公式資料をもとに整理
会社員が副業で電気工事を請け負うときの登録と届出
会社員でも、副業で電気工事を事業として請け負うなら、電気工事業法の登録(自家用電気工事だけなら通知)が必要です。電気工事そのものには電気工事士の免状が要り、一般用電気工事を扱う営業所には主任電気工事士も置きます。勤務先の就業規則への届出や許可は、電気工事業法とは別に確認します。
公開日: 2026-10-13 / 最終更新: 2026-10-13 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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副業でも登録が必要になる理由
電気工事業法は、「電気工事業」を「電気工事を行なう事業」と定義し、電気工事業を営もうとする者に登録を求めています(e-Gov法令検索「電気工事業の業務の適正化に関する法律」第2条第2項、第3条第1項)。条文に、本業か副業か、会社員かどうかを分ける文言はありません。
登録の要否は、副業という立場ではなく、電気工事を「事業として」行うかどうかで決まります。他人からの依頼を反復・継続して請け負うのか、家族や知人の1回限りの手伝いなのかの境界は、登録・通知が不要なケースの境界で整理しています。
副業のパターン別の整理
| 副業の形 | 電気工事業法の手続き | 電気工事士の免状 |
|---|---|---|
| 個人で、住宅などの一般用電気工事を事業として請け負う | 登録が必要(第3条第1項)。営業所ごとに主任電気工事士を置く(第19条第1項) | 作業には第一種または第二種の免状が必要(電気工事士法第3条第2項) |
| 個人で、自家用電気工作物の電気工事だけを事業として請け負う | 登録ではなく、事業開始の10日前までに通知(第17条の2第1項) | 作業には第一種の免状が必要(電気工事士法第3条第1項。特殊電気工事や簡易電気工事は別の資格) |
| 他の電気工事業者に雇われ、作業員として手伝う | 手続きをするのは雇う電気工事業者側。雇われる側が自分で登録する場面ではない | 登録電気工事業者は、免状のない人に一般用電気工事の作業をさせられない(第21条第2項) |
自家用電気工事だけを請け負う場合の通知と登録の違いは、通知電気工事業者の概要で確認できます。1行目と2行目は、扱う電気工作物で登録か通知かが分かれる点が違いです。
電気工事士免状と主任電気工事士
一般用電気工作物等の電気工事の作業には、第一種または第二種の電気工事士免状が必要です。自家用電気工作物の電気工事の作業には第一種の免状が必要です(電気工事士法第3条第1項、第2項)。登録は事業の手続きで、免状は作業をする人の資格なので、どちらか一方では足りません。
一般用電気工事を扱う登録電気工事業者は、営業所ごとに主任電気工事士を置きます。主任電気工事士になれるのは、第一種電気工事士、または第二種電気工事士免状の交付を受けた後に電気工事に関して3年以上の実務経験がある第二種電気工事士です(電気工事業法第19条第1項)。登録電気工事業者本人がこの要件を満たし、自ら主としてその営業所の業務に従事するなら、別に主任電気工事士を置く必要はありません(同条第2項)。
副業の一人営業では、本人が第二種免状を取ったばかりだと、3年の実務経験の要件が足りない場合があります。営業所に第19条の要件を満たす人がいないことは、登録を拒否される理由の一つです(第6条第1項第6号)。免状の種類ごとの作業範囲は電気工事士免状の種類と必要な資格で、主任電気工事士の役割は主任電気工事士のガイドで整理しています。
登録なしで営んだ場合の罰則
登録を受けずに電気工事業を営んだ者は、1年以下の拘禁刑もしくは10万円以下の罰金、またはその両方に処せられます(第36条第1号)。営業所に備える測定器具(第24条)、標識の掲示(第25条)、帳簿の備付け(第26条)は、登録や通知をした電気工事業者の義務です。
登録の後の義務の全体は登録後に守る義務で確認できます。
勤務先への届出と労働時間の通算
電気工事業法とは別に、勤務先の就業規則が副業をどう扱うかを確認します。厚生労働省の「アニメで学ぶ労働条件」は、副業・兼業先が決まったら、就業規則に定められた方法で会社に内容を届け出る必要があり、会社が許可制を取っている場合は事前に許可を受ける必要があると説明しています(厚生労働省「アニメで学ぶ労働条件 第16章 副業・兼業」)。同じページによると、厚生労働省のモデル就業規則は、副業の規定が許可制から届出制に改正されています。
同ページは、労働時間の通算について、労働者がA事業場でもB事業場でも雇用される場合に、労働基準法第38条第1項により、すべての使用者が労働時間を通算して管理するとしています。副業先に雇われる形(電気工事業者の現場で作業員として働くなど)では通算の対象になりえます。自分で請け負う個人事業として働く場合の扱いは、このページの範囲外なので、勤務先と労働基準監督署に確認してください。
この整理で言えないこと
- 特定の副業の形が「事業」に当たるかどうかは判断しません。判断は所轄の都道府県の窓口に確認します。
- 所得税、住民税、社会保険の扱いは扱いません。開業届の手順は開業届のガイドで整理しています。
- 勤務先の就業規則の内容や、副業を理由とする処分の可否は判断しません。
- 建設業許可が必要になる請負金額は扱いません。電気工事業法の登録と建設業許可は別の制度で、登録と建設業許可の違いで整理しています。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。登録か通知か、主任電気工事士の要件を満たすか、副業が事業に当たるかは、営業所を置く都道府県の窓口(二以上の都道府県に営業所を置く場合は経済産業大臣)に確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。