公式資料をもとに整理
妊娠中・産後の従業員に任せられない業務と休業
妊娠中の従業員は、高さ5m以上で墜落のおそれがある場所の業務、足場の組立て・解体・変更、玉掛け、30kg(継続作業は20kg)以上の重量物を扱う業務などに就かせることができません。産後1年を経過しない従業員にも、一部の業務に制限があります。従業員を雇う電気工事業者が、現場作業に関わる制限と、産前産後の休業・時間外労働の請求を、労働基準法と女性労働基準規則で確認します。
公開日: 2026-10-20 / 最終更新: 2026-10-20 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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先に結論:休業の請求と就かせられない業務
労働基準法第65条は、出産予定日の前6週間(双子以上は14週間)以内の女性が休業を請求したときは就業させてはならず、産後8週間は就業させてはならないと定めています。第64条の3は、妊娠中の女性と産後1年を経過しない女性(妊産婦)を、重量物を扱う業務など妊娠、出産、哺育に有害な業務に就かせることを禁じています。具体的な業務の範囲は、女性労働基準規則第2条が決めています(e-Gov法令検索「労働基準法」、同「女性労働基準規則」)。
- 産前の休業は、本人が請求したときに与えます。産後8週間は請求がなくても働かせられません。
- 就かせられない業務は、請求の有無にかかわらず制限されます。
- 時間外労働、休日労働、深夜業の免除は、本人が請求したときに応じます。
産前6週・産後8週の休業
| 時期 | 決まり |
|---|---|
| 産前(出産予定日の前6週間以内。双子以上は14週間以内) | 本人が休業を請求したときは、就業させてはなりません。 |
| 産後8週間 | 就業させてはなりません。 |
| 産後6週間を過ぎた後 | 本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務に限り、就かせて差し支えありません。 |
| 妊娠中 | 本人が請求したときは、ほかの軽易な業務に転換させなければなりません。 |
休業中の社会保険料の免除の手続きは産休・育休中の社会保険料免除のガイドで確認できます。
妊娠中・産後に就かせられない業務(現場に関わるもの)
女性労働基準規則第2条は、妊娠中の女性を就かせてはならない業務を24項目で定めています。電気工事の現場に関わる項目を抜き出すと、次の表のとおりです。
| 業務 | 妊娠中 | 産後1年を経過しない女性 |
|---|---|---|
| 重量物を取り扱う業務(18歳以上は断続作業30kg以上、継続作業20kg以上) | 就かせられません。 | 就かせられません。 |
| 高さ5m以上の場所で、墜落により危害を受けるおそれのある業務 | 就かせられません。 | 制限の対象に入っていません。 |
| 深さ5m以上の地穴、土砂が崩壊するおそれのある場所の業務 | 就かせられません。 | 制限の対象に入っていません。 |
| 足場の組立て・解体・変更の業務(地上・床上の補助作業を除く) | 就かせられません。 | 本人が従事しない旨を申し出たときに限ります。 |
| クレーン等の玉掛けの業務(2人以上で行う玉掛けの補助作業を除く) | 就かせられません。 | 本人が従事しない旨を申し出たときに限ります。 |
| 動力で駆動される土木建築用機械の運転 | 就かせられません。 | 本人が従事しない旨を申し出たときに限ります。 |
| 著しく暑熱な場所・著しく寒冷な場所の業務 | 就かせられません。 | 本人が従事しない旨を申し出たときに限ります。 |
| さく岩機など身体に著しい振動を与える機械器具を用いる業務 | 就かせられません。 | 就かせられません。 |
産後1年を経過しない女性については、規則第2条第2項が、第13号(地穴・土砂崩壊)と第14号(高さ5m以上)を対象から外し、ボイラー、クレーン、足場、暑熱・寒冷などの項目は本人が従事しない旨を申し出た場合に限ると定めています。重量物と有害物質を発散する場所の業務、振動機械の業務は、申出がなくても制限されます。
高所や足場の作業に必要な特別教育は高所作業の教育のガイド、玉掛けの資格は玉掛けの資格のガイドで確認できます。この表は24項目の一部の抜粋です。有害物質、ボイラー、プレス機械などの項目は表に載せていないので、実際の業務の判断では規則の全文を確認します。
請求があれば応じる時間外・休日・深夜の制限と育児時間
| 請求の内容 | 使用者の義務 |
|---|---|
| 1か月・1年・1週間単位の変形労働時間制の下でも、法定の労働時間を超えないこと | 妊産婦が請求したときは、1週と1日の法定労働時間を超えて働かせてはなりません。 |
| 時間外労働・休日労働の免除 | 妊産婦が請求したときは、させてはなりません。 |
| 深夜業の免除 | 妊産婦が請求したときは、させてはなりません。 |
| 育児時間 | 生後1年未満の子を育てる女性が請求したときは、休憩時間のほかに1日2回、各30分以上与えます。その時間中は使用してはなりません。 |
時間外労働の上限や36協定の決まりは時間外労働の上限と36協定のガイド、変形労働時間制は1か月単位の変形労働時間制のガイドで整理しています。
守らなかった場合の罰則
第64条の3から第67条までの規定に違反した者は、第119条により、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。
申出を受けたときの確認チェックリスト
- 出産予定日を確認し、産前6週間(双子以上は14週間)の休業の請求に備えたか
- 産後8週間は就業させない予定を組んだか
- 妊娠中は高さ5m以上の作業、足場、玉掛け、重量物を、本人の担当から外したか
- 本人が請求した場合、軽易な業務への転換を用意したか
- 時間外・休日・深夜の免除の請求に応じる段取りをしたか
- 産後1年を経過しない女性から、従事しない旨の申出があったか確認したか
この整理で言えないこと
- 個別の従業員の業務が制限の対象に当たるかどうかは判定しません。
- 妊娠中の健康診断などの母性健康管理の措置、育児休業の取得は扱いません。
- 産前産後休業中の手当の金額や、休業中の賃金の扱いは扱いません。
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の業務の扱いは、所轄の労働基準監督署や都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)で最終確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。
次に知りたいことは、年少者の就業制限は18歳未満の就業制限のガイド、育児や介護の休暇は子の看護・介護休暇のガイドです。