従業員を雇うときの最低基準

労働基準法とは(労働時間・賃金・休暇の条文)

労働基準法は、賃金、労働時間、休憩、休日、解雇などの労働条件について、使用者が守るべき最低の基準を定めた法律です。電気工事業で従業員を1人でも雇う事業者にとっては、労働条件の明示、残業の協定、割増賃金、有給休暇、名簿・台帳の作成の根拠になる法律です。 この記事では、目的、用語から、労働条件・労働時間・賃金・休暇・書類、罰則までの主な条文と、詳しいガイドへの行き先を一覧にします。

公開日: 2026-10-13 / 最終更新: 2026-10-13 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

運営: 合同会社フューチャープロンプト。AIを活用して作成し、公開前に公式資料と照合しています。誤りのご報告は運営情報へ。

法律の目的と、他の法律との役割の違い

第1条は、労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすものでなければならないとし、この法律の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者はこれを理由に労働条件を低下させてはならず、向上を図るよう努めなければならないと定めています (e-Gov法令検索「労働基準法」)。

電気工事の資格や登録を定める法律と違い、この法律は、人を使う事業者が、働く人に対して守る労働条件の最低ラインを定めています。電気工事士法は工事をする人の免状、電気工事業法は事業者の登録・通知が対象です。 同じ現場で働く人の災害防止は、労働安全衛生法が別に定めています。

関連する法律の全体像は、電気工事士法とは、電気工事業法とは、労働安全衛生法とはの各記事にまとめています。

「労働者」と「使用者」の意味

第9条は、労働者を「職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定めています。第10条は、使用者を「事業主または事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」と定めています。 職種や雇用形態の名前ではなく、事業に使用され賃金を支払われているかで判断する定義です。

労働基準法の主な用語
用語意味条文
労働者職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者第9条
使用者事業主または事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者第10条

従業員を雇わない一人親方の電気工事業者には、使用者として守る義務の相手になる従業員がいません。ただし、請負として働く形でも、実際の働き方によっては労働者に当たるかどうかが問題になることがあります。 その見分け方は請負・派遣・偽装請負の違いで扱っています。

条文ごとの内容と詳しいガイド

主な条文を、労働条件の明示・解雇・休業・労働時間・賃金・休暇・年少者・書類の順に並べました。右端の列から、その条文を掘り下げたガイドへ進めます。

労働基準法の主な条文と、このサイトの詳しいガイド
項目条内容の要点詳しいガイド
労働条件の明示第15条労働契約の締結に際し、賃金、労働時間その他の労働条件を明示する。賃金・労働時間などは厚生労働省令で定める方法で明示する。明示された条件が事実と違うときは、労働者は即時に契約を解除できる電気工事業者の労働条件通知書と就業規則
解雇の予告第20条解雇は少なくとも30日前に予告する。予告しないときは30日分以上の平均賃金を支払う。天災事変などで事業の継続が不可能な場合や、労働者の責に帰すべき事由による解雇には例外がある電気工事業の従業員を解雇するときの30日前の予告と解雇予告手当
休業手当第26条使用者の責に帰すべき事由による休業では、休業期間中、平均賃金の100分の60以上の手当を支払う電気工事業者の休業手当と年5日の有給休暇
労働時間・休憩・休日第32条・第34条・第35条休憩を除き1週40時間・1日8時間を超えて働かせない。6時間超で45分、8時間超で1時間の休憩を与え、毎週少なくとも1回の休日を与える電気工事業者の残業の上限規制と36協定
時間外・休日労働の協定第36条労働時間の延長や休日労働には、労働者の過半数で組織する労働組合または過半数代表者との書面協定を結び、行政官庁に届け出る電気工事業者の残業の上限規制と36協定
割増賃金第37条時間外・休日・深夜の労働には割増賃金を支払う。時間外が1か月60時間を超えた部分は5割以上の率電気工事業の残業代・割増賃金の計算(日給制の基礎時給と割増率)
年次有給休暇第39条雇入れから6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に10労働日の有給休暇を与える。年10日以上の労働者には年5日を取得させる(第7項)電気工事業者の休業手当と年5日の有給休暇
年少者の就業制限第62条満18歳に満たない者を、動力によるクレーンの運転など厚生労働省令で定める危険な業務に就かせない18歳未満を電気工事の現場で使えるか(労働基準法第62条・年少者労働基準規則第8条)
就業規則第89条常時10人以上の労働者を使用する使用者は、始業・終業の時刻、賃金、退職などについて就業規則を作成し、行政官庁に届け出る電気工事業者の労働条件通知書と就業規則
労働者名簿・賃金台帳・記録の保存第107条〜第109条事業場ごとに労働者名簿と賃金台帳を調製し、労働関係の重要な書類とともに保存する。保存期間は第109条で5年間、附則第143条により当分の間は3年間電気工事業者の労働者名簿・賃金台帳(記載事項・保存期間)

賃金の支払いは、通貨で、直接労働者に、全額を、毎月1回以上、一定の期日を定めて行うのが原則です(第24条)。賃金の一部を控除するには、法令に別段の定めがあるか、労働者の過半数で組織する労働組合または過半数代表者との書面協定が必要です。

業務上のけがや病気については、使用者がその費用で必要な療養を行うか、療養の費用を負担します(第75条)。 この補償の備えとなる保険は労災保険・雇用保険の加入で扱っています。

ここに挙げたのは主な条文で、変形労働時間制、みなし労働時間制、産前産後の休業、災害補償の細目は省いています。 割増の率、36協定の限度時間、届出の様式などは、政令や厚生労働省令で定められています。

主な罰則

違反したときの罰則は、第117条から第120条に定められています。解雇の予告、割増賃金の支払い、休日を与えないことは第119条の30万円以下の罰金などの対象で、労働条件の明示や就業規則の届出は第120条の対象です。

労働基準法の主な罰則
条罰則主な違反行為
第117条1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金第5条(暴行、脅迫、監禁などによる強制労働)の違反
第118条1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金第6条(中間搾取)、第56条(最低年齢)などの違反
第119条6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金第20条(解雇の予告)、第32条(労働時間)、第34条(休憩)、第35条(休日)、第37条(割増賃金)、第39条(第7項を除く年次有給休暇)、第62条(年少者の危険有害業務)などの違反
第120条30万円以下の罰金第15条第1項(労働条件の明示)、第24条(賃金の支払)、第26条(休業手当)、第39条第7項(年5日の取得)、第89条(就業規則の作成・届出)、第106条〜第109条(周知、名簿、賃金台帳、記録の保存)などの違反

違反した人が、事業主のために行為した代理人や従業者である場合は、事業主にも罰金刑が科されます。ただし、事業主が違反の防止に必要な措置をしていたときは除かれます(第121条)。 罰則の対象になる条文の全体は、e-Govの本文で確認してください。

この整理で言えないこと

この記事は条文の見取り図です。自社の従業員が労働者に当たるか、36協定の内容が適切か、割増賃金をいくら支払うかは、雇用の実態や賃金の定めで決まり、この記事では判定できません。 最低賃金や、健康保険・厚生年金の加入は別の法律の定めで、従業員を雇う電気工事業者の社会保険で扱っています。

次に知りたいこと:雇入れ時の労働条件の明示、時間外労働の上限と36協定、割増賃金の計算。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。労働条件や届出の要否は、都道府県労働局または所轄の労働基準監督署に確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。