建設業退職金共済制度(建退共)
建設業退職金共済(建退共)の加入条件と掛金を納める日数の基準
建退共は、建設業の事業主が勤労者退職金共済機構と契約を結び、現場で働く従業員の就労日数に応じて掛金を納付すると、従業員が建設業を辞めたときに機構から退職金が直接支払われる制度です。建設業法の許可の有無を問わず加入できます。誰を対象にでき、掛金をどの日数で納めるのかを、機構の公開ページで整理します。
公開日: 2026-10-06 / 最終更新: 2026-10-06 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
制度のしくみと退職金の支払い
事業主が共済契約者となり、従業員が被共済者となります。事業主が従業員の働いた日数に応じて掛金を納め、従業員が建設業界で働くことをやめたときに、機構が従業員へ退職金を直接支払います。
機構は、建退共を中小企業退職金共済法に基づく国の制度と説明しています (建退共「建退共制度とは?」)。
退職金が支払われるのは、会社を辞めたときではなく建設業を引退したときです。従業員が現場を移って事業主が変わっても、制度に加入している事業主が掛金を納めていれば、建設業で働いた日数はすべて通算されます (建退共「制度の特長」)。
退職金の額は機構の基準で計算されます。機構の退職金のページには、掛金日額320円から掛け始めた人の退職金の目安表があり、掛金納付月数が12月以上24月未満の場合は、掛金納付額の3〜5割程度になると書かれています (建退共「退職金について」)。
実際の掛金日額と退職金額は、契約時に機構の最新の案内で確認してください。
加入できる事業主と従業員
事業主は、建設業を営んでいれば、建設業法の許可を受けているかどうかにかかわらず加入できます。機構は、総合・専門・職別、元請・下請、専業・兼業の別を問わないと説明しています。従業員は、電工を含む現場の職種を問わず、月給制か日給制か、役付かどうかも問わず対象になれます (建退共「加入条件」)。
| 区分 | 対象になるか | 機構の説明 |
|---|---|---|
| 建設業を営む事業主 | 共済契約者になれる | 許可の有無を問わない |
| 現場で働く従業員 | 被共済者になれる | 電工・配管工など職種を問わない |
| 一人親方 | 任意組合を利用して被共済者になれる | 機構が一人親方向けの扱いを別に案内している |
| 事業主・役員報酬を受けている方・本社等の事務専用社員 | 対象外 | 加入できない |
| すでに建退共の被共済者になっている方 | 対象外 | 加入できない |
| 中退共・清退共・林退共の被共済者 | そのままでは対象外 | 建退共に移るときは掛金の引継ぎができる |
対象外の方を誤って加入させて掛金を納めた場合は、納付額のみの返還になると機構は注意しています。
電気工事業法の登録の有無は、加入条件として示されていません。自社が建設業を営む事業主に当たるかは、機構の「加入できるか調べる」か支部で確認してください。登録・通知の区分は登録電気工事業者の概要で確認できます。
掛金を納める日数の基準
掛金は、従業員の現場での就労分について、公共工事か民間工事かを問わず、すべての工事で納めなければなりません。納付の基準は機構の「掛金納付の基準」に次のように書かれています (建退共「掛金納付の基準」)。
| 場面 | 掛金の扱い |
|---|---|
| 休日・欠勤日 | 納付できない |
| 有給休暇・事業主の都合による休業日 | 納付する |
| 同じ事業主に雇用された1日の労働時間が8時間を超えたとき | 超えた部分について8時間を単位に1日分を加算する |
| 8時間を超えた部分が深夜作業で、翌日に4時間以上かかったとき | 8時間に満たなくても1日分を加算する |
| 同じ日に複数の事業主に雇用されたとき | それぞれの事業主が掛金を納付する |
機構の例では、21時から翌9時まで働いた場合は2日分です。21時〜翌5時の8時間に加え、5時〜9時の4時間が、8時間を超えた部分で翌日に4時間以上かかっているためです。
納付の方法には、電子ポイント方式と証紙貼付方式があります。
事業主にとっての特長
機構は、新たに加入した従業員について、初回に交付する共済手帳の50日分の掛金を国が補助すると説明しています。そのほかの特長は次のとおりです (建退共「制度の特長」)。
- 掛金は、法人では損金、個人企業では必要経費になります。
- 公共工事の入札に参加するための経営事項審査で、建退共に加入し適正に履行していれば加点評価されます。経営事項審査は公共工事を直接請け負う場合の経営事項審査で整理しています。
- 各種の手続きから掛金納付まで、オンラインで行えます。
従業員を雇った後の労災保険・雇用保険の手続きは従業員を雇った電気工事業者の労災保険・雇用保険の加入手続きで整理しています。建退共は、これらの保険とは別の退職金の制度です。
加入前に確認する事項
- 退職金を掛けたい従業員が、事業主・役員報酬を受けている方・事務専用社員に当たっていないか
- 従業員がすでに建退共・中退共・清退共・林退共の被共済者になっていないか
- 現在の掛金日額と、共済手帳の交付・電子ポイント方式の手続きを、機構の最新の案内で確認したか
- 公共工事を受ける予定があるときは、発注者や経営事項審査で求められる加入・履行の証明を確認したか
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。掛金日額・手続き・加入の可否は機構の支部または最新の案内で確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。
一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。