労働基準法第56条・第61条・第62条・年少者労働基準規則第8条
18歳未満を電気工事の現場で使えるか(労働基準法第62条・年少者労働基準規則第8条)
高校卒業前後の若い人を電気工事の見習いとして雇うとき、満18歳に満たない人には就かせられない作業があります。交流300ボルト・直流750ボルトを超える電圧の充電電路の点検・修理・操作や、高さ5メートル以上で墜落のおそれがある場所での作業は、18歳未満には禁止です。 この記事は、電気工事に関わる禁止業務、深夜業や時間外労働の制限、違反したときの罰則を、労働基準法と年少者労働基準規則の条文から整理します。
公開日: 2026-10-11 / 最終更新: 2026-10-11 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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就業制限の根拠と対象
e-Gov法令検索「労働基準法」第62条は、使用者は満18歳に満たない人を、運転中の機械の危険な部分の掃除・検査、動力によるクレーンの運転その他の厚生労働省令で定める危険な業務や、重量物を取り扱う業務に就かせてはならないと定めています。第2項は、有害な原料や高温・高圧の場所など、安全・衛生・福祉に有害な場所の業務も禁じています。
禁止される業務の具体的な範囲は、e-Gov法令検索「年少者労働基準規則」が定めています。危険な業務と有害な業務は第8条の各号、重量物の取扱いは第7条の表(年齢と性別ごとの重量)です。対象は「満18歳に満たない人」です(雇用形態では区別されません)。
電気工事に関わる禁止業務
年少者労働基準規則第8条には46の号があります。電気工事の見習いに関わりやすいのは、次の表の号です。
| 号 | 禁止される業務 | 電気工事での場面 |
|---|---|---|
| 第8号 | 直流は750ボルト、交流は300ボルトを超える電圧の充電電路またはその支持物の点検、修理、操作の業務 | 高圧受電設備や、三相400ボルト回路などの活線に関わる作業 |
| 第24号 | 高さが5メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務 | 鉄塔・電柱上、天井裏や高所の配線・取付け |
| 第25号 | 足場の組立て、解体または変更の業務(地上または床上における補助作業の業務を除く) | 外壁・屋外の工事で足場を組む作業 |
| 第3号 | クレーン、デリックまたは揚貨装置の運転の業務 | 機器の吊り込みでのクレーン運転 |
| 第10号 | クレーン、デリックまたは揚貨装置の玉掛けの業務(2人以上で行う玉掛けの補助作業を除く) | 盤や変圧器の搬入での玉掛け |
| 第12号 | 動力により駆動される土木建築用機械または船舶荷扱用機械の運転の業務 | 掘削用の機械を使う埋設配管・配線工事 |
交流300ボルトを超えるかどうかの境目で見ると、単相100ボルト・200ボルトの回路は300ボルト以下で、第8号の電圧には当たりません。ただし同じ現場の別の作業が、第24号の高さや第25号の足場など、別の号の禁止に当たることがあります。低圧の配線作業なら年少者でもよい、と現場全体で判断はできません。
18歳未満が就く資格や特別教育の要否は低圧・高圧の特別教育のガイド、高所作業は高所作業の教育のガイドで整理しています。
深夜業と時間外労働の制限
- 深夜業:第61条第1項は、満18歳に満たない人を午後10時から午前5時までの間に使用してはならないと定めています。ただし、交替制で使用する満16歳以上の男性は除かれます。災害などで時間外労働をさせる場合(第33条第1項)も、この制限の対象外です。
- 時間外労働:第60条第1項は、第36条(時間外・休日労働の協定)などの規定を、満18歳に満たない人には適用しないと定めています。つまり、いわゆる36協定を結んでも、法定労働時間を超えて働かせる根拠にはなりません。第60条第3項は、15歳以上18歳未満の人について、1週間の労働時間を超えない範囲で1日の労働時間を4時間以内に短縮し、他の日を10時間まで延長するなどの扱いを認めています。
15歳の年度末までの使用と雇入れ時の書類
- 最低年齢:第56条第1項は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで使用してはならないと定めています。中学を卒業する年度の3月31日までは雇えない、ということです。
- 年齢の証明:第57条第1項は、満18歳に満たない人について、年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けることを使用者に求めています。
- 契約の相手:第58条第1項は、親権者または後見人が、未成年者に代わって労働契約を結ぶことを禁じています。契約は本人と結びます。
違反したときの罰則
第62条と第61条の違反は、第119条第1号により6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。最低年齢(第56条)の違反は、第118条第1項により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と定められています。条文上の罰則であり、実際にどの場合に適用されるかは、この記事では判定しません。
この整理で言えないこと
- 個別の作業が、年少者労働基準規則第8条のどの号に当たるかの判定は行いません。
- 第8条の46の号のうち、電気工事に関わりにくい号と、第7条の重量物の重量は表にしていません。条文で確認が必要です。
- 職業訓練を受ける人に関する特例や、厚生労働大臣が別に定める業務(第46号)の個別の内容は扱いません。
- 労働安全衛生法による資格・教育の要否、各県の青少年に関する条例は扱いません。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。18歳未満を就かせる作業の可否は、事業場を管轄する労働基準監督署や都道府県労働局の窓口で確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。