 一般用電気工作物と直接に電気的に接続する電線路を維持・運用する者(電線路維持運用者) | 法第57条第1項 |
| 調査の時期 | 設置時、変更工事の完成時、その後は4年に1回以上(受託電気工作物は5年に1回以上) | 規則第96条第2項第1号 |
| 調査をできる人 | 主任技術者免状(第1〜3号)の交付を受けた人、第一種・第二種電気工事士、電気工学の課程を修めた卒業者のいずれか | 規則第96条第2項第3号、法第90条第1項第2号 |
| 不適合のときの通知先 | 一般用電気工作物の所有者または占有者 | 法第57条第2項 |
| 帳簿の保存期間 | 通常4年間、受託電気工作物は5年間 | 規則第103条第2項 |
調査をする人(電線路維持運用者)
電気事業法第57条第1項は、電線路維持運用者が、その一般用電気工作物が技術基準に適合しているかどうかを調査しなければならないと定めています。ただし、その設置場所に立ち入ることについて所有者または占有者の承諾が得られないときは、この義務は適用されません(同項ただし書)。
施行規則第96条第1項は、調査義務が生じない場合を2つ挙げています。1つは、その電線路を介して供給される電気を使用するものではない一般用電気工作物の場合、もう1つは、その電線路が災害などの非常時に一時的に電路となるだけの場合です。(補足として、電気を使う住宅や店舗の設備が通常の対象と読めます。)
つまり、電気工事業者や設備の所有者が自分で調査する義務を負うわけではありません。ただし、立入りの承諾を求められるのは所有者・占有者です。承諾が得られなければ調査義務の例外に当たるため、調査の実施は所有者・占有者の承諾に左右される点は押さえておく必要があります。
調査の頻度(4年・5年)と対象外の場合
施行規則第96条第2項第1号は、調査を行う時期を次のように定めています。
- 一般用電気工作物を設置した時
- 変更の工事が完成した時(登録点検業務受託法人が点検する設備では、受電電力の容量の変更を伴う変更工事に限る)
- その後は、通常の設備は4年に1回以上
- 点検業務を受託する登録点検業務受託法人(所轄産業保安監督部長の登録を受けた法人)が点検している受託電気工作物は5年に1回以上
災害その他やむを得ない事由で頻度どおりに行えなかった場合は、その事情がやんだ後、速やかに調査します(同号ただし書)。 変更の工事が完成した時点も調査の時期に入るため、工事の完成が調査のきっかけになり得ます。どの工事が「変更の工事」に当たるかは条文に例示がなく、条文だけでは個別に判断できません。
通知をしたあとは、相当の期間が過ぎたとき、所有者または占有者の求めに応じて再び調査を行います(同項第2号)。
調査員になれる人
施行規則第96条第2項第3号は、調査は電気事業法第90条第1項第2号イからハまでのいずれかに当たる人が行うと定めています。第90条第1項第2号が挙げる人は次のとおりです。
- 第44条第1項第1号〜第3号の主任技術者免状(第一種・第二種・第三種電気主任技術者)の交付を受けている人
- 電気工事士法の第一種電気工事士または第二種電気工事士
- 大学・高等専門学校・高等学校・中等教育学校などで電気工学の課程またはこれに相当する課程を修めて卒業した人
電気工事士の免状を持つ人は、調査員の要件の一つを満たします。条文が定めるのは調査を行う人の資格であり、免状を持つだけで個人が調査を請け負えるという意味ではありません。
調査員は身分を示す証明書を携帯し、関係人から請求があれば提示します(規則第96条第2項第4号)。調査は、測定器や目視などの適切な方法で行います(同項第5号)。
免状の種類と工事範囲は電気工事士の免状要件のガイドで整理しています。
不適合のときの通知と帳簿の保存
調査の結果、技術基準に適合していないと認めるときは、電線路維持運用者は遅滞なく、とるべき措置と、措置をとらなかった場合に生ずべき結果を、所有者または占有者に通知しなければなりません(法第57条第2項)。通知を受けた側が配線の修理などを工事として依頼する場合、その工事には電気工事士法・電気工事業法の規制が及びます。工事業者の区分は電気工事業の登録が必要かのガイドで確認できます。
電線路維持運用者は帳簿を備えて調査と通知に関する事項を記載する義務を負い(法第57条第4項)、記載する事項は規則第103条第1項が次のとおり定めています。
- 所有者または占有者の氏名または名称と住所
- 調査年月日と調査の結果
- 通知年月日と通知事項
- 調査員の氏名
保存期間は、通常の設備に係るものが4年間、受託電気工作物に係るものが5年間です(同条第2項)。電磁的方法で記録し、必要に応じて直ちに表示できるように保存する場合は、それをもって帳簿の保存に代えられます(規則第103条の2第1項)。これは電線路維持運用者の帳簿の定めで、電気工事業者が備える電気工事業の帳簿とは別の決まりです。
登録調査機関への委託
電線路維持運用者は、経済産業大臣の登録を受けた登録調査機関に、調査と不適合時の通知の業務(調査業務)を委託できます(法第57条の2第1項)。委託したとき、または委託契約が効力を失ったときは、遅滞なく経済産業大臣に届け出ます(同条第2項)。
委託している設備については、電線路維持運用者自身の調査義務(第57条第1項)は適用されません(同条第3項)。その場合、登録調査機関が同じ省令の定めに従って調査業務を行う義務を負い、立入りの承諾が得られないときは例外になる点も同じです(法第92条第1項)。
登録調査機関の登録基準では、絶縁抵抗計・接地抵抗計・漏れ電流計・交流電流計・交流電圧計の5種類の測定器を用いて調査業務を行うことが求められます(法第90条第1項第1号)。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。特定の設備が調査の対象かどうか、調査の日程、どの機関が調査を担うかは、設備ごとに異なります。電線路維持運用者または所轄の産業保安監督部へ確認してください。
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